紙の本
まだ道半ば
2023/04/20 06:17
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投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書が書かれたのは2010年。不自然な病として同性愛について考察した羽太鋭治の『変態性慾論』が書かれた1910年から100年。同性愛者に対する認識もだいぶ変わってきているという。著者が学生たちに聞いた同性愛に対するイメージも、「恋愛は個人の自由」と寛容的なもので、過去に一般的だった「気持ち悪い」というものとは随分と様子が違う。しかし、「では家族が同性愛だったら?」という質問を投げかけると、そこにはまだ越えられないハードルがある。
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立ち読み:2010/4/2
「ゲイである」ことを男の友達にカミングアウトした瞬間、「ゴメン、おれはその気はないから」と言われる。これが「ヘテロである」ことのカミングアウト(?)に置き換えたらたいそうおかしな話だ。
ほかにも合宿所での強烈な差別など、緊張感のある内容が多い。
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これはいい本だ、うん。書いた風間さんと河口さんたちが、ゲイ中心の話でレズビアンのことが薄い、と書いていて、それは実際そうなんだが、それを除けば、安心して他人に勧められる本だと思う。学校の多文化共生授業などでセクシュアル・マイノリティについてする、なんてときの副読本あるいは参考書にもなるんじゃないか。だからこの本が万全だ、とは言えないかもしれないけれども。これまでの「入門書」はたいがい、「女性」はどこかで消えてしまっていたが、これは「不足」と本人たちが認めているにしろ、少なくともまるで無視というわけじゃない。エイズ・パニック、府中青年の家裁判、江戸川区の「ホモ狩り」の話、が事例としてよく説明されているのだけど、青年の家の話は当事者としての目で書かれていてわかりやすいし、江戸川区の話は風間さんが論文も書いて突っ込んで調べてらしたところだから、これもこなれていてわかりやすい。この本が「岩波新書」というメジャー?なところから出たことで、広く読まれるといいなぁと思う。
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良書。読みやすい分かりやすいとtwitterで評判だったので読んでみました。
アメリカの『ストーンウォール事件』など、同性愛の歴史が良くわかりました。
そしてこの本は一抹の不安を投げかける。
異性愛、ってなんなんだ、と。
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別に間違ったことが書いてあるわけじゃないし読みやすいけど「ハァ?なに言ってんの?」と思った。
今更すぎる。これを2010年に出す意味がわからない。
「みんなこんな風に思っているかもしれないけれどそうじゃないんだよ」という「こんな風」を書くことによって否定を再生産するような語り。
書いてる人けっこう若いのにな。
最初のページからホモフォビアを前提にした物言いで、どうやって肯定を育むのか。
「大胆にもタイトルに同性愛と異性愛と付した」と書いてあるけど別に大胆でもなんでもない。それこそ90年代の感覚だ。
異性愛について書いてないし。ただ(男性)同性愛のことを書くからそこから勝手に考えてねくらいの扱い。
そして男目線。自分がゲイだから自分のこととして語れるゲイを中心にすえるよ、という偏りではなく、ゲイ以外への見方がなまくら。
なにも知らないどストレートなヘテロ向けにしては内容が狭すぎるし、セクマイ向けにしては肯定が足りない。
全体的に他の本でいくらでも読めるような話ばかりでとても残念。
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世界の歴史の中での同性愛に対する認識や事件を取り上げながら、一体同性愛がどういう印象を持たれているのか、そしてそれが正しいのかを書いている。
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乱読をしていなければ手にしなかったかも。根本的な問題は何なのかということをあらためて知った。しかし、それでもまだ「なぜ性的志向があるのか」が最後まで解き明かされていない気がする。
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様々な視点から同性愛について説明しているので、入門向けとしてちょうどいいです。
テレビに出て面白いことをしている同性愛者は、同性愛者の一部です。
そんな偏った見方だと、偏見するだろうし、そうしていることすら気づかないだろう、ということで手始めに読みました。
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「愛」を「生殖」に従属させるという発想が、そもそも即物的なイデオロギーだ。「種の保存」だとか「本能」だとか、誰が言い出したか知らない匿名のテーゼに束縛される必要は全くない。
生殖可能性を根拠に「異性愛+結婚=自然、同性愛=逸脱・病気・犯罪」という異性愛主義(heterosexism)と同性愛嫌悪(homophobia)が"正当"化される。恣意的なジェンダー規範の強制から自由でいられる社会を望むならば、それは同時にセクシュアリティの規範からも自由でいられる社会でなければならないのではないか。「性愛」というのは、個人のアイデンティティの奥深くに根ざしているものの一つだ。多様な生/性の在りようを包容できる社会が望ましい。
同性愛者は、往々にして「性」の側面ばかりが強調されて、常に同性間セックスのことばかり考えている「性的存在」とみなされてしまう偏見についての指摘は、興味深かった。
具体的なケースを通して、セクシュアリティの問題に限らず社会的マイノリティとどのように向き合っていけばいいか、考えさせられる本。
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全体的にとても読み易く分かり易く、最後尾で他の関連DVDや書籍も紹介されているので、ここから枝を伸ばす事も容易く、入門書として最適。
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日本や世界における、同性愛者(特にゲイ)に対する見方の歴史的変遷や、いかにこの世界が男-女というペアの価値観で支配されているかを日常的な事例から解説したもの。
「同性愛」という事象をジェンダー論の立場から捉えるとともに、ゲイに関する一般的な誤解を改め、人権問題としてきちんと向き合う姿勢が強調されている。
これまで見えにくい、見ようとしない、あるいは見えない「同性愛」をきちんと考えるための本で、人権意識を研ぎ澄ますのに役立つ。こういう問題からは普段、積極的に見て見ぬふりをしようとしていることを認識したり、やや著者のトーンが、冷静な分析を超えて被害者感情の吐露になっている感じがするとどうしても思ってしまったり、という、やや自己嫌悪に陥った。(11/11/18)
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【私のメモ】
同性愛の歴史についての本。
特に驚いたこと・勉強になったことは
・性的マイノリティに対する政策が地方のほうが進んでいること
・歴史の中で同性愛・性同一性障害を病理として扱う時期があった。その後消えるが、性転換手術などの技術の発展に伴い、再び病理として扱われるようになった。
・「性的指向という考え方」
(嗜好とは異なり、選ぶことができないものと認識する)
同性愛者、異性愛者と分けることが間違い?
異性愛者が同性愛の存在を認めるとかそういうんじゃなくて(そういった考え自体が見下している)、あるものとして認識することが必要。
好きになったら自分でその気持ちをコントロールできるわけない(同性、異性関係なく)。嗜好と指向の違いってそういうことなのかな、別に性別だけの問題ではないんだろうなと思う、という私の感想。
異性相手だから、同性相手だからとかそういうの関係ないと思う。
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思考のフロンティアシリーズのクイア・スタディーズをもう少し簡単にした内容。コンパクトにまとまっていて、入門書として良い。
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もともとこういう話には興味があったので本屋の新書コーナーで見つけて手にとった。同性愛がどのようにとらえられてきたのか、また、近現代の社会における問題点などが分かりやすく示してあって、とても興味深く読み進めることができた。偏見とか自分はないつもりでいたけど、行動や考え方において異性愛を念頭に置いた意識で行動していることがかなり多いということに気づかされた。さまざまなものが目まぐるしく変容している世の中だというのに、変らない暗黙の規範のようなものが確かに社会に存在しているのだということをきちんと自覚しているのといないのでは、同性愛・異性愛についてだけでなく何事に向かうときにも大切なことなのかもしれない。
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実際の事例も細かに記されていて、内容の把握がしやすかった。「性同一性障害」と「同性愛」は何が違うのか、などの基礎的なことについても分かりやすく頭に入ってくる。まだまだ、自分自身の考えの足りなさや知識不足を感じさせてくれた本だった。