紙の本
強い楽観とはまた別の地点で
2010/09/13 10:25
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
梅田という方の本は出るたびに比較的きちんと読んでいる。読んでいて、元気が出るからだ。今回も元気は、それなりに出たのだが、一抹の疑問も感じた。感想は二点だ。
一点目。梅田という方は、ウェブとウェブ社会に対して、極めて強い肯定を行ってきている。彼の本を読んでいて、元気が出る一番の理由は、ウェブという新しいツールを入手した人間の将来が極めて明るく語られている点にあると僕は思う。楽観性とは確かに人間の一つの強い力である。強い力の傍に居ると、釣られて元気になる。それは自然なことだと僕は思う。
但し、ウェブ社会というものはそんなに肯定して良いのか。少なくとも、現段階においては、どちらかというと、ウェブという新しいツールをどう使いこなすべきかという点で、人間には色々な迷いもある気がする。自分で作ったものを制御出来ないということは、人間の歴史でもある。自動車事故で亡くなる方の数の多さを見ても、まだ人間は自動車というツールを御しているとは思えない。ウェブが何を人間にもたらすのかはもう少し見る必要がある。
二点目。本書はウェブを通じた教育の話だ。オープンエデュケーションという米国の新しい試みを紹介しつつ、これからの教育の有り方の一つの方向性を示している。但し、今の日本を振り返ってみると、「教育とは、そもそも何なのか」という点で、まず考え込んでしまう。
僕の年代での教育では 受験を避けて通ることは出来なかった。教育パパ・ママとは、子供に受験を強いる親であり、即ち 教育=受験だった時代だ。受験とは一つの判断基準として社会に広く流布され、受験をするための学習を教育であると考えることが比較的自然な時代だった。このモデルは今崩れつつある。大学を卒業しても働けない社会になっているのが今日の日本だ。
梅田と飯吉が本書で展開するエデュケーションとは、かような矮小化された教育ではない。但し、彼らが目指している高度な学習が、今の日本の社会の中で、どのような位置付けになるのかが見え難い。非常に下世話に言うと、今の日本で、どのくらい実際に役に立つのかが今一つ明快ではないのではないか。
紙の本
まだ 「知の革命」 までには距離がある
2010/10/15 22:39
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
MIT をはじめとするアメリカの大学が講義ビデオや教材を Web にのせ,日本や他の国の大学もそれにならっている. この本はこういう,まなぶためのコンテンツを提供する側の話題が中心になっている. まなぶ側についても DIYbio,TakingITGlobal など,いくつかのコミュニティが紹介されていたり,コラムとしてそういうコンテンツでまなんだひとの経験談がはいっていたりするが,まだよわい.
この本を読んでも,私には,どう選択してそういうコンテンツを利用したらよいのかわからない. この本のなかにも書いてあるが,いまは,まなびたいひとそれぞれが試行錯誤をくりかえすほかはないのだろう. 提供されているコンテンツやサービスについて知ることはできるが,まだ 「知の革命」 までには距離がある.
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ネットと教育分野に興味が高く、梅田望夫が書いた本でもあったので、読みました。
学びとして
・ウェブで学ぶ上で「師」や「同志」との出会い
・強者の思想(日本人は拒絶傾向)
・「やってみたらどうなるかわからないけれど、ひょっとするといいことがあるかもしれない」思い切って一歩踏み出す。
・非営利と営利ではできることの範囲が違う。
・紙である教科書の情報の遅さ<電子書籍の出版の速さ
・知的好奇心ややる気のある人にとって、双方向メディアが向いている。
・情報やツールがオープンであってもそれを利用しなければないも同然。もったいない。
私の興味をもったのは、
アメリカ的な考えで物事をグローバルな視点で見て、今の日本にはないものや最新のツールや出来事の話が全体の多くを占める本でした。
そして改めて思ったのが、
ネットに関しては
・一部の人間だけでなく、ツールとして個人個人がこれからは使いこなさないといけない。教育すべきであること。
・可能性の広がりを提供してくれるものであり、日本人はもっとネットをポジディブにとらえるべきである。
教育に関して
・日本の先生が淘汰されていくことは必然と確信した。
・英語を使えるかは重要である。
・日本の教育、特に先生の育成以上に「環境」をもっと整えていく必要がある。
・強制を強いることは、ある程度必要である。あまりにも自由すぎてもダメになる。
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本書で語られるオープンエデュケーションとは、
「主としてインターネットの登場によって可能になった新たな教育の在り方を指しています」
と書かれています。
本書はそのオープンエデュケーションについて、
著者 梅田望夫氏と飯吉透氏の対談をまとめた本です。
以下要約
オープンエデュケーションと言えば、
2001年にマサチューセッツ工科大学(MIT)が立ち上げた、
オープンコースウェア(OCW)というプロジェクトが有名。
OCWは、MITが自校の講義で使用される教材をウェブ上にすべて公開するというもので、
オープンエデュケーションの旗艦プロジェクト的な位置づけをされている。
オープンエデュケーションによって、
世界中の誰もがウェブ上で公開される教材を使い、レベルの高い講義を受けられるようになった。
梅田望夫氏は著書「ウェブ進化論」「ウェブ時代をゆく」で、
グーグルによって整備されたウェブでは、
世界中の人々がウェブだけで生計を立てられる機会が与えられ、
と書いている。
そしてオープンエデュケーションがもたらすのは、
世界中の誰もがMITのようなトップクラスの講義を受けられる機会だ。
気になった点は飯吉氏の次の言葉
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「何かに常にオープンにアクセスできる状態にあっても、実際にそれを取りに行って利用しない(もしくは利用できない)のであれば、それは、その人にとって『無い』も同然だ」と。だから、グローバルなオープンエデュケーションが、現にそこにあっても、日本の人たちがそれを利用しないのであれば、それは彼ら彼女らにとって、やはり「無い」も同然なのです。
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今日、オープンエデュケーションは世界中で注目されています。
iPadやKindleの登場により、教科書の電子書籍化が現実的なものとなりました。
実際にアメリカの学校では採用されている例もあります。
おそらくそういったデジタルネイティブな環境で育っていく人たちは、
そうでない人間よりずっと上手くウェブと付き合っていくことができるのでしょう。
本書を読んで、初めて講義・教材のオープン化を意識することができました。
正直、世界中で注目されている情報が自分の周りで全く流れていないことに愕然としました。
いくらネットにアクセスできる環境があっても、
その存在を知らない、意識しない、利用しないというのは「無い」も同然、
全く飯吉氏の言うとおりだと実感しました。
しかしそれを実感したと同時に、
ウェブの「知らないというだけで恩恵を受けられない」という状態に、
疑問を感じるようになりました。
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ウェブ進化論でおなじみ梅田望夫氏、待望の新刊。今回はMITのオープンエデュケーションを推進した飯吉透氏との対談形式。
米国の大学教育を中心にWEBによってもたらされた変革を紹介し、そしてそれらがいかに個をエンパワーメントする装置になっているかということを構造化して説明している。これらの内容は、いつもながら勇気づけられる内容である。ただし、”ウェブ進化論”のときには、まだ遠い場所で起こっていて、いずれそんな時代になるんだろうなと漠然と感じていたことが、今やソーシャルメディアの加速化により、身の回りで確実に実感できるレベルまで来ており、多少の焦りもおぼえる。例えば、昨今のサンデル教授の”正義”をはじめとする、政治哲学ブームも、遠からずこのようなオープンエデュケーションの影響を受けてのことであろう。
時代は検索エンジンの時代から、ソーシャルメディアへと大きくシフトしている。ただし、ソーシャルメディア自体はあくまでも増幅装置にすぎず、無か有をつくりだすものではない。何よりも大切なのは、ソーシャルメディアの真ん中で、何を思い、どういう態度をとるのかだ。”世界をより良い場所にしていこう”と本気で思うこと、そして”知と情報”に対してオープンな態度を取ること、という主張は、メディアがどのように変わろうとも不変であり本質的だ。
これからも社会における格差というのは残っていくだろう。しかし、それは貧富の差や地域の差ではなくモチベーションの格差にすぎず、お金がない、時間がない、という理由はもはや存在しないのだ。
個人的にも、日々実感するのが、ソーシャルメディアを突き詰めていくと必ず英語の壁にぶつかるということだ。英語で学ぶために英語を学ぶことの必要性は、毎日のように感じている。この問題に対して、何もアクションをおこさない言い訳は残されていない。と同時に、腰をあげればいくらでも可能性はある。厳しくもあり、優しくもある世の中だ。
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MITの全授業がネットで公開されていたなんて知らなかった。
もっと英語使えるようになりたいなぁー!ネットには宝の山☆
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今までの著者本の中では?の感じだった。職を求める競争は世界が相手になるので、まだまだ勉強せんといかんし、やはり英語はマストだわ
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グローバル化が進む社会の中で生き残るために「英語を学びたい」と思っていた。「英語を学ぶ」ために「英語を使う職場で働きたい」、「英語を使う職場で働く」ために「英語を学ぶ」ことを心に決めたところだった。この本を読んで、そのロジックが間違っていないのだ、と思えるようになった。良い本に出会えたことに感謝です。
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ネットの集合知をThe rest of us いわゆる教育的弱者がいつでも誰でも教育が受けれるようになったという意味で革命と言えると思います。しかし、教材は英語が中心になるので非英語圏の人間はまず、英語が必要になるでしょう。やはり情報の量、スピードでは圧倒的に英語で発せられるものが多いわけだから、これからの時代ますます英語が必須になるでしょう。英語の学習意欲が煽られました。
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Webがもたらす新たな教育環境への楽観的な希望をいだける一冊。オープンエデュケーションをめぐる世界の流れについて。web上に構築されるプラットフォームを通じて「教育を受けられる環境」が世界中に開放されつつある方向性が読み取れる。生涯学び続ける。残りの人々。途上国・新興国・先進国内
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インターネットが社会のインフラとして定着し、そこから無限の可能性が期待できる時代に生きていることは、とても幸運なことだと思う。その幸運な環境を是非自分のために活用して有意義な人生にしたいと思う。
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世界で起きているオープンエデュケーションの現状がわかります。が、やはりアカデミック領域での事例が多い。まだこの領域でのビジネスは時期尚早という印象を受けました。
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アメリカを中心に、オープンエデュケーションの活動を数多く紹介している。また、オープンエデュケーションやWebの思想的なことについても、対話形式で記述されている。
掲載されているリンク集が便利なので、★を1つ追加。
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今成長を続けているオープンエデュケーションについて。
この時代、やる気と英語とネットさえあれば、世界のどこにいても大学教育を受けることができる、それも格安で。学位まで取れる。それを忘れちゃいけない。
アホみたいな日本教育しか選択肢に入れていないと泣きをみる時代になるのは間違いない(それともすでにそうなっているのかな?)
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チャンスはこの時にある。
デジタル革命ってことです。
なんだか国内では否定的に報道されることが多い、
ネット上での「つながり」をとても大切に書いています。
10月3日に未来館での毛利衛さんの講演でも、
「つながり」ということがキーワードでした。
今は学び、いつか教えることができたらいいなと、
心底思いました。