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オケマン大都市交響詩 オーボエ吹きの見聞録 (中公文庫)
オケマン大都市交響詩 - オーボエ吹きの見聞録
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紙の本
世界を駆け巡る日本のオーボイスト
2006/12/17 21:00
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHK交響楽団首席オーボエ奏者の茂木氏の連載といってもよい、修行で渡独した際の出来事をまとめたものである。茂木氏の筆は冴えている。内容も面白いのだが、その書き方や表現の方法に卓越したものを持っている。人をひき付ける力を持っている。
テレビドラマの『のだめカンタービレ』にも一枚噛んでいる茂木氏だが、本書を読んでいると、何やら「のだめ」らしき雰囲気も感じられるから不思議である。
本書は茂木氏のこれまで旅をした世界中の著名都市での騒動記を取りまとめたものらしい。騒動記は大げさであるが、その都市での茂木氏の思い出といっても良いかもしれない。
いや、よくこれほど旅をするものだと思うのだが、旅とはいってももちろん観光旅行ではなく、演奏旅行である。
茂木氏の師であるギュンター・パッシンやヘルムート・リリンクなどを通じて仕事が舞い込むようだ。演奏家はこういう伝を大事にしていくと、みるみるうちに多忙になるようだ。もちろん、腕があることが第一の条件ではあるが。
これらの逸話の中には日本人の同僚がよく登場する。いずれも日本を代表する奏者ばかりだが、考えてみると、日本のオケの主要メンバーの中にはドイツを始めとする欧州で修行を積み、帰国した人々が多い。日本のオケのメンバーになるには、ドイツで修行することが条件のように思える。たしかに、欧米のオケには必ずといってよいほど、日本人奏者が在籍している。まさに一大勢力を成しているのだ。
本書は旅にまつわる話が多いのだが、N響での日常の演奏活動はどうなのかという疑問も出てくる。これらはまた別の巻になっているようなので、そちらも読んでみたい。茂木氏の行動自体は場所が変わるだけであろうと想像はつくのだが、もっと行動範囲が広がっていそうな気もする。
自分の仕事でドイツに留学し、そのまま現地の音大の教師となり、ついには現地のオケでプロ奏者になるなんて、結構うらやましく思う。これだけさまざまな体験ができれば、人生言うことなしではないか。もっとも、茂木氏のここに書かれていない艱難辛苦については当然差し引いての感想ではあるし、ましてや才能についてはまったく別問題ではある。