福原京だるまさんのレビュー一覧
投稿者:福原京だるま
2022/03/10 21:48
大国に翻弄されるも民族の誇りを守ってきた歴史
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
キエフ・ルーシがモンゴルにより滅亡した後にポーランド、オーストリア、ロシアと周辺の大国に支配され独立を宣言しても潰されてきた歴史がわかる。しかし何度独立が潰されても復活してソ連解体後についに独立を果たした歴史に感慨を覚えた。しかし現在(2022年)ロシアの侵略により再び危機を迎えているがプーチンの言うウクライナはロシアの一部で存在しないというプロパガンダが大嘘であることが本書を読むとわかる。
2023/12/10 20:22
画期的な仏教書
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ブッダについて平和主義者であったとか平等主義者であったというような評価を目にすることが多い。それらの評価は仏典の都合のいいところだけを抽出しており、不都合なところは全て後世の弟子による改変であると述べている学者が多かったが本書ではそういった現代人による願望をブッダに投影するのをやめて仏典から読み取れる素直なブッダ像を提示しており面白い。単にブッダが現代的視点では相入れないようなことも言っていた(それ自体は古代インドという時代背景を考えれば当たり前で非難には当たらない)ということだけでなくブッダの思想のどこに先駆性があったのかをバラモン教や他の沙門宗教と比較し業報輪廻を前提としながらも無我説を解いたこと縁起の逆観で煩悩を滅することで業を消すことができることを「発見」したことが提示されている。
![ペルシア帝国](https://img.honto.jp/item/1/f8f7ef/75/110/30421025_1.jpg)
ペルシア帝国
2020/10/11 20:23
ペルシア帝国の内情
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書で記述される2つのペルシア帝国(ハカーマニシュ朝・サーサーン朝)と言えば強大な力を持っていたがアレクサンドロス大王やイスラーム勢力によって一気に滅んだというイメージがあったが実は攻められる前に帝国はボロボロになっており最後の一撃を加えられただけというのがよくわかった。
2020/05/15 20:52
北条早雲の実像
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
最近の研究で素浪人ではなく室町幕府の奉公人だと分かった北条早雲こと伊勢宗瑞。その宗瑞がどうして京都から駿河に来たのかどう関東に進出したのかがよくわかる本
2020/04/15 13:33
王朝貴族の本性
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
平安時代の貴族といえば歌を詠み風流に親しむやんごとない方というイメージを大きく変えてくれる本。本書を読んだあとでは他の平安時代の歴史の本を読むときもこいつ真面目な顔してるけど裏では暴力沙汰を起こしてるんだよなぁ…と思いながら読むことになってしまいました。
2023/04/23 23:05
新九郎の就職
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
無位無冠だった新九郎がついに幕府の役職を得る。当時の幕政がどう運営されていたかを描写していて面白かった。
2022/03/12 19:35
北欧の各国史
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北欧の5か国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド)の歴史について並列的に解説されている。同じ出来事でもそれぞれの国の立場ごとに別々に解説されているので理解が深まって読みやすい。
![エッセンシャル仏教 教理・歴史・多様化](https://img.honto.jp/item/1/f8f7ef/75/110/31223001_1.jpg)
エッセンシャル仏教 教理・歴史・多様化
2022/01/01 16:57
仏教の概説書
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
仏教について欧米人の視点から上座部仏教から大乗仏教、チベット仏教まで、初期仏教から現代仏教、マインドフルネスまでさまざまな事項を一問一答で解説しておりわかりやすい。
2021/11/20 22:03
中華人民共和国史
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大躍進や文化大革命、天安門事件の裏で中共の指導部が行った権力闘争について詳しく書かれていて勉強になった。習近平体制が専制を強める中、文革や天安門事件の実像を明らかにすることは非常に大事だと感じる。
2021/11/14 08:51
中国史のサイドストーリー、ユーラシアのメインストーリー
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安禄山の乱からキタイ帝国、西夏、金帝国、モンゴル帝国まで記述されている。中国の歴史シリーズ6巻7巻で語られた唐、五代、宋の時代を別視点から見ることとなって面白かった。中国史の範疇では正統王朝とされた宋朝が大きく取り上げられるが実はキタイの方が実力もあり後世中華の領域が拡大したのも北方の諸王朝の影響が大きいことがわかる
![分裂と統合で読む日本中世史](https://img.honto.jp/item/1/f8f7ef/75/110/31106106_1.jpg)
分裂と統合で読む日本中世史
2021/09/21 22:40
分裂と統合の二つの流れ
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東国国家論や権門体制論、鎌倉新仏教と顕密体制論など日本中世史の本を読めば必ず出てくる理論を研究史を振り返って説明されていて勉強になる。いくつかの日本と1つの日本という研究の2大潮流があることがよくわかる
2021/04/13 08:44
明治政府による復古の現実
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天皇をめぐる諸制度の多くは明治維新の前後に新たに創られたもので復古を掲げていたが内実は伝統の創出であることが「お田植えとご養蚕」「山陵」「祭祀」「皇統」「暦」「元号」をテーマに語られる。その多くは儒教思想が典拠になっていることがよくわかった(暦のグレゴリオ暦導入とかは別だが)。日本古来の文化を守れと主張する保守派がグレゴリオ暦を使って旧暦を顧みることがない滑稽さなど面白かった
2021/03/06 20:52
尼僧の詩
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原始仏教において尼僧が男性出家者と変わらず涅槃に至ることができていたことがよくわかった。著者は原始仏教と現代ジェンダー論を結びつけすぎて男女差別的な要素を全て後世の付け加えにするのは行き過ぎにも感じるが原始仏教で生まれによって差別されない理想を説いたことが解説されていてわかりやすい
2021/03/06 20:49
浄土教の変遷
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日本で浄土教といえば浄土真宗を代表とするように南無阿弥陀仏と唱える宗教というイメージがあったがインド仏教や中国仏教では念仏とは仏を念じることであって口で唱えるのはその補助であったということが興味深かった。その念仏が大きく変容したのが法然による浄土宗で法然が日本仏教史に残した影響の強さがわかった