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アークエンジェル・プロトコル (ハヤカワ文庫 SF)
2076年、元ニューヨーク市警の刑事で、いまはしがない私立探偵のわたしは、その依頼に愕然とした。「いまはリンク上に現われている天使は偽者なので、その正体を暴いてほしい」と...
アークエンジェル・プロトコル (ハヤカワ文庫 SF)
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商品説明
2076年、元ニューヨーク市警の刑事で、いまはしがない私立探偵のわたしは、その依頼に愕然とした。「いまはリンク上に現われている天使は偽者なので、その正体を暴いてほしい」というのだ。しかも男は、報酬としてリンクとの接続の回復を申し出た。そんなこと、絶対に不可能なのに…世界大戦により荒廃したニューヨークを舞台に、電脳空間に出現した天使の謎を追う女探偵の活躍を描く、アメリカ私立探偵作家クラブ賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【アメリカ私立探偵作家クラブ賞】【「TRC MARC」の商品解説】
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SFなのにアメリカ私立探偵作家クラブ賞受賞作
2006/10/15 00:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シノスケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大戦後、メデューサ爆弾により荒廃したニューヨーク。ディードリ・マクマナスは警察を辞め、リンクからも切り離され、苦痛とともに日々をすごしていた。世間ではリンクに忽然と現れた天使の話題で騒然としているというのに! さて、警察を辞め、リンクとの接続を回復できる見込みのないディードリ。彼女の元にきた依頼人は、こともあろうか世界の人々の大半が信じるリンク天使を偽造だといい、さらには絶対不可能であろうリンクとの回復を報酬として提示してきた。荒廃した世界と、張り巡らされた電脳世界を舞台に女探偵が謎を追いかける……。
電脳、荒廃した世界、リンク等々、サイバーパンクの下地たっぷりに、ハードボイルドが語られる。語り手たる主人公ディードリは、アンナ・リー、V・I・ウォーショースキー、サーズデイ・ネクスト、解説で語られている彼女ら女探偵に負けず劣らず魅力的な探偵だ。元敏腕刑事、電脳世界への能力は折り紙つき、しかし今はさえない私立探偵に身をやつしている。元恋人は投獄され、その事件の真相はいまだ解明されず、心に残している傷は深く大きい。
凄腕のハッカーやAI、リンク中毒など、何か目新しいギミックが登場するわけではない。しかし、折に触れて混ぜられるディードリの心情と、天使の超自然的な存在がSF的な背景に巧みに色付けをしていく。マイケルとのロマンスや、普通には起こりえない奇跡の存在があるけれども、核となるのはあくまでもディードリ、つまり人間だ。さすがに欧米の小説らしく、宗教観がたっぷり詰まっているし、ファンタジイにサイバーパンクにハードボイルドにとちょっと欲張りすぎだけれども、基本はエンターテイメント。さてこの世界の終末やいかに。続きもぜひ読みたい。