紙の本
厚さ3.7cm、522ページ!!につまりまくった面白さ
2020/09/18 23:10
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
1997年の「もののけ姫」、2001年「千と千尋の神隠し」、2004年「ハウルの動く城」、2008年「崖の上のポニョ」をめぐり、宮崎駿氏による原稿、対談、語り、のすべてを一冊にまとめたもの。特に、「もののけ姫」に関しての対談のひとつに、歴史家の網野喜彦氏、哲学者の梅原猛氏、民芸運動家にして富山県光徳寺の住職・高坂制立氏という豪華な顔ぶれのものが収録されていて、それが圧巻。
室町時代あたりからの、武士対農民の図式を外れた、日本の歴史。そして、森の神様、日本の八百万の神様やら...。「もののけ姫」にこめられた日本の話がこれでもかこれでもかと。
何にも考えずに映画を観た私としては、DVDを借りて再度確認してみたい気満点です。
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「もののけ姫」から「ポニョ」までの10年間の宮崎さんのインタビュー、対談、エッセイ、詩…あらゆるものをまとめた一冊。分厚くてなかなか読みでがあり、楽しめた。世の中のあれだけ多くの人たちが宮崎氏の作品を鑑賞するのに、なぜ流れはこうも宮崎氏の向かいたい方向とは逆を行くのだろう?発展しすぎて退廃の一途をたどっているかに見えるこの世界。宮崎氏の目指す方向とは違うが、氏が予言したとおりの方向に進んでいる。
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宮崎駿氏の講演、対談、インタビューなどをまとめたもの。当然重複する部分があるのだが、表現を変え聞き手を変えて語られる話を繰り返し読むことで、とても伝わりやすくなっている。最初から一冊の本にするつもりで書かれたものにはない利点であろうと思う。
価値観を激しく揺さぶってくるところがあってなかなか冷静には読めないのだが、それゆえに非常におもしろい。自分がさかしらな都会人であることを思い知らされ、自分にできることの小ささに途方にくれ、それでも何かをしたくなる。そんな触発する力を持った本。
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もののけ〜ポニョあたりまでの宮崎駿さんの書かれたものをまとめた感じなんですけど。
とにかく分厚い。
中身のアニメについてどうこう語るというより、そのバックボーンとしての昔から今の環境とか、人とかを語っていて勉強になります。
養老さんとの話は興味深いです。
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もののけ姫と千と千尋の神隠しに関するインタビュー等をまとめた本
映画の登場するキャラクターの意味や監督が込めた想い等が語られている。
自然や時代についての見方を考え直す時に読み直したい本。
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メディア露出がほとんどない宮崎駿の考えにたっぷり触れることができる貴重な1冊。「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」に関するインタビューが特に多く、これを読んでから映画を観ると、受ける印象が大きくと変わる。読んだ後「ハウルの動く城」を観たら感動した。
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私の人生において、おおいに影響力をもつ宮崎監督。いわずもがな、世界的な監督(影響されてない方が少ないのでは)のインタビューやエッセイ、メモなどが編集されてます。
その創造の泉に一端でも触れたいとき、読みます。
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「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」の作品論、インタビュー、対談。文化人類学的な要素もたくさん入っており、とても面白い。宮崎駿の視線て、とても遠い所を見てるのかと思いきや、距離ではなくて周囲180°を見回しているだけなんだと感じた。
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『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』から最新作『崖の上のポニョ』まで―企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、直筆の手紙など60本余を一挙収録。宮崎駿12年間にわたる思想の軌跡。
宮崎駿の完成品が出来るまでの過程をのぞけます。
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1996年に出版された『出発点』の続編となる一冊。
「もののけ姫」、「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」、「崖の上のポニョ」に至るまでの12年間をインタビュー、エッセイ、対談等によって振り返っている。
まず、本そのものの印象としては、前作よりもはるかに読みやすい。
『出発点』では文章は項目ごとにまとめられ、雑多な印象を受けたが、『折り返し点』では全て時系列に並べられている。そのため、宮崎駿の心の移ろいが比較的分かりやすく綴られている。
作品論として語るならば、『出発点』と『折り返し点』を読んで、「もののけ姫」に対する理解が一層深まった。宮崎駿は「環境」について、特に熱心な監督ではあるが、「もののけ姫」でこの問題に対する一つの結論を出していると思う。「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」では、宮崎はまだ“文明社会vs自然”という構図でしか両者の関係をとらえていない。しかし、「もののけ姫」ではそうした構図は適用せず、敢えて曖昧にすることを選んだ。
本書にもあるように、現代の環境問題とは「罪ある人間」が「素晴らしい自然」を壊すから問題なのではなく、「善良なる人間が良かれと思ってやったこと」が結果的に「環境問題」につながるのであり、人間と自然との間にはもっと「宿業」とも言えるような関係がある。
本書を背景に「もののけ姫」を見ると、確かに善と悪は極めて曖昧になっていることに気づく。タタラ場を仕切るエボシは善悪の二面性を秘め、対する神々もその二面性を持っている。どちらかが善い悪いと言う訳でない。しかし、それでもなお「対立する両者が共に生きる道はある」と説くアシタカは、正に「この映画は環境問題に対する姿勢に関する映画」という宮崎駿のある種の代弁者と言えるだろう。
「もののけ姫」で長年考えてきた問題に一つの終止符を打った宮崎駿は、これ以降もっと根源的で、観念的なテーマで映画を制作していく。キーワードは「こども」だ。本書にも繰り返し「こどもが喜ぶ映画を」といった文章が散見されるようになる。この社会はどうしようもない。こどもたちもやがてつまらない大人になっていく。諦観とも受け取れる発言を繰り返しつつ、それでも「こどもこそ希望」と説く宮崎駿。(本人にもその自覚はあるようだが)その様子にはつい「老い」を感じてしまう。
それ以外にも本書には宮崎駿の魅力が詰まっている。
前作以上に驚かされるのはその観察眼の鋭さである。例えば、342ページから始まる「富士見高原はおもしろい」という講演を収録した文章。一冊の本とわずかな散歩を手掛かりに、宮崎駿はそこがかつて大変栄えた村であったと推論するのだが、そのプロセスはとても説得力がある。そのバックボーンとなる普段からの情報インプットもそうだが、一つの事柄に関する鋭い洞察と深い考察はそこらの下手な学者をも軽く凌駕する。その洞察力の土台の上に宮崎駿のファンタジーの世界が広がっていることが良く分かるエピソードであり、大変興味深く読むことができた。
ジブリファン、宮崎駿ファン以外にもオススメの一冊である。
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とにかく全編通して宮崎さんの想いとしては
『戦後~今までがたまたま平和であれただけで、
これからは色んなことが、スッチャカメッチャカになる。
でも長い歴史で今までもそうだったし、本来そういうものだ。
ここ何十年の間、平和ではあったが、
退屈で無駄で馬鹿でもあった。
どんどん変化し、今までのものを手放したりする時代の中で
生きること、次を捜すことは、とても辛くて苦しいけれど、
それでこそ命は輝くし、世の中は複雑で豊かであるし、
なにより、変化の時代には楽しさや発見が多くある
(それを糧に新しいクリエイターにはモノを作ってほしい)
(その中で子供たちを祝福し、生きて輝いてほしい)』
ってかんじだろうか。
『紅の豚』と同じく『ハウル』は自分のために作った映画という
宮崎さんの言葉もあり、なるほど、この本で全くハウルについて
全く語られていないのも、そういうことかなと思った。
ポニョは、観たときに、個人的な感想として
『ああ、母親の描き方がすごくいいな、
現代の母親の理想のひとつかな』
とも思ったけれど、この映画は、現代の男性・女性の代表として
主人公も含めた登場人物にしっかりとした設定がしてあって、
なるほど、すごく的を得ていると思ってゾクッとしたのが、
一番の収穫。
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宮崎さんの『もののけ姫』以降、12年間の軌跡。この間の作品は『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』と『崖の上のポニョ』。映画製作以外の活動としてはジブリの森美術館の設立等があり、それらについて、直接的間接的に宮崎さんがどう考えているのかが本書で伺い知ることができます。
但し、『もののけ姫』から時代が新しくなっていくに従って、映画自体について語られる事が格段に減って行きます。(特に『ハウルの動く城』については、本書では全く語られていませんでした。この作品は僕にとっては難しかったので、これについては非常に残念だった。)
これは映画作品については作品自体から感じて欲しいという、宮崎さんの意図(希望)があったのではと思いますが、宮崎さんの社会的ステイタスが作品を追うごとに上昇していった事により、プロモーションのために、わざわざ語る必要性が無くなっていったからだとも思います。
自然環境や日本社会等、様々な事が書かれていましたが、その中でも「失われた風景の記憶 吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』をめぐって」という小文がとても素敵でした。
何分大著(全部で520余頁)なので、宮崎ファン、ジブリファンでなければ全部読み通すのは厳しいかもしれませんが、僕にとっては非常に参考になる良書でした。
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アニメを海外向けにコンテンツとして有望視することについて(メモ)
アニメで雇用を増やしたり、外貨を稼いだりなんて、こっけいな感じすらする。マイナーであることがアニメの活力を生んできたと思う。そんなアニメに国が本腰いれて取り組むなんて・・・・・・。90年代のナタデココのようになってしまうかも。一大ブームだ、さぁいくぞと思って意気込んで誰もが事業を始めたり投資した途端ブームが去って大誤算、後は損害だけが残ったということだってあり得る。過度の期待は禁物だ。現代のアニメ作品はいくらビデオで残そうとDVDを売ろうと、何百年単位では消えていく運命にある。
海外に目を向けるのもいいが、日本は一億人を超える人口を持つ数少ない先進国だ。これだけの規模があれば、欧州の一国単位や韓国ではできないことが単独でやれる。だからこそ、アニメがここまで盛んになった面もあると思う。海外の評価ばかり気にして肝心の国内がおろそかになってはいけない。
(p455)
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色々な着眼点があると思うけど、宮崎駿の死生観を見る上では非常に良い資料だなと思う。文字だけだけど、なんとなくどういう人なのかが伝わってくる良い本。
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この内容量でこの値段は安い。
と読んでいる途中で思った。
宮崎駿が色々なことに不満を抱いて、ムカついていて、イライラしていて、暴言吐いたり、そういうことは今まで製作映像やインタビューなど読んで知っていましたがこの本を読んでもっとその面を知り、自分の勉強不足やミーハーな姿勢など恥じました。
そして、宮崎駿監督が色々なものにネガティブな印象を抱きながらもそこで腐ることなくポジティブに子どもたちに捧げたいという矛盾の中で必死に足掻きながら素晴らしい作品を世の中に送り続けてくれたんだということがわかりました。
また、宮崎駿監督はスタッフに厳しいと製作中の暴言集を読んで思っていましたがそれはよりよい作品を作るために妥協しないだけであって、彼はとてもスタッフ、共に作品を作ってくれる仲間を大切にしているのだということもわかりました。
『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』に関しては、作品に関する発言がとても多くて、特にこの二作品がお気に入りの私は嬉しかったです。
ただ、宮崎駿監督は嫌うかもしれませんがハウルの内容について色々わからないことあったのでハウルの内容に関する発言がなかったのが残念ですが、それは私自身の姿勢が誤っていたと今では思えるので大した不満点ではありません。
宮崎駿監督ご本人はこうしたまとめみたいな本を出すのが翻意ではないと仰ってますがその時々言葉を追えなかった(お気に入り作品公開当時は小学生だったので)身としては後から振り返ることが出来たので嬉しいです。