電子書籍
外国人に教える日本語
2023/11/01 06:05
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本語教師として外国人に日本語を教える筆者がどのように日本語を教えているのか日本語の特徴は何かを語っており普段母語として意識していない点を教えてくれる。
紙の本
外国の視点からの日本語
2022/11/04 06:58
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投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
○日本語とは
日本語人口は世界9位だが、話し手は日本人だけというのが現状
話言葉として、音や構造が飛び抜けて難しいわけではない
英語仏語等とは言語のグループが異なるし、日本語は同じ言語グループがないが、中国韓国の人達には学び易い
日本語は単語の数が多い
待遇表現の仕組みが発達している
表記が複雑(ひらカタ漢)
音の数が少ない(母音が5つ)
動詞活用がシンプル
○日本語の読み書き
日本語には正書法はなく、表記は漢字かな交じりで書く
ひらカタ漢の何で書いても良い
漢字
音訓の違いはあるが、一般語専門用語が一度に理解できる
いす
・“いす”という音
・目の前のいす
・いすのイメージ
これら三つを結びつけて理解する
中級になると漢字文化圏学習者が有利
N2で6,000語の漢字学習が必要
外来語は300語
上級
・動詞の組合せ(食べ+始める)
・多義語(見る)
・含意の理解(きびきび、せっかち)
○日本語の音
音韻
現実の音ではなく“頭の中で音声を聞き取る仕組み”
単音節 一拍の音
長音節 単音節+特殊拍or一部の母音
ピー・ナッ・ツ・せん・べい(9拍5音節)
日本語は高低アクセント
英語は強弱アクセント
イントネーション
水!(命令)
水?(疑問)
水~(要求)
水 (提示)
・発音が苦手な人
1発音は上手いが聞き取りが苦手
拍の感覚を身につけて文単位の指導に進む
2聞き取りは上手いが発音が苦手
日本語の音の流れの全体を示し個別に進む
3どちらも下手
日本語の音を聞き取る練習が必要
○外国語としての日本語文法
文法は、そのルールを知れば一定の文を作り、話したり、書いたりすることができる一連の決まりごと
主として、動詞を中心とした文法をパターン化したものを“文型”という
N1は、が、N2です
私は、スミスです→ スミスが新情報
私が、スミスです→ 私が新情報
存在文
・モノ ~があります
・生物 ~がいます
動詞文 Nは、動詞
日本語教育文法では“マス形”を使用
この形は単純で覚えやすく便利
食べ ます 食べ ません
食べ ました 食べ ませんでした
テ形の導入
・動詞は活用で分類されることを理解する
・テ形を理解すると文型や表現の幅が広がる
~て います(進行中の動作)
~て 下さい(要請)
~て も いいです(許可)
~て みます(試行)
○日本語表現の豊かさ
テンス いつのことを言っているのか
た形 過去
完了
ムード
アスペクト 動きを追って言葉にする
出来事の 始まり
進行中
終わり
日本語の語順はアスペクト→テンス
食べ 始め た
アスペクト テンス
ボイス(態)
表現された出来事を誰の立場から見るか
受身・使役・使役受身
食べ させ られ てい た
使役 受身 アスペクト テンス
ムード
単なる事柄を表す以外の話し手の気持ち
食べさせられていた らしいよ
ムード
○日本語教育
日本語教師の最大の魅力は、経済的な側面よりも好きなことで食べて行けること
N3 300時間の日本語学習が必要
漢字300字(小学3年レベル)
話す聞くはできるが、読み書きは弱い
日本語教師に共通する特性
・日本語の知識がある
・教えるための技術がある
漢字 学習過程を自分で体験してみる
語彙 レベルに応じた使用語彙を教える
説明 レアリア、イラスト、ジェスチャー
外国人の話す日本語を“共感”の気持ちで評価し応えていく事が大事
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日本語(国語にあらず)教師を目指す人のための入門書というよりは、「日本語教師を目指す人ってどんなことを勉強するの?」を紹介した本という印象。文体は平易で、コロケーション、プロミネンス、アスペクトなど日本語の発音や文法に関する専門用語もやさしく解説されているので便利である。
その好例が「そう」(p.192~)。いわゆる「ムード」と呼ばれる文法形式であるが、
「雨が降りそうだ」
「雨が降るそうだ」
両者の違いをどう説明するか。日本語教育では前者を「目のそう」(=様子)、後者を「耳のそう」(=伝聞)のように教える、と著者はいう。なるほどわかりやすい。
また、日本の英語教育では英和辞書を使って「訳す」勉強することがもっぱらなのに対し、米豪などの日本語学校では同じ英和辞書で「~を日本語で言うには何といえばいいのか」式に教える(pp.150-53)という話にも納得。授業で道案内を英語でやらされた人は多いと思うが、あらかじめ与えられた教材(地図)にそった形ではなく、「日本語で言いたい」という気持ちを起こさせる形で言語を使ってもらえるよう工夫することが、教師の務めということだろう。
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現役日本語教師による、普段何気なく使っている日本語を「外国語」として見つめてみようという一冊。
とても興味深く読めました。
確かに「(お菓子とかを差し出して)もらってやってくれない?」ってすごい日本語だよねぇ(笑)。
中学の時に習った「国文法」が怖ろしく退屈だったけれど、この、日本語を外国語として運用するための文法はと面白かった。
最後の「国際語としての日本語」に関する筆者のメッセージには心から共感します。日本語と日本文化は、当の日本人が思っている以上に「国際化」されて海外を一人歩きしている。だからこそ、日本人はもっと自国語・自文化に自覚的になり、かつそれらを客観視しないといけないよね。
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日本語は世界で9番目に使われている言語。つまり大言語。
もっと学習者が増えてもいいはずだ。
難しいかもしれないが、日本人だって日本語が正確に出来る人は少ないから気にする必要はない。まずはカナから練習してもらいたい。
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プネ・ムンバイ旅行の移動中に読破。
日本語教師になりたいわけじゃないから、いらない情報もあったけど、
"国語"じゃない日本語は、新鮮で興味深かった。
イントネーションの話の中で、やっぱり関西人で、
普段標準語でしゃべってても、完璧じゃないことが発覚。
例文をぶつぶつ言ってみながら、おもしろかった。
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レビューは後ほど。
普段何気に使っている日本語を教えてみると意外と難しい!
ボブが教えている留学生たちに少しでも役に立てたらと思い読破!
うーん、お互い修行が足りない…
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新書というのはある分野の専門家が門外漢向けに解説したものが多くありますが、これもそういうタイプ。外国人に日本語を教えている日本語教師が、学習対象として日本語を説明しています。
研究目的と学習目的では視点が違うのは当然ですが、文法構造の捉え方まで違っているとは意外でした。活用とか品詞の分類からして違うのだそうです。日本語を母語としているからといって日本語教師になれるわけではないというのは、単に教えることの難しさというだけではなく、改めて学び直す必要があるという意味でもあるようです。
私が将来日本語教師になる可能性は限りなくゼロに近いですが、自分が話している言葉を見直すための、少し変化球的なきっかけになった気がします。
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日本語を外国語として捉えてみようというコンセプトで書かれた本。外国人が日本語を勉強するときにどんな困難があるのか、どうやって指導するのかなど。「日本人よりも先に日本語が国際化している」という現実の中で日本語を勉強している外国人に対して日本人がおおらかである必要かある。
また、日本語教師といっても「人並みの知識・技能を身につける」ことをゴールにするのではなく、それは当然として、さらに自分の経験や得意な分野・専門を考え、それと日本語教育とどう結び付けるかという独自の日本人教師像を描いて、それをゴールにすべき、という著者の意見に共感した。ただの日本語教師より、他に専門職かあるけど日本語も教えられるっていう方がいい。
教育ブックガイドもなかなか良い。
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[ 内容 ]
留学生に教えてわかった、意外なおもしろさ・難しさ。
日本人のための日本語再入門。
[ 目次 ]
第1章 日本語はどんな外国語か?
第2章 日本語の読み書きは難しい?
第3章 日本語の音はこう聞こえる
第4章 外国語として日本語文法を眺めてみると
第5章 日本語表現のゆたかさを考える
第6章 日本語教育の世界へ
日本語学・日本語教育についてもっと知りたい人のためのブックガイド
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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私達が学校で受けてきた英語教育との違いに驚き。ここで出てくる日本語教育は、英語圏の国の英語学校、いわゆるESLの授業よりもさらに実践的なプログラムのように感じた。難しい専門用語や、文法知識を誰にでも分かるように噛み砕いた説明は、さすが日本語教師。日本語を客観視するきっかけから、日本語教師の待遇まで、一貫して読者の立場で書かれていてとても読みやすかった。
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まず日本語の国際的な位置づけや言語的な特徴を踏まえた上で、日本人が好きな「日本語は難しい」「日本語は特殊だ」という主張を退けています。
それから初心者向けの講座などでよく取り上げられる、日本語教育の重要なポイントについて紹介されていました。コンパクトにまとめられた本ですが、内容はしっかりしています。
本を読んでそれで終わりというのではなく、実際にアクションを起こすための案内があるのがいいですし、巻末のブックガイドはとても参考になりました。
私がそうですが、駆け出しの教え手が初級の学び手に教えることを前提とした本としてとてもよかったです。
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「日本語を外から眺める」といふ、今までになかつた切り口の本であります。面白い。
6つの章から成つてゐます。それぞれ見てみませう。
第1章「日本語はどんな外国語か?」
『日本人の知らない日本語』のところにも書きましたが、多数の日本人は、日本語を特別難しい言語であると思ひたがる傾向がありますね。本書でも指摘がありました。難解に感じられる理由を単語数の多さ、敬語(待遇表現、といふものださうです)、表記の複雑さの3点を挙げてゐます。日本語は世界で9番目に多い話し手がゐるさうです。驚きですね。
第2章「日本語の読み書きは難しい?」
日本語には正書法といふものは定められてゐないのですね。確かに同じ文章を感じ交りで書いても仮名ばかりを駆使しても通用します。この辺が外国人には「はつきりしてくれ!」と言ひたくなるところでせう。
「コノテーション」といふ概念は今まで知りませんでした。以前スポーツ紙の記事で、同じ「酒を飲んだ」行為が、白鵬の場合は「勝利の美酒の余韻に浸る」と表現されたのに対し、朝青龍には「ヤケ酒の二日酔」と書かれてゐました。これは関係ありませんか。
第3章「日本語の音はこう聞こえる」
「ピーナッツせんべい」は何拍か?といふ問題。絶対5拍ですよ、と私は思つたのですが、9拍でも正解なのださうです。七五調の散文や詩に慣れてゐる人は、きつと5拍と答へると思ふのですが。わざわざピーナッツせんべいの写真まで添へてありますが、問題のヒントにはなりませんね。洒落ツ気があります。
「水」といふだけの台詞でも、イントネーションの相違で全く違ふ意味合ひになる。なるほど、この辺は日本語を外から眺める姿勢がないと気付かないものです。
第4章「外国語として日本語文法を眺めてみると」
いよいよ佳境に入つて行きます。
国文法と日本語教育文法は、優劣はなくそれぞれの目的が違ふと著者は語ります。納得。私も知り合ひの中国人に、生意気にも日本語を教へたりしますが(ほとんど雑談)、テキストの内容は明らかに日本人が学校で習ふ国文法とは違ふのであります(ちなみに凡人社のを駆使してゐます)。最初はですます調で動詞の変化をするのが違和感があつたのですが、すぐに「合理的だ」と思ひました。「形容詞+です」はをかしいのでは?とも考へた時期もありましたが、今は慣れてしまつた。
第5章「日本語表現のゆたかさを考える」
更に盛り上がつてまいりました。
「山田選手はかなり練習させられていたらしいよ」といふ一文を解析します。テンス(時制)・アスペクト(相)・ボイス(態)・ムード(法)と連打でたたみ掛けます。この辺りは快感すら覚えますが、読む速度が遅くなります。先生、少し待つてくださいといふ感じ。普段何気なく使ふ私たちの日本語には、実にさまざまな表現があるのだと思ふと、嬉しくなります。
そして最終章・第6章「日本語教育の世界へ」
日本語だけを使つて日本語を教へる「直説法」。コツがいろいろ書かれてゐますが、実際には中中骨でせうね。そもそも私は中国人に日本語を教へる必要性から、中国語を学び始め��のですから。しかし中国の日本語教室の授業風景を見学した時は、中国人の日本語講師がすべて日本語で講義をしてゐました。熱心な中国人学習者に感動したのであります。
言葉は一種の道具でせう。即ち正しい使ひ方をしないと、効用は期待できません。著者の荒川洋平氏は商売道具の日本語に対し、敬意といふか愛情をもつて接してゐるやうに思はれます。言葉について語るのは楽しいことですが、本書はさういつた暖かさも感じる一冊と申せませう。
http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-100.html
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日本語教育の本って日本語の専門家が書いているのにも関わらず非常に読みにくいものが多い。言葉の定義や論理の整合性を重視する為どうしてもそうなりがちなのは理解できるが。さて本作であるが、先ず出だしが非常に読みやすい。ツカミOK!名著『日本語』(金田一春彦)を思い出した。勿論、新書版という量的制約の為、これ一冊読めば日本語が教えられるかと言えば実はそうではない。これから日本語教育の勉強を始めようと思っている方、日本語を教えながらも授業の進め方に悩んでいる方にお勧めの一冊です。『もしも・・・』の方も読んでみたい。
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人の文章をチェックしていると、「意味は分かるけど、この日本語、何か違うんだけど…うーん…」と、うまく説明できないことがよくあって、自分の日本語力の無さも反省しつつ、教える側の立場から勉強するのはちょうど良かった。
「日本語は難しい」とは日本人からよく聞く台詞。
文章と話し言葉は多少違うとしても、日本語が難しいというのは体系立てて教えられてないからなのかもしれない。