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日本仏教の始まりと鎌倉の滅亡
2020/02/01 18:44
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投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
□鎌倉新仏教の展開
釈迦の仏教・・・解脱を求めるもの
輪廻から脱するもので悟りを開くこと
この世の一切の物質的存在は空であり、実態がないものこそ物質的存在(色)である
→色即是空 空即是色(般若心経)
釈迦の仏教は救済を目的にしていない
出家は個人は救済するが広く他人を救済できない
大衆の救済を目的として発展したのが、大乗仏教である
キリスト教やイスラム教は一神教であり、神は造物主
仏教は啓示宗教ではない為、かなり自由な解釈ができる
最澄(伝教大師)の功績
比叡山に仏教総合大学(法華経)を創立し、法華学部・戒律学部・禅学部・密教学部を設けた
日蓮、親鸞、道元らは、ここで基礎を学んだのである
空海(弘法大師)の真言宗は密教であるが故、後世への影響が殆ど無かった
浄土教
修業による悟り(解脱)より、浄土への往生を重視する仏教の一派
浄土とは、仏の支配する清められた世界のこと
薬師如来・・・瑠璃光浄土
阿弥陀如来・・極楽浄土
法然…浄土宗
自力で行う修業を廃し、阿弥陀如来の力を信じ、それにすがって往生を遂げようとするもの
→他力本願
親鸞…浄土真宗
念仏にこだわらず阿弥陀如来の本願を信じることを最も大事なこととした
・浄土真宗本願寺派<東>
・真宗大谷派<西>
一遍…時宗
阿弥陀如来は絶対的であり、南無阿弥陀仏を唱えることで救われるとした
栄西…臨済宗
厳しい自力修業を重んじ、鎌倉幕府の絶対的支持を得た
道元…曹洞宗
出家市場主義
日蓮…日蓮宗
法華経を広めることに功徳(利益)がある
南無妙法蓮華経という題目を唱える
念仏・・・阿弥陀如来によって救われることに感謝する行為
□元寇と日本人
チンギス・フビライは、中国・ロシア・西アジアにまたがる大帝国を作り上げ、東アジアに勢力を拡げることになる
南宋を孤立させること、日本の金を手に入れることが、フビライの日本侵攻の狙いであった
そして傲慢無礼な国書が日本に届く
幕府はモンゴルの度重なる要求を拒否し、使者の首をはねた
朝廷も同様に国書の受取を拒否した
海の存在が、世界最強の騎馬軍団モンゴルの力を弱体化させ、神風と鎌倉武士の奮戦により日本はモンゴルを破った
が、貴族達は筥崎宮に敵国降伏の額を奉納したことが勝因と見ていた
正にコトダマイズムである
□鎌倉幕府の滅亡
鎌倉幕府は源氏を中心とした御家人連合政権であり、北条氏は将軍の代理人(執権)という立場で地位を高めた
これを得宗専制体制という
武装農民の武士は何代か経るに従い、田畑は細分化され効率は悪くなり、貧窮化していき、幕府の力も弱体化していった
後醍醐天皇は幕府を倒して新政治を始めようという強烈な意思を持っていた
ケガレ忌避と朱子学による正義のためである
後醍醐天皇は倒幕計画のために楠木正成を擁立する
幕府は結局、足利尊氏、新田義貞といった有力御家人の裏切りにより崩壊する
後醍醐天皇の目指す政治は、天皇親政を柱とした絶対専制政治
尊氏は、幕府の権力交替を考えていた
この思惑の違いこそが、建武の新政が破綻する根本的原因であった
日本の権力システムは一極集中を嫌う分散型
それを後醍醐天皇は一時的ながら独裁をいかに実現した
日本は血統の世界
天皇はアマテラスの直系の子孫である
足利、新田は、源義家の直系の子孫である
後醍醐天皇が行った建武の新政は、日本人の秩序感覚を完全に破壊し、中国朱子学体制への移行であった
電子書籍
題名が「逆説の」日本史であるが
2024/02/25 17:52
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズも第六巻目になり、題名が「逆説の」日本史であるが「逆説」的な要素や解釈がどんどん影を潜めている。元寇のおりの朝廷の行動に言霊や怨霊の片鱗を見る程度である。しかし、日本独自の宗教である仏教各派がこの時代に一斉に芽吹くのは興味深い。
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重いな。
かなりの部分を仏教史に費やしている。教科書などで単語として覚えた日本仏教史の重要人物達がリアルに浮かび上がって来る。各宗派の差異を比較対照している点も分かり易い。もしかしたらシリーズ中でこの巻が一番面白いのかもしれない。
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逆説の日本史第6巻。
鎌倉仏教の成立、元寇、鎌倉幕府の崩壊と後醍醐天皇の野望が描かれている。いよいよ混迷の時代に突入してきました♪日本の仏教についてホントにわかりやすく書かれていて楽しめました♪そして、日本人にとって未曾有の危機であった元寇の勝利は、ビギナーズラックであり、その勝利が太平洋戦争における日本の降伏にまで繋がっている事。歴史って、「鎌倉時代」「室町時代」「安土桃山時代」みたいに、時代ごとで完結しているワケではなく、必ず繋がっているんですよねぇ。そういう風に歴史をみなけりゃイカン!!!
後醍醐天皇、足利尊氏、新田義貞、楠木正成…好きな歴史上の人物が大挙して登場する時代で一気に読めました。日本に登場した数少ない独裁者・後醍醐天皇。そして、独裁者ではなかった昭和天皇の対比が面白かったです。そう!昭和天皇は、戦争犯罪人ではないのです。何故、当時の国家最高権力者が戦争犯罪人ではないと断言できるのか!それが日本の複雑な思想と政治形態のなせる技なんですよねぇ。詳しくは読んで♪
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2007/8/16 Amazonにて購入。2007/9/14~京都からの帰りに読み始める。2007/9/30仙台からの帰りに読み終わり。
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このシリーズ、好きなんですよね。きちんと本屋で買っているものの一つ、でもあります(←いばるな^^;)とはいえ、文庫版なのでまた6巻までしか出てなくって続きが待ち遠しいんですけど…
従来の歴史学者の目に付けないような視点から見ているので、かえってわかりやすい点があるところがまずうれしい。また「言霊」という本も出してらっしゃることからわかるように日本人ならではの習慣(あるいは因習とでも言うべきか)を解明してゆく手腕は見事、だと思う。
この巻は鎌倉仏教についてと、鎌倉幕府の滅亡、について書かれているんだけど特に「宗教にはうとい」ので、こういうわかりやすい本はうれしい。…読み飛ばすにはもったいない本。
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怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》
日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に出てもう10有余年も経っているのだから。しかし、恥ずかしながらその存在を私は知らなかった。井沢元彦『逆説の日本史』1~12である。未読の方は、まず文庫の第一巻を購入されることをおすすめしたい。
日本史を追う井沢さんのキーワードは、怨霊、言霊、穢れの三つ。彼はことごとくをこれで抑えていく。見事なまでに。彼にかかれば歴史学者は形無し。木っ端微塵にやっつけている。宗教の本来的な役割を知らずに、文献至上主義に陥ってることの弊害を事細かにまた繰り返し飽きもせずに説く。読んでる端から忘れがちな私のようなものには、まことにこれは助かる。しかし、この手法ではさぞかし正統な歴史学者や同業他者から嫌われよう。であるがゆえに、あまり世の中に評価されていないように思われるのは、著者ならずとも口惜しい。
近眼の人が寝ぼけ眼に顔を洗ってメガネをかけた時のように、ぼんやりしていた歴史絵巻が忽然と姿を現すのは嬉しい限り。というのは少々ほめすぎかも。だが、古代から中世にかけての日本人たちにとっての、様々なる神社仏閣の存在や「和歌」の持つ意味が判明するのは大きな収穫であった。軍事について現代日本人がとかく敬遠しがちなのは、何も戦後に始まったことではなく、古代からの歴史に根ざした伝統であることを知ったことも大きい。
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鎌倉仏教史と元寇。鎌倉仏教って教科書で習ったのは、「一遍=時宗」「日蓮=日蓮宗」みたいな単純な暗記モノだった。コレに比べ、井沢氏の宗教概略は非常に理解しやすい。
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鎌倉仏教と元寇の謎
・鎌倉新仏教の展開Ⅰ
鎌倉以前の仏教編―日本における仏教伝来の特殊性
・鎌倉新仏教の展開Ⅱ
浄土門の聖者たち編―平安後期に流行した「極楽浄土」侵攻
・鎌倉新仏教の展開Ⅲ
道元と日蓮編―昭和のファシストが心酔した「日蓮サイクル」の虚 と実
・元寇と日本人編―危機管理なき防衛意識を決定付けた
”勝利体験”
・鎌倉幕府の滅亡Ⅰ
後醍醐天皇の野望編―「河内の土豪」楠木正成を結び付けた朱子 学思想
・鎌倉幕府の滅亡Ⅱ
後醍醐天皇の新政編―権力と責任を分散させる伝統的システム
原始仏教と大乗仏教の違い
・原始仏教
目的:個人の救済
手段:自力による修行
教典:法句経、阿含経など釈迦自身の言葉
・大乗仏教
目的:大衆の救済
手段:如来への信仰
教典:法華経、阿弥陀経など、後世作られた経
鎌倉幕府勢力が衰退した経過
兄弟の均等相続により、所領が細分化
→経営効率が落ちるが幕府への義務(大番役など)は果たさねばならない。
→借金をするが返せず土地を奪われる
→無足人となる
→徳政令で借金棒引き
→それでも経営効率は悪いままなのでまた借金
この繰り返しで、元寇の軍役負担もこれに拍車をかけた
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・12/31 ようやく読了.長かった.なんとか年内には読了できた.当初鎌倉仏教の話しは馴染み深くて面白かったが、結構難しかった.ただ仏教の知識だけではすべてを理解できないため、神道や儒教についても深く勉強をしておく必要を強く感じた.
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日本には独裁者はいない。
どんな独裁者も、絶頂のときに殺されている。
古くは平将門がそうであるし、後醍醐天皇や織田信長もその一人に上げられる。
一見独裁者は国を蹂躪し尽くす悪い面が目立つ。
しかし筆者は、日本はその歴史を通じて独裁者を生み出すような構造ではなかったが故に、しばしば醜い責任のなすりつけあいが勃発していると指摘する。言うまでもなく、第二次世界大戦を巡る一連の議論がそうである。得体の知れない“軍部”が、世論をいいように動かし、人々を洗脳し、戦争へと突き進んだ挙句、戦後には“一億総懺悔”を求める。
それは目下進行中の問題、つまり東京電力と政府、そして原発を巡る問題でも現われている。
原発を推し進め、安全神話を広めたのは誰なのか。それを曖昧にしたままで、節電を強い、また“使っている我々にも責任がある”と、責任の分担を求める。
我々は1000年の昔から、何も変わっていないのだ。
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後醍醐天皇の生きざまが好きで、久しぶりに「逆説~」を読んだ。まあ、このあたりは、逆説らしい部分は特にないね。
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この巻では前半を使って、仏教の歴史とそれが日本に入ってくる過程を解説しており、勉強になった。
目次
第1章 鎌倉以前の仏教編
第2章 浄土門の聖者たち編
第3章 道元と日蓮編
第4章 元寇と日本人編
第5章 後醍醐天皇の野望編
第6章 後醍醐天皇の新政編
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宗教って元もと難しいものだと思うけどそれを一般の人に広めていく過程で受け入れやすい形に変質していく様がよく描かれていた。
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チクチク作業邁進の煽りを食らって(?)、ちょっと時間がかかってしまった「逆説の日本史」読書。 ようやく第6巻を読了しました。
冒頭で KiKi は「チクチク作業邁進の煽りを食らって(?)、ちょっと時間がかかってしまった『逆説の日本史』読書。」と書いたけれど、今回の読書に時間がかかってしまったのにはそれ以外にも理由があります。 それは冒頭3章の仏教の歴史を俯瞰した部分で、ここの内容が仮に著者が言うように「表層的」であったにしても実に読み応えのある部分だったからです。 著者が歴史学会のお歴々をメッタギリにして悦に入っている感もあるこのシリーズの中で、それらのちょっと過激な(に見えなくもない)権威筋に対する攻撃性がなりをひそめ、KiKi には極めて読みやすい文体(要するに著者の自己主張の薄い文体)で要約してあり、読み飛ばす余地がほとんどなかったんですよね~。
対して後半3章は「逆説の日本史スタイル」に戻ろうと抗っている感がそこかしこに見られ、文章自体もかなり粗雑な印象を受けます。 そうであるだけに、後半3章に入って「斜め読み体制」と言うか「読み飛ばし体制」に逆戻りし、そこからは一気に読了した・・・・・そんな雰囲気がなきにしもあらず・・・・です。
元寇の話題に関しては、我々は「元寇」と呼びあたかも元国の正規軍が攻めてきたかのような印象を持ちがちなあの戦役において、元が遣わした軍団が今日で言う「多国籍軍」であり(要するに史上最強軍団そのものではなかった)というあたりがちょっぴり「へぇ!!」で、それ以外の部分はさほど目新しい話、「逆説的なアプローチ」はないのかなぁ・・・・・と。
そして後醍醐天皇の登場と同時に久々に「言霊信仰」だの「ケガレ」だのという著者の論旨の骨子たる部分が復活(笑)。 まあ、そのあたりもそういう展開になるだろうということは想像に難くもなかったりしたわけで、尚更、飛ばし読みモードに拍車がかかりました。
ここまで読み進めてきて痛切に感じるのは、ことさらに「逆説」を強調し、学会等の権威筋に喧嘩を売り、時に感情が赴くままに「自己陶酔型文章」を書く彼のスタイルにある種の「ファッション」というか「ポーズ」のようなものが漂っている・・・・・ということでしょうか。 彼の描く歴史観及び目の付け所は面白いだけにそのポーズが何となく「受け狙い」「売れ狙い」という感じがしちゃうんですよね~。
この巻の最初の3章では「へぇ、井沢元彦ってこんな文章も書ける人だったんだ」と感じただけに、ちょっと意地悪な見方かもしれないけれど、この逆説シリーズの基本基調に対してKiKi にはある種の不自然さ・・・・みたいなものがあるように思えてしまいました。
もっとも・・・・・・
逆に言えば最初の3章に関しては「井沢元彦なりの考察が書かれているか?」と問えば、「否。 先達の教えを整理してまとめたもの」という感じもなきにしもあらず・・・・・(苦笑) でも、「整理してまとめる」という作業にしろ、そこそこの知性と忍耐力がなければこれだけの内容のものはそう簡単には書けないんじゃないかと思わせてくれるあたりは、さすがとしか言いようがありません。
さて次は「太平記」の世界を扱う第7巻です。