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海駆ける騎士の伝説

  • 出版社:徳間書店
  • サイズ:19cm/282p
  • 利用対象:小学生
  • ISBN:4-19-862276-0

海駆ける騎士の伝説

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ (作), 野口 絵美 (訳), 佐竹 美保 (絵)

  • 全体の評価 53件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,57545pt
  • 発行年月:2006.12
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「海駆ける騎士の伝説」

舞台は百年以上前の英国。十二歳のアレックスとその姉セシリアの家は、海を見おろす丘にあった。この海には恐ろしい伝説がある。百年に一度、海の向こうにあるという死の国から“運命の騎士”が現れ、その姿を見た者は、流砂にのまれて、死ぬ運命なのだと。ある冬の夜、アレックスの家に、見知らぬ若い男が一夜の宿を求めて訪ねてきた。まるで中世の騎士のような身なりの、気品に満ちたその男は、ロバート・ハウフォース卿と名乗ったが、翌朝には姿を消していた。セシリアは、なぜかその男のことが忘れられなかった。しばらくたったある日、アレックスとセシリアは海岸で信じられないものを見た。近くの島の上空に、馬に乗った騎士たちが躍り出たのだ。その先頭はロバートだった。“運命の騎士”の謎を解こうと、島へ向かったアレックスたちは、島から海の向こうへと続く流砂の中に、隠された道を見つけ…。十九世紀の英国と時のはざまにある伝説の国を舞台に、二つの世界の子どもたちと騎士が活躍する、ロマンチックな冒険ファンタジー。英国の「ファンタジーの女王」による、若き日の傑作。【「BOOK」データベースの商品解説】

100年に1度現れるという伝説の騎士たちを目にした12歳のアレックスと4つ年上の姉セシリアは、謎を解こうと、海辺の小島へ向う。流砂の中に隠された道を見つけたふたりは、少年大公・エヴァラードが治める世界へ…?【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「海駆ける騎士の伝説」

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

略歴
〈ダイアナ・ウィン・ジョーンズ〉1934年イギリス生まれ。オックスフォード大学セントアンズ校でトールキンに師事。イギリスを代表するファンタジー作家。著書に「ダークホルムの闇の君」「ハウルの動く城」シリーズなど。

ユーザーレビュー- 「海駆ける騎士の伝説」

全体の評価
5.0
評価内訳 全て(3件)
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★★★★☆(1件)
★★★☆☆(0件)
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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/03/25 15:38

母親である作家が描く、「母親」の存在の極めて薄い物語

投稿者:hamushi(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 作者が子育てに追われながら、自らの楽しみのためだけに書き始められたというこの作品では、なぜか「母親」の影がひどく薄い。
 主人公のセシリアとアレックスの姉弟の母は早くに亡くなっているというし、二人の前に「運命の騎士」として現れるロバートの母親は、事件に押し流されるように、あっさり服毒自殺してしまう。異世界の大公であるエヴァラードの母に至っては、まだ年若い息子の安否を案ずるばかりで状況把握もできないまま、さっさと修道院へ逃げ出してしまう。
 影が薄く役に立たない母親たちとは別の意味で、物語中の「父親」たちの存在も、甚だしく役立たずである。セシリアたちの父であるホーンビー氏は、財産を作って上流階級の仲間入りをすることに必死で、子供たち、とくに娘のセシリアの追いつめられた心情などには全く耳を貸さずに、無神経に踏みにじるばかりである。ホーンビーが取り入ろうとしている名門コーシー家の父親は怠け者の穀潰しで、ホーンビーの助けがなければ全財産を失いかねない状況にある。異世界のエヴアラード大公の父は物語の始まる前にあっさり謀殺されて既に亡く、その陰謀の黒幕である人物も、自分の息子とその乳兄弟を利用して、散々な悪事を働いている。
出てくる親という親がことごとくろくでもない存在であるような物語を綴ったジョーンズの心情は分からない。けれども親たちがこの体たらくであるが故に、子供たちの冒険は一層危険で、魅力的なものとなっているのも事実である。
 セシリアが父親に庇護されて暮らすことに何の疑問も持たないファザコン娘であったなら、十代半ばで運命の相手と共に生きる道を選ぶような決断など出来たはずもないだろう。まだたったの十二歳であるアレックスにしても、異世界の大公に深い信頼を寄せられるほどの勇気や思慮の深さを発揮できたのは、肝心のときには大人なんぞ役に立たないということを、それまでの生活で骨身に沁みて分かっていたからではないだろうか。
ジョーンズはもしかしたら、猛烈に手のかかる自分の子供たちが一日も早く親の手から離れて、立派に自立した人生に船出していくことを願いながら、この物語を書いたのかもしれない、と思う。それは子育てに忙殺されながら自分だけの時間を切なく求める全ての母親たちの悲願でもあるが、同時に、日一日とその時が近づくことを怖れる心情があることも事実である。ろくもでもない親たちから離れて子供たちが自立の旅に出る物語は、そんな心情を抱える母親である読者にも、得も言われぬ波紋を投げかけてくるけれども、それもまたジョーンズが意図的に物語に仕掛けた皮肉ないたずら心であるのかもしれないと思えてくる。ジョーンズという油断のならない作家のことであるから、たとえ処女作であっても、そのぐらいの意地悪は仕組まれていると考えても不思議ではない気がする。
 なんにせよ、三人の子供たちが引き起こす猛烈ないたずらや騒動にまみれながら、細切れに与えられる貴重な自分の時間のすべてを使って没頭するだけの価値のある、すばらしい物語であったことは間違いない。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/08/20 16:43

デビュー前の作品が、こんなにワクワクさせるとは驚きだ。

投稿者:YO-SHI(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 なんと、この作品はジョーンズの1970年のデビューを4年遡る1966年に書かれた作品。著者が30才のころ、3人の子育てに追われながら自分の楽しみのために書いた、6つの作品の6番目だという。つまりは素人作品ということ。それでこの面白さ、ワクワク感は驚きだ。

 舞台は100年以上前のビクトリア時代の英国。主人公は、16才のセシリアと12才のアレックスの姉弟。2人は海辺の丘に住んでいて、そこから浅瀬でつながる島には、幽霊が出るとか、行った人は帰って来ないとかいう噂がある、廃墟となった城がある。
 ある夜、その島から来たという中世の騎士のような出で立ちの男が、助けを求めて2人の家を訪れたことから、2人の冒険が始まる。島へ渡る秘密の道、隠された王国、そこで起きる陰謀。この作品がもっと早くに世に出ていたら、著者の代表作になったのではないかと思わせる完成度の高さだ。

 完成度の高さ、という点には少し補足が必要かと思う。本書は比較的短い作品だということもあって、ストーリーに複雑さが少ない。後の作品のような、入り組んだ展開や隠された意味のような仕掛けが少ない。
 複雑な伏線はジョーンズの持ち味とも言えるが、読み手の力量が足りないと、読み終わっても何だかスッキリしない、もう1回遡って読んで何とかやっと分かる、という事態に時々陥る。本書は、こういった心配がないので、これを私は敢えて「完成度が高い」とした。もちろん裏を返せば「平板でつまらない」とする向きもあるだろう。
 しかし「平板でつまらない」と思うかどうかは、読んでみないと分からない。(私はつまらないとは思わなかった。)だからジョーンズファンの人には、これを読まないという選択はないように思う。

 こういった現在の作品との比較のことは、「訳者あとがき」にも同様のことが書いてある。ついでに訳者の言葉を借りれば「ジョーンズ作品を読みなれていない読者にもおすすめ」である。ジョーンズが初めての人は「ハウル」や「クレストマンシー」シリーズの前に、本書を読んでみてはどうか?と思う。

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/02/18 13:47

ゴシックな島への幻想

投稿者:うみひこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズが、初めて書いた物語。それは、イングランド北部に実在する島を舞台に描いた騎士たちの六巻にわたる物語だという。その殆どが失われたということだが、最後の六巻だけが独立した物語として楽しめるということで、短編集に収められたことから、ここに独立した物語としてその翻訳を見ることができた。
 物語は、今から100年ほど前のイギリス。セシリアとアレックスの姉弟は、海を望む丘の上に立つ農家の生まれだが、父親が財産を蓄えていったおかげで、湾の中に流れ込む河口にある島を貴族のコーシー一家から買い取り、彼らとの付き合いが始まったりして、なんとなく居心地の悪い日々を過ごしている。父親の買い取った島には、昔から不気味な幽霊騎士の伝説があり、島は、あの世と繋がっているとも言われていたりする。だが、ある日、二人の家に不思議な騎士が現れ、追われているという彼を匿ったことから、二人は島に渡り、そこにある不思議な世界での騎士たちの争いに巻き込まれていくことになるのだ。
 六作目ではあるけれども、一応処女作だけあって、とても素直なファンタジーの感触がするこの物語だが、確かにその背後には五巻にわたる物語があるだけ、厚みがある世界を感じさせ、読み応えがある。そして、なによりも、作者らしい子供の心の動きの見事さに感心する。私にとって、ダイアナ・ウィン・ジョーンズは「怒りっぽい」人間を書く作家なのだが、今回も、アレックスが少年大公と何度も何度も喧嘩を繰り返しながら、そのたびに相手にとっての理解を深めていく感じ、
「ああ、そうだったんだ、悪かったかな」
という風に変わっていくところが、とても魅力的で、子供の心理描写の見事さを感じる。島で、大人になる年頃の姉の美しさに初めて気づく場面や、コーシー家の子供達との喧嘩や行き違いがやがて解かれていく所など、この作家ならではの心の動きの描き方や物語の展開の特長を、いくつも見ることができる。
 そして何よりも、島の魅力。もしあなたが、目の前に湾の中につきだした島を見たら、どうするだろう。遠くに見える城塞の廃墟。水が引けば、そこまで歩いて渡れるはずなのだが、流砂や激しい潮の満ち干きで、道を見つけるのが難しい。そんな景色が、目の前にあれば、誰もが夢見る気分に誘われるのではないだろうか。例えば、あるドイツの画家はイタリアで見た「岩場に立つゴシックの大聖堂」の絵に、不思議な騎士たちの一団を描き加えずにいられなかった。激しい風に煽られる帽子に付けられた白い羽根の翻る様まで、画家の夢見る視線の先には見えていたに違いない。
 そんな島に、やはり風に震える白い羽根を付けた帽子をかぶり、オレンジ色のマントを翻し、素早く馬を駆けて海を渡る騎士を見たダイアナ・ウィン・ジョーンズ。彼女がゴシックな島に繰り広げたファンタジー世界を、是非、お楽しみあれ。

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