Koukunさんのレビュー一覧
投稿者:Koukun
2021/07/01 12:13
作者泰三子の力量に感心
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本編のハコヅメはきつい中にもユーモアをたたえたタッチが好きで愛読している。別冊ということで読んだこの作品は、本編の方で時たま顔を出していた暗い部分を主要テーマとした作品である。本編と同じ絵柄 登場人物なのに、これほど雰囲気が違う作品もかけるのだと作者泰三子の力量に感心した。
2022/07/17 18:59
SFコミックの金字塔
11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
光瀬龍のたいへん入り組んだ原作を見事に視覚化した文字通りSFコミックの金字塔である。原作の持つ 宗教的 哲学的 物理学的な論述を、大変にわかりやすく視覚化している。登場人物たちも皆生き生きとしているが、特に阿修羅王の造形は素晴らしい。萩尾望都が創造したキャラクターの中でも屈指の名作と思う。
2019/12/28 19:20
リアルな人生指南書
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
人生ほぼすべてのことにお金が関わってくるから、読んでおいて損はないと思う。かなり踏み込んで細かいことまで書かれている。
お金というとインフレや投資のことが書かれていると思ったが、それだけではない。
(1)家を買ったらそこで終わりではなく、修繕費がかかる
(2)マルチ商法を信じるな
(3)契約や法律、不法行為について
(4)老後資金計画について
(5)破産するとどうなるか
(6)お金を使うときだけでなく、入ってくるときにも税金がかかる
(7)胴元が儲かる仕組みのギャンブルについて
などなど、盛りだくさん。
電子書籍紛争でしたら八田まで(1)
2021/01/04 12:17
国際事件もの
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
現在の国際社会 国際社会 国際企業を舞台にしたスーパーウーマンもの(?)
現実の世界でも、多くの国際人がこのヒロインのように様々な交渉事に ハッタリ プラフを交えているのだろうな と想像できるような内容の作品である。謙譲を美徳として育った日本人には太刀打ちできない。このヒロインはそのストレスを晴らしてくれる。
2020/11/06 12:53
転生ものはいろいろあるが
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
世間に転生ものを扱った作品ははいろいろあるが、この作品は亡き妻が小学生として転生するという 思い付き 発想がとりわけ素晴らしい。その後のストーリー展開も感涙もの。最近読んだ作品の中ではとびぬけて優れているような気がする。
紙の本王妃ベルタの肖像 1
2020/04/19 20:36
「処女作にはその作家のすべてがある」
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
富士見L文庫なのだから、もっともっとラノベっぽいものを予想していたら、良い意味で予想が外れた。
しっかりした甘さのないやや硬めの文体が、王族の義務や責任を扱ったテーマによくマッチしている。構成もしっかりしている。
敢えて注文を付けるなら、王や王妃の内面の葛藤をもう少し生々しく描くとより読み応えが出てくると思う。
デビュー作とのこと。次作が楽しみな作家だと思う。
電子書籍革命前夜
2019/12/31 21:01
崩壊前の東ドイツの雰囲気がよく出ている
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
須賀しのぶさんのドイツものには「神の棘」があるが、それを上回る作品。
崩壊前の東ドイツの雰囲気がうまくでている。
登場人物の画き分けが鮮やか。
続編が書けそう。続編にも期待したい。
電子書籍三河雑兵心得 : 1 足軽仁義
2021/01/17 13:35
生活感がこもっている。
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戦国時代を舞台にした小説は大変に多いが、農民から足軽になった人間を主人公にしているところがなかなかにいい。有名武将の話ではなく 庶民 雑兵の話であるだけに生活感がこもっている。語り口が当時の登場人物が直接 実際に語っているように感じられるほど 実感がこもっていて実に生き生きとしている。
2020/09/04 10:28
兵站とは、「 神の御業 」
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
読むつもりはなかったのに、読み出したら、止まらなくなった。
兵站とは、「 神の御業 」に匹敵するもの。軍隊にとって、必要不可欠なもの。
この兵站を軽んじたために大失態を演じたのが、インパール作戦の牟田口司令官。彼の「三週間で決戦するという勝手な 願望 」のために、いったいどれだけの兵士が、餓死したことか。
おばさん都知事も、軽い言葉で思いつくままに、「 七つのゼロ 」や「 コロナウイルス 」の「 願望 だけ」を語っているように見える。兵站に値する用意周到な準備や戦略は全くなさそうだ。都民にだけ多大な犠牲と責任を押し付けている。
マハンのシーパワー理論、マッキンダーのランドパワー理論、ホールディングの力の逓減理論、など、なるほどと思いながら読んだ。
日露戦争の部分は、難しかったが、シベリア鉄道のところなど読み応え充分だった。特に、海洋国家と大陸国家の違いが興味深かった。
電子書籍室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界―
2022/01/02 17:23
都合の良いように歴史を評価するのではなく
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
いわゆる右翼の人達が言っている「日本古来の伝統」というのは、江戸時代中期以降のたかだか300年程度のものであり、それ以前は混沌とした自力社会だったということがちゃんと論拠を持って示されている。本書のあとがきで筆者が述べている「歴史に学ぶということは」というくだりには感銘を受けた。現代日本の観点から都合の良いように歴史を評価するのではなく、当時の観点から見なくてはいけない ということである。
電子書籍蒼穹の昴 全4冊合本版
2021/08/03 10:07
代表作
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
多作な浅田次郎の作品群の中でも屈指の名作である。あまりにもできが良かったので作者は助平心を出して「中原の虹」「マンチュリアン・リポート」以下「天子蒙塵」に至るまで次々と続刊を出していったが、こういうシリーズ物の特徴通り第一作が一番できが良い。
史実と虚構 ファンダジーの組み合わせの妙、登場人物の個性の描き方など、ケレン味たっぷりの浅田節の連続である。特に李春雲の描きかたは感涙モノである。
電子書籍そして、バトンは渡された
2021/01/17 13:28
この作者の最高作
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どこか力が抜けた淡々飄々とした しかしユーモアを含んだ語り口が好きでこの作者の作品を何冊も読んでいるが、今まで読んだ作品の中では文句なしにこの作品が最高の出来である。最後の盛り上げ部分も絶叫型ではなくいくらかユーモアをふくんでいるのに、それでも感涙してしまった。数多くの父親 そして母親の嫌味のない人物の描き方が実にいい。もっと星がほしい作品である。
電子書籍応天の門 1巻
2020/06/25 10:59
しっかり足が地についている
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
菅公菅原道真を少年時代から描いた作品。
絵もストーリーも実にしっかりしている。陰陽師が活躍したこの時代はおどろおどろしい魑魅魍魎のファンタジーものに逃げ込みがちであるが、しっかり踏みとどまってリアルで不安が漂う平安絵巻を繰り広げている。
電子書籍サピエンス全史 上下合本版
2020/06/17 12:40
歴史に対する挑戦的な解釈
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
人類史上におけるさまざまの出来事に対し、従来の教科書,監修,宗教などの縛りを逃れ、この作者が「妥当」と考えた解釈.説を描いた膨大なボリュームの本。
私は記載された説の多くに同意できる納得、ということは極端に新規な説.解釈ではないということか。
いづれにしても大変読みごたえのある本である。