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スカイ・クロラ

  • 出版社:中央公論新社
  • サイズ:16cm/333p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-12-204428-6

スカイ・クロラ (中公文庫)

森 博嗣 (著)

  • 全体の評価 4.55件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:62017pt
  • 発行年月:2004.10
  • 発送可能日:24時間

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ユーザーレビュー- 「スカイ・クロラ」

全体の評価
4.5
評価内訳 全て(5件)
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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/07/02 08:26

スカイ・クロラ

投稿者:あがさ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書の舞台は、戦場?
主人公は戦闘機のパイロット。
時には人を殺し、冷静に上司に報告したあと、その手で食事をし、ボウリングもする。

本書の裏にはこんな文句が。
「戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供」
そう、大人にならない子供のパイロットの話だ。

「スカイ・クロラシリーズ」が参加しているSNSで話題になっているということと、著者のS&Mシリーズがちょい好みに合うということで、読み始めたものの、どんな世界なのかサッパリわからないというのが正直な感想。
でも、なぜか画像は頭に浮かんでくる。
近未来的な世界。恐らく舞台は日本。

prologue
episode 1:cowling
episode 2:canopy

サッパリわからない世界。謎だらけの世界。
いつになったら謎は解ける?
スカイ・クロラを読み終えれば解ける?
謎が多すぎるけれど、謎は謎のままでもいいんじゃないかとも思う。

スカイ・クロラから読むのは、順番としてはOKなのかな?
時系列ではスカイ・クロラが最後らしいけれど...?

でも、読み続けてみよう。
何かを掴むまで。

episode 3:fillet

さて、ここまでで約半分超ってとこかな。何となく話は見えてきた。
少しずつ少しずつ。薄皮をはぐように、実が見えてくる。
なかなかこういうのも悪くない。

この本だけでは完結しないと思っているせいか、心は2冊目に向かっている。
さて、まずはこれを読み終えねば。

episode 4:spinner

ちょっとずつ、ちょっとずつ、ホントにちょっとずつ緊張感が高まってくる。
触れてはいけないところに触れつつあるのかな?
残すはepisode 5 と epilogue だけ。
この話はどこで着地するのだろう。
興味がどんどん沸いてくる。
登場人物の背景もほとんどわからないまま最終章を向かおうとしている。
ちゃんと着地するんだろうか。

episode 5:spoiler、epilogue

終わった...という気持ち。
全編を通して、何とも言えない張り詰めた空気が漂う。誰かがプチッと穴を開けたら爆発しそうな緊張感。
いつかは爆発してしまうのだろうか。

彼らはなんのために飛んでいるのだろう。
彼らは自分の心に沸いてくる疑問を、矛盾を、どのように消化していくのだろう。

本書はシリーズ5冊のうちの1冊。
そして、時系列に並べると最後の物語になるらしい。

では踏みだそう。本来の始まりの世界「ナ・バ・テア」へ。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/03/25 21:10

戦争を知らない私たちは

投稿者:kou(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

二回の大戦のあとも世界から戦争は消えない。 戦闘機パイロット・カンナミは前線の基地に新たに配属される。そこでチームを組まされたトキノ、上司である女性・クサナギ、整備士のササクラ…
僕らは空を飛び、敵を撃墜する。 そこに理由はない。
音もなく、望みもなく、光もなく、目的もなく、僕たちはただ生きて、戦っている。

一面に広がる、吸い込まれそうに深い青い空と雲。ハードカバー版はそんな美しい装丁ですが、文庫版は青一色で仕上げられています。

舞台はおそらく現代、もしくはほんのちょっと先の近未来。ただしこの世界では2回の大戦後も世界中が戦争で満たされており、日本も例外ではありません。ここでは戦争は国家がするものではなく、戦争行為を売りものにする会社が複数あり、その会社に属する社員が兵隊として前線で戦い、一般の人々はその戦争をテレビや新聞でしか知ることはありません。
そしてここに、キルドレという言葉が登場します。
遺伝子操作の研究途上、偶然生まれた、ある一定年齢以上は年をとらない子ども達。何年も何十年も若い姿のまま生き続けるため、次第に記憶があいまいに、現実感は希薄に、感情は平板になり、自分が何者かすら明確ではなくなっていきます。そしてそのキルドレとして生まれた人間の多くは、前線で戦う兵士になるか、宗教法人(普通に言う宗教とはまたちょっと違うのですが)に属するかどちらかです。
そして前線で戦う戦闘機パイロットとして配属されたキルドレ・カンナミを中心に物語りは進んで行くわけです。

彼らが何故そんなふうなのかを説明するかもしれない“理由”は後半に出てきますが、それもどこまで真実なのか曖昧としている。けれどそんな理由がsあるにせよないにせよ、ここにあるような世界や彼らのような子どもたちをつくりあげるのは、私たちのような人間なのではないか、本来私たちが背負ってしかるべきものを彼らに背負わせてしまっているのではないか、というようなことを考えました。
そういう意味では、これは私たちへの警告なのかもしれません。
“戦争を知らない大人たちに捧げよう” という冒頭文が、読んでいる間中胸に響いていました。
でもそんなことを考えることすら、この作品には余計なことのような気もします。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/08/02 21:20

生きることも、殺すことも理由なんてない

投稿者:永遠のかけら(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

カンナミは、戦闘機に乗り、敵に遭遇すれば相手を殺す。
理由なんてない。誰かが憎いわけでも、誰かを守りたいわけでも。
それが仕事だから。殺すために存在しているキル・ドレだから…。
誰かに撃ち落されるその日まで、戦うだけ。
カンナミも、草薙水素も…。
淡々と描かれるカンナミの日常と感情と草薙水素の無言の憤りが
透明で、すごく痛々しい。
理由のないことの身軽さと、理由のないことの空しさは、
紙一重のような気がする。
章ごとに挟まれるサリンジャーの引用も印象的だった。

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2008/07/27 21:50

気持ちよく流れていく、透明で冷たく乾いた空気。音楽や映像など他ジャンルとの相性が良さそうな小説だけに、押井守監督によるアニメ化に大いに期待。

投稿者:中村びわ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 うちの愚息がお世話になった少年サッカーのチームには多士済々、ファンキーなチャラ男系から理論派のインテリ系までさまざまなタイプのコーチがいた。そのなかに、武道の指導者を彷彿させる、男気あふれるびしっとした硬派な人がいて、たまたまそのコーチが試合監督をする1つ上の学年チームにヘタっぴの息子が合流したとき、彼が発する指示でとても印象に残った言葉があったそうだ。

――感じろよ!

「感性を働かせなさい」という指導ではあるのだが、感性ではなく頭を使わないと、この指示の意図は十分に汲み取れない。
 サッカーの試合であるから、攻撃の局面で言われたならば、「どのスペースに走り込めばチャンスが作れるか」「相手のどの裏をかいてパスを出せば、点をたたき出せるか」を感じ取ることであろうし、守備の局面で言われたならば、「どの選手がゴール前に飛び出そうとしているのか」「どこで相手の攻撃の流れをぶった切らなくてはならないか」を感じ取ることであろう。
 もしかすると、「もたもたやっているお前たちを見てイライラしている自分やこうるさい保護者たちの身にもなってみろ」という意味なのではあるまいね。
 それはそれとして、この不思議な小説を読んでいると、視界の悪い霧のなか、どこがゴールか分からないまま、やみくもにドリブルで走り続けていて、「感じろよ!」を連発されている気分になるのであった。いや、それは決して気分の悪い経験ではなく、かといって逆に爽快かと言えば、そうでもなく、やはり不思議としか表現のしようがない。

 この小説には、コクトー『恐るべき子供たち』ゴールディング『蝿の王』ヒューズ『ジャマイカの烈風』、そしてカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』などの「モンスター系」子どもたちの文学の香りをかぎつけることができる。
 そういった小説に限らず、一個の作品として立つものは、ごちゃごちゃした言い訳めいた表現で自らの正当性を説明するような真似はしない。作者が構築した人間観・世界観が「感じろよ!」とばかりに系を閉じてしまっていても、「それで上等じゃねぇか」と思える者だけが作品鑑賞者としてついて行けば良いだけの話なのである。
 とある時代のとある場所に、これこれこういう設定の人たちが暮していて――『スカイ・クロラ』シリーズはどうもそのような親切で分かりやすい説明を省いたところに展開するシューティング・ゲームじみた物語だ。解釈の多義が許される「ゆるい」とも言える設定に、シリーズ累計1000万部と言われるファンがついていることを、何百万通りの「感じ方」があったとして素直に受け止めて良いのかどうかは疑問である。
 なぜならば、私には「何かいいんじゃない」という感じはあったものの、そう受け止めている自分の感覚に、どうも自信が持てないまま読み終わり、そして読後もその状態がつづいているからだ。

 感じはするさ。
 戦闘機で人を殺すのが仕事だという主人公が、舞台となる基地に赴任してくる前の記憶がなかったり、なぞめいた女性上司と不器用なコミュニケーションを交わしたり、戦闘機乗りたちが死んでいっても、それが淡白に語られたり、終盤で、そういう状況を納得させる設定がようやくにつまびらかにされたりするのだから……。
 つまり、物語の解体までは行われておらず、破綻だってなく(でも、生まれて20年ほどにしかならないキルドレが子どもを生んでいるというような設定には、キルドレにどういう生物的特徴を与えているのかと思わず考え込んでしまった)、そういう意味では、小説としての体裁は十分に取られているのだから……。
 けれども、透明で冷たく乾いた空気を肌に感じ取っても、情を交わし合えないようなキャラクターたちの孤独感めいたものを理解しても、彼らが口にする冴えた言葉のいくつかにはっとさせられても、そうした部分部分が一体となって、何か大きなものを気(け)取らせようとする感じはないんだな。
「上等じゃねぇか」と言わせしめるためには「核」がほしい。その核は小説解体のような「実験」、つまり大いなるたくらみであろうと構わない。
 ところが、どうもこの『スカイ・クロラ』は環境音楽的で、気持ちよく流れていくだけだ。読者に「読める」「読めない」という差異をもたらさないことが、小説的なるものへの挑戦なのかもしれないとも推測するが……。
 流れているだけ。だからこそ音楽や映像との相性がとても良いのだろうと想像がつく。
 あるいは、そういった他ジャンルとの融合で完成されていくスタイルというものもまた、小説的なるものへの挑戦なのだとも推測できなくはない。

 とまあ、五里霧中の状態のまま、いろいろ考えてはみたけれども、このシリーズ1巻めでは「感じること」だけが求められていて、5巻が完結したとき、もしくは番外篇のなかで、霧がさあーっと晴れてきて、突如私のような読者が「読める人」の仲間入りを果たすことができるようになるのかもしれないという期待もある。霧の向こうに、「核」と呼ぶべき、大きなものが鎮座している可能性だってある。
「なかなか面白いよ」という中坊の息子の続篇の感想を聞きながら、機会あれば続きも読んでみることになるかもしれない。
 それにしても、キルドレは「キリシタン」みたいなもので、childrenを和風に発音しながら、killを掛けた造語なのだろうか。そんなことも気になるし、恒久的な平和が実現した世界なんて、絶対にあり得ない設定がけろっとされているのが面白いし、イケてるカンナミくんのことも、もうちっと知りたい気もするし、ね。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/06/30 21:56

この作品だからこそのあの装丁だったのね

投稿者:うさしー(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

森博嗣さんの作品は独特の雰囲気があるのだが、特にこの作品は森博嗣色が濃い。
主人公が見たり、聞いたり、体験したり、考えたりしたことだけが語られている。
その淡々とした語り口は、ともすれば退屈になってしまうのだけれども、読んでいくと映像が浮かんでくるようで厭きることはない。
私は文庫本版で読んだのだが、最後まで読んだ時、ハードカバーのあの美しい装丁を思い浮かべた。
これから読む人はぜひハードカバーで読むことをお勧めします。
装丁を眺めちゃう事、間違いナシです。

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