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紙の本
冬眠の謎を解く (岩波新書 新赤版)
著者 近藤 宣昭 (著)
【講談社科学出版賞(第27回)】体温を下げて冬をやり過ごす動物の奇妙な習性である冬眠。数倍もの長寿をもたらし、人間にも備わっているという冬眠能力とは何か。相次ぐ研究の意外...
冬眠の謎を解く (岩波新書 新赤版)
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商品説明
【講談社科学出版賞(第27回)】体温を下げて冬をやり過ごす動物の奇妙な習性である冬眠。数倍もの長寿をもたらし、人間にも備わっているという冬眠能力とは何か。相次ぐ研究の意外な展開を通して、生命の奥深さを物語る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
近藤 宣昭
- 略歴
- 〈近藤宣昭〉1950年愛媛県生まれ。東京大学大学院薬学系研究科博士課程修了。薬学博士。玉川大学学術研究所特別研究員。専攻は薬理学。共著に「冬眠する哺乳類」など。
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紙の本
30年に及ぶ研究歴を振り返り、著者自らがつづった「科学的発見」の苦しみと喜びに満ちたプロセス
2010/12/09 11:22
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
「冬眠」のメカニズムの解明に30年近く携わってきた研究者による、発見のプロセスと研究の苦労と喜びを時系列で書き記した本。「冬眠」している動物の観察というよりも、「冬眠」という現象のメカニズムに、薬学と遺伝子研究の観点から迫った、30年にわたる地道な研究の記録である。
今年2010年の秋は、クマがなかなか冬眠しないので、日本全国でヒトが襲われる被害が続発している。こんなニュースが毎日のように流れているなか、軽い気持ちでこの本を読み始めた。
ところが、本書は冬眠する動物をまんべんなく解説したものではないことが、読み始めてすぐにわかった。実験動物として選び出したシマリスについての研究である。なぜ「冬眠」するのか? 「冬眠」をもたらずメカニズムは何か? 「冬眠」とはそもそも哺乳類にとっていかなる意味をもつのか? 人間にも備わっている「冬眠能力」とは? などなど、次から次へとでてくる疑問の数々に答える探求の旅の記録なのである。
問題解決のまえに問題発見がある。問題解決がまた次なる問題発見につながっていくという好循環。
専門的なことは門外漢の私には判断する能力はないが、「冬眠」研究における発見プロセスの記述がきわめて面白く感じられた。研究における問題解決のためには、著者が「あとがき」でも記しているように、個人のもつ感性(個性)、突然やってくる出会いの時、答えを導く矛楯が、問題解決のために大切なことなのである。
ほとんど手がつけられていなかったテーマを追い続けた研究は、その切り開いてきた研究領域と成果によって、無限の可能性を開きつつあるといってよい。
「冬眠」研究の最新成果がいかにして導き出されてきたか、これを著者の記述にしたがって読んでいくと、だんだんと謎が解明されていくプロセスを再体験することができるのだ。
結論から先に読むのではなく、著者といっしょに科学的発見の苦しみと喜びに満ちたプロセスを追体験してみたい。自分で問題発見して課題設定を行い、自分で問題解決していく姿勢には、科学者ではなくても、大いに学びたいものである。