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紙の本
ホモ・フロレシエンシス 1万2000年前に消えた人類 上 (NHKブックス)
著者 マイク・モーウッド (著),ペニー・ヴァン・オオステルチィ (著),馬場 悠男 (監訳),仲村 明子 (訳)
インドネシアで発見された新種人類、通称ホビットの姿は、人類進化史の常識を根底から覆すものであった。世界的な研究ネットワークを総動員しながら、「50年に1度」と評される大発...
ホモ・フロレシエンシス 1万2000年前に消えた人類 上 (NHKブックス)
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商品説明
インドネシアで発見された新種人類、通称ホビットの姿は、人類進化史の常識を根底から覆すものであった。世界的な研究ネットワークを総動員しながら、「50年に1度」と評される大発見にいたるまでの発掘物語を描き出す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マイク・モーウッド
- 略歴
- 〈マイク・モーウッド〉考古学者。オーストラリア・ウーロンゴン大学教授。ホモ・フロレシエンシスを発見。
〈ペニー・ヴァン・オオステルチィ〉作家。ポピュラーサイエンス書を多数執筆。
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現生人類の出自探求に大きな意味を持つホネの発見
2010/01/25 10:58
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類の進化と言えば,オレが子供のころには,サル(との共通の先祖)→猿人(アウストラロピテクスとか)→原人(ピテカントロプスとかシナントロプスとか)→旧人(ネアンデルタール人)→新人(クロマニヨン人)と,まるで昆虫の変態みたいな一本道の説明がされていたような気がするのだが(オレは確かそういうマンガの本を持っていた),最先端の研究によれば……いや言われてみれば当たり前なんだけどもっと遥かに複雑なんである。
以前ディスカバリーチャンネルで観たように初期の現生人類とネアンデルタール人はヨーロッパの一部で共存していた時期があるというし,その現生人類の出自に限ってもアフリカで発生した一種が爆発的に広まったという出アフリカ説と,既に世界中に分布していたホモ・エレクトスからそれぞれの地域で進化したという多地域進化説があって云々カンヌン。ややこしいと言えばそうだがそのスジの人(どのスジだ?)にとってはたまらなくエキサイティングな状況だ。
2004年にインドネシアのフローレス島リアン・ブアの洞窟から,それまでの常識を覆すような初期人類の骨が発見された。約12,000年前(日本で言えば縄文時代である)と鑑定されたこの骨の主は,身長1m,脳容積が400mlしかないにも関わらず同時に発見された遺跡から明らかに石器を作り動物(絶滅した小型のゾウなど)を狩って生活していたらしい。
それがなんで常識を覆すのって? 400mlという脳容積は現生人類どころか旧人ネアンデルタール,原人ピテカントロプスよりも小さく,なんと猿人アウストラロピテクス並みなのである。つまり海流によって長いこと他の陸地から隔絶されていたこの島では,ずっと古い時代,すなわち猿人の頃にやって来た人類が独自の進化を遂げ,道具を使って集団で狩りをしながらついこないだまで生き残っていたってことなんですな。
細かい話はご自分で読んでいただくとしてこの発見は世界中を驚愕させた。だってそうでしょ,このホビット(……という愛称で呼ばれる。まぁホビットだよな)が12,000年前まで生きていたのなら,イエティだってビッグフットだってヒバゴンだってこの種の生物の生き残りであってそれほど不思議やないやないの。いやそういう「ケロロ軍曹」の冬樹君的発想は別としても,このホネは前述した現生人類の出自に関する論争に対しても大きな意味を持つわけであり,余波は純然たる学問的論争を離れて進化論を信じない空飛ぶスパゲッティ方面やあるいは先進国が発展途上国からこの種の遺物を収奪してきた歴史論争方面にまで拡大し,発見者の立場から描かれたこのドキュメントを実に波乱万丈,だけどちょっと枝葉多すぎという読み応えのある本に仕立て上げている。
特に日本語訳は,本文で徹底的に悪役に描かれているインドネシア人学者,故テウク・ヤコブとも親交のあった国立科学博物館の馬場悠男先生のバランスの取れた解説付きなので分かりやすい好著になった。是非ご一読を。