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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.6
- 出版社: 東洋経済新報社
- サイズ:20cm/344p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-492-22283-6
読割 50
紙の本
女女格差
著者 橘木 俊詔 (著)
低学歴と高学歴、結婚と非婚、正社員とパート、美人と不美人…。日本社会で格差が広がる中、女性の間でも格差は広がっているのだろうか。格差社会の第一人者が、女性の人生でのさまざ...
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商品説明
低学歴と高学歴、結婚と非婚、正社員とパート、美人と不美人…。日本社会で格差が広がる中、女性の間でも格差は広がっているのだろうか。格差社会の第一人者が、女性の人生でのさまざまな格差を鋭く検証する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
橘木 俊詔
- 略歴
- 〈橘木俊詔〉1943年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。同志社大学経済学部教授。「日本の経済格差」でエコノミスト賞、「家計からみる日本経済」で石橋湛山賞を受賞。
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紙の本
なんとなく、そうだろうなあ、って思っていたことが様々なデータで事実として示されます。そして今も変わらず、玉の輿、は健在です。
2008/12/06 19:13
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
女々しい、という言葉があるので「めめかくさ」だとばかり思っていたら「じょじょかくさ」なんだそうです。ぎょぎょ、です。装幀の記述はありませんでしたが、orion/amanaimages という注記があります。私は好きです、このカバー。なんだか高橋幸彦の絵を思い浮かべたりして。
タイトルの『女女格差』というのは『女々格差』と比してかなりのインパクトですが、本の内容は、決して目新しいものではありません。ただ、どちらかというと今までは男女格差は論じられてはいても、女性間の格差について表だって語られることが少なかったので、それがデータで示されると、数値の重みに圧倒される、そういう本です。
カバー折り返しには
どのような親のもとに生まれるのか、教育をどこまで受けるのか、
結婚するのかしないのか、離婚するのかしないのか、子どもをもつの
かもたないのか、専業主婦になるのか働き続けるのか、総合職か一般
職か、正社員かパートタイマーか、美人か不美人か……。
女性の人生でのさまざまな格差を検証し、その差が合理的なもの
なのか不公平なものなのかを分析する。
と書いてあります。性別に関係なく今までの社会には多くの格差がありました。資産格差、資格格差、出身地格差、学歴格差、男女格差、男男格差、そして女女格差。家系、容姿といった生まれついてのものから、社会的な仕組みに関係するものまで様々です。無論、それらが別々にあるというのではなく、色々組み合わさってのものなので複雑ではあります。
この本で示される格差も、単に女女格差にとどまるものではありません。数多のものが示されますが、基本的には私たちが知っているものばかり。でも、東大への女性の進学が増加したのは、決して昔からのことではなくこの20年くらいのことだと書かれてあると、え、そんなに最近の話?なんて驚きます。さらに、東大を出た女性は全員が就職している、というのも表にして示されると、「就職するなら女の子は東大」って言いたくなります。
学歴だけではありません。美女はお金持ちと結ばれるというのも、ドラマとしてではなくレポートとして出されると、矢張り、と唸りたくなります。そしてお金持ちは、段々その資産を減らし、貧しい家庭はそこから徐々に這い上がる、それも結婚を通じて、とかかれると「結局、玉の輿か」なんて肯いてしまいます。
この本に書かれていることの中で、現実を見ていないと思われる点があるので書いておきます。それは女性の実家についてです。嫁いだ女性は、結婚相手の階層に所属して実家の階層から外れるように記述されていますが、それは女性が貧しい階層の出身の場合で、上流階級の女性は殆ど死ぬまで「いいところのお嬢様」であり、実家のほうも陰日向に支援をします。それと周囲の目です。本人が望むと望まざるに拘わらず、周囲は女性の実家を意識し、配偶者もその恩恵を受けます。その点についての考察が甘い!
ちょっと脱線しますが、政治家などの汚職でマスコミは本人だけを悪いとして関係者も職務権限の範囲に限定し、無言の影響力について口を噤みますが、実はそれで一族郎党が恩恵を受けています。本人が口をきかなくても、その父親が、あるいは祖父が有力者である、それだけで周囲は遠慮し、配慮をします。私が汚い政治家を嫌うのは、本人もありますが、その力を無言で利用しながら、いざ犯罪となると、それは本人だけの問題として逃げおおせる一族の薄汚さにあります。実家の力は結婚で薄れることは、ない!
繰り返しますが、この本に書かれていることは今までも数値データはないものの、身の回りに起きた結婚話や、職場で泣き崩れる女性の姿から朧げに浮かび上がり、喫茶店で、給湯室で、ロッカールームで、披露宴の席で小声で語られてきたものです。ただし、折れ線グラフがつき、年代ごとの数値が集められて、その動きがいつから始まり、どのように変化してきたかがはっきり分かるようになっています。
私がこの本を読もうと思ったのは、大学生の長女と、大学受験準備の最中にある次女に読ませたかったからです。彼女たちを待ち受ける厳しい現実、あるいは夢のある未来を知ってほしかったからです。感動はありません。でも感心はします。その上で、この事実に立ち向かうのか、逃げるのか、あるいは馴れ合うのか、決めるのは私たち自身です。
以下、各章の内容を簡単に紹介します。
はしがき
第1章 男女格差
1 人口学からみた男女格差:寿命差、離婚、妻が子どもを引き取る、高齢化した独居女性といった現実。
2 労働の男女格差:女性の就業率は高くなるが、女性が就職できない業種はあり、女性は非正規労働が主流。 など
第2章 女性の階層
1 女性の階層はどう決まるか:共稼ぎの女性の階層を決めるのは夫、自分、夫婦?
2 出身階層が女性の人生におよぼす影響力:実家の経済力が決める娘の進学。 など。
第3章 教育格差
1 教育の需要と供給:大学進学にはお金がかかるという現実。
2 女性の教育を需要と供給から評価する:女性の大学進学率が30%を越えたという事実。 など。
第4章 結婚と離婚
1 人が結婚に至るプロセス:再婚者も含めた結婚生活者は90%。意外なことに男性の非婚志向が高い。
2 結婚しない理由:結婚できない、という人より、結婚しないと答える人が多いという現実。 など。
第5章 子どもをもつか、もたないか
1 出生率の細かい検証:子ども2人という家庭の数は変わらないものの、3,4人という家庭は減っている。
2 人は子どもをなぜほしがるのか:本能、博愛主義、経済取引? など。
第6章 専業主婦と勤労女性
1 専業主婦は女性の夢だった:見る人によって評価が大きく分かれる専業主婦。でも時代は変化している。
2 専業主婦からの脱出:既婚女性の有業率は60年代と90年代では15%も増加している。 など。
第7章 総合職か一般職か、そして昇進は
1 総合職と一般職の違い:コース別人事管理が生み出す格差。
2 コース別人事管理制度の導入理由と歴史的変遷:男女雇用機会均等法が生んだ仕事の差。 など。
第8章 正規労働か、非正規労働か
1 就業形態の実態:女性の半数以上が非正規労働という事実。
2 就業形態による処遇の格差:賃金、賞与、様々な点で有利な正規労働者。 など。
第9章 美人と不美人
1 美人・不美人はすぐれて主観による:時代によっても美人の基準は変化する。
2 平均への回帰:高額所得者の所得は低下し、低額所得者のそれは上昇するという一般的傾向。 など。
第10章 おわりに
参考文献