紙の本
「ねずみとり」に捕られたもの
2006/12/09 08:05
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いささか個人的な話になる。
「ねずみとり」をデートで見に行った事がある。場所は池袋で 平日の夜だったと覚えている。問題は その日に風邪を引いて かなりの高熱を発していた事だ。それでも 熱を押して見に行ったのは 彼女への愛情 というよりは この演劇史上名高い 本作を見る機会を逸したくないという一念だったと今でも思う。
クリスティーのマスターピース群にあっては 本作はまだまだ幼い作品だ。トリックも 目を見張るようなものではない。
但し 演劇に仕立てたという部分で 本作がクリスティーの作品の中でも際立ったものにしている。数あるミステリー作家でも 自ら戯曲に仕立てるという作家は僕は他にあまり知らない。そんな クリスティーの ミステリー作家としては並外れた「文学志向」が 彼女の諸作に見られる「香り高さ」を齎していると思う。
ところで 後日談ではあるが 結局 そのデートした女性は今の家内である。「ねずみとり」で捕ったというべきか 捕られたというべきか。
熱を押して出かけた事が今では懐かしい。
紙の本
どんな俳優さんに演じてもらいたいですか
2019/05/21 15:45
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アガサ・クリスティーには戯曲の名作も多い。
この作品もそのうちの一作で、クリスティーの戯曲の中でも最も有名でかつ実際の公演もロングランを続けているという。
雪に閉ざされた山荘で起こる、いわゆる密室殺人が舞台劇として適っているということもあるのではないだろうか。
この作品は元々「三匹の盲目のねずみ」という短編で、それをクリスティーが1947年にラジオドラマとして脚本を書いたもので、その後舞台劇として1952年に初演されている。
ドラマの冒頭で殺人事件の発生をラジオのニュースが報じる。
この殺人事件を発端にして、殺人事件の起こったロンドンから離れた山奥の山荘に何故か事件が起こってくるという導入部がいい。
この山荘はその日オープンしたばかりの宿屋で、若い夫婦が経営している。
その日の泊まり客は五人。
そのうちに雪がこの山荘を包み込んでいく。
そこに警察から、殺人事件に関連してこの山荘も狙われていると連絡がはいる。
ここで使われているのが、マザー・グースの「三匹のめくらのネズミ」の曲。
つまり、ロンドンの事件が一匹めで、残り二匹の殺人がこの山荘で起こるという。
刑事が到着したものの、予告どおり、二人めの犠牲者が出てしまう。
犯人はどうも昔起こった児童虐待の事件に関係したものらしいというところまでわかってくる。
三番目の犠牲者は誰なのか。
犯人はこの山荘の誰なのか。
ロングラン公演でもちろん誰もが誰が犯人なのかわかっているはずだが、それでも観たくなる(読みたくなる)のは、それだけの魅力がこの作品にはあるという証拠でもある。
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戯曲だけれども、読みやすい。演劇作品としてとても人気があり、ロングラン上演されているそうだ。大雪によって孤立状態にある山荘、経営者の若い夫婦と5人の客と1人の刑事。誰もが怪しく思える、緊迫した状態にゾクゾクする。
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これの本には、ト書き・セリフ・人物の動きが書かれていて、まるで台本のよう。
ロンドンでどうしてもこの舞台が見たくて、でも英語を聞き取る自信がなくて飛行機の中で読みました。
舞台見たから、本の印象が変わった!
悲劇であり、喜劇である脚本。本読んだだけじゃ笑えないんだけど、舞台で見て「あぁ、笑いどころだったんだぁ」って気づきました。
会話で成り立ってる物語だから読みやすいかも。
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ねずみとり読んだ。なんか…名作舞台なのはわかりましたが、正直、おもしろくなかった…きっとほんとに舞台向けの話なんだろうなあ。どこでびびっとくればいいのかわからん
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吹雪の山荘に閉じ込められたロッジの客たち。殺害された婦人の過去。吹雪の中事件解決のため山荘を訪れた刑事に隠された秘密。
2009年10月22日読了
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きょう開店の、雪の中のペンションが舞台。
舞台の脚本用らしく、動きと連動しての演技の指示も入っている
閉鎖された空間・知らないもの同士・・と そしてだれもいなくなったを少し思い出します
事件も解決も「らしい」かんじで迎えます。
短めでさらっと読めるので、ちょっとミステリーがよみたい、という時にいいかもしれない
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わーい、マザーグース殺人だ! と大喜び。残念ながら見立てではないけれど、吹雪の山荘だし、言うことはないぞ。
ところで「戯曲」なんだよね、これ(小説版もあるのかな?)。なのでじっくりと、情景を想像しながら読むと雰囲気盛り上がること請け合い。想像力がものを言う一作。
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Londonでお芝居見る前に急遽読破!
1952年からロングラン、本場のMousetrapを見て、
もう一度読みたくなりました。
内容は、ご自分で読んでみてください!
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分からないってことが分かっていくことは意外とわくわくするんです。ほぼ会話で構成させているので、展開の速度が心地よい。ミステリ読んでないなと思った夜の一気読みをお薦めします。
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いわゆる吹雪の山荘ものの戯曲。ミステリとしての種明かしはシンプルだが、戯曲ならではの制限(地の文がないこと)を感じさせない緊迫感のある作品になっている。が、やはりこれは劇場で演じられているところを見たい。
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いままで読んだ中のクリスティーでは一番中途半端な終わり方な気がする。
何人かの素性がわからないままエンディングだし。
急展開すぎる
話としては面白いんだけどなぁー。
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読んだのは2度目ですが、犯人はすっかり忘れていました。
読んでいる途中で、ひょっとしたら全員が関係者なのではと思いましたが、別の事件でした。
1度目読んだときは、すごくおっくうだったのですが、2度目だと、だいぶすらすら読めました。
出てくる歌の曲が思い出せないので、映像作品を見てみようと思いました。
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今だとそうだろうなという犯人なんだけど、なんといってもかなり前の作品だし、戯曲としてはやはりテンポよく読めるし面白い。ただ正月に読む内容ではw
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僕が最初に触れたミステリは、『シャーロック・ホームズ』と、『そして誰もいなくなった』だと思う。
ミステリ界の巨人と言えば、コナン・ドイルとアガサ・クリスティ。
そのクリスティの傑作戯曲と言えば、なんといっても、『検察側の証人』でしょう。
ぐいぐい見るものの興味を引きつけ、一瞬たりとも目が離せなく、二転三転していくラストは、圧巻の一言。
「エルキュール・ポワロ」シリーズや、「ミス・マープル」シリーズなどで、小説ばかりがどうしても目立ちますが、戯曲もけっこう書いていて、その中でも、ロングランを誇る作品として知られるのが、この、『ねすみとり』。
実は、ミステリというのは、芝居にはしにくいんですね。
なぜと言うに、単純な話、「殺人事件を扱った場合、殺される役の人は、その後、出番がない(もしくは極端に少なくなる)」ので、出番の少ない役者が不満に思う可能性があるのですね。
まあ、気にしなきゃいいだけの話かもしれませんが、そこはそれ、僕は気にする性格なので。
ついでに、昨今のミステリだと、いわゆる「叙述トリック」というのが人気だと思いますが、これもまた、生身の役者がそこに存在する芝居ではなかなかうまくいくことがまれであり。
さてそんな芝居で、ロングランになり得るだけの傑作をものせるクリスティには、もはや脱帽と言うしかないわけで。
戯曲なので、小説に慣れ親しんだ人にはちょっと読みにくく感じるかもしれませんが、舞台写真や舞台配置図などの図版もありますので、いろいろと想像しながらお楽しみいただければ良いのではないかなと思います。
いつか生の舞台で観てみたいものです。