「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
読割 50
紙の本
隠密 (講談社文庫 奥右筆秘帳)
著者 上田 秀人 (著)
一族との縁組を断り、松平定信を敵に回した立花併右衛門。だが愛娘瑞紀はなんと縁談相手の旗本家に掠われてしまう。そして定信は将軍家斉の暗殺未遂事件の黒幕探しを併右衛門にあえて...
隠密 (講談社文庫 奥右筆秘帳)
隠密 奥右筆秘帳(七)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
一族との縁組を断り、松平定信を敵に回した立花併右衛門。だが愛娘瑞紀はなんと縁談相手の旗本家に掠われてしまう。そして定信は将軍家斉の暗殺未遂事件の黒幕探しを併右衛門にあえて依頼する。併右衛門をかばい手裏剣を肩に受けた衛悟に殺到する刺客たち。人気爆発シリーズ白熱の第七弾。【「BOOK」データベースの商品解説】
一族との縁組を断り、松平定信を敵に回した立花併右衛門。だが愛娘瑞紀は、なんと縁談相手の旗本家に掠われてしまう。それでも定信は、将軍家斉(いえなり)の暗殺未遂事件の黒幕探しを併右衛門にあえて依頼する。併右衛門をかばい手裏剣を肩に受けた衛悟に殺到する刺客たち。人気爆発シリーズ白熱の第七弾! <文庫書下ろし> (2010年12月、講談社文庫として刊行)
幕政の実力者松平定信を敵に回した併右衛門は、将軍謀殺をはかる黒幕に迫れるか?
無類の面白さ!
第一位シリーズ、白熱の第七作!
「この文庫書き下ろし時代小説がすごい!」(宝島社刊)第一位【商品解説】
著者紹介
上田 秀人
- 略歴
- 1959年大阪府生まれ。大阪歯科大学卒。97年小説CLUB新人賞佳作。時代小説を中心に活躍。歴史知識に裏打ちされた骨太の作風で注目を集める。
著作に「三田村元八郎」「織江緋之介見参」「お髷番承り候」(徳間文庫)、「勘定吟味役異聞」「御広敷用人大奥記録」(光文社文庫)、「闕所物奉行裏帳合」(中公文庫)、「妾屋昼兵衛女帳合」などのシリーズがある。また『孤闘 立花宗茂』(中央公論新社)で第16回中山義秀賞を受賞、講談社創業100周年記念書き下ろし『天主信長』も大胆な解釈で評判に。講談社文庫では「奥右筆秘帳」が抜群の読み応えと好評を博し、「この文庫書き下ろし時代小説がすごい!」(宝島社)のベストシリーズ第一位に輝く。
府下で歯科医院を開業する歯科医でもある。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
奥右筆と将軍後継をめぐる絡み、そして剣劇に魅せられる
2011/01/23 21:32
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
奥右筆秘帳も本書で7冊目である。文章が大変平易であり、物語も将軍家、御三家、御三卿など、内部での暗闘が主題となっていて、読者の興味を引き付けている。半年待たされただけのことはある。いつまで続くのかは分からないが、おそらく8冊目でそろそろ幕引きかもしれない。勿論、そんなことはどこにも書いていないのだが。
ここまで来ると、それほど大きな変化があるわけではない。ただし、奥右筆組頭である立花併右衛門は、庇護者であった元老中松平定信と袂を分かつ。したがって、松平定信、将軍の父親である一橋治済等が放つ刺客の伊賀者、腕の立つ武士等に命を狙われる。それを立花家の隣家に住む柊衛悟が守るというパターンが続く。
これに加えて本書では上野寛永寺の僧兵たちが加わり、立花、柊の二人は防戦に追われてしまう。八代将軍徳川吉宗が創設した御三卿、とうに陳腐化してしまった御三家、将軍候補となる筋は増えてはいるのだが、それだけ将軍自身の身の安全が脅かされていると言ってもよい。十一代将軍徳川家斉は御三卿の一橋家出身である。
本書でもそれが明かされて、松平定信は対策を練るのである。松平定信自身も将軍になっても不思議ではない筋であった。上田の小説では必ずといってもよいほど剣劇のシーンが登場する。それも読者サービスなのであろう。ここでは柊衛悟が主役となる。さらに、膨らみを与えるためか、その主役は道場に通って稽古に余念がない。剣術の師匠とのやりとりも上田が書く小説の定番である。
本書では奥右筆の仕事ぶりが描かれているが、全ての文書が奥右筆部屋に回され、奥右筆組頭が目を通す。したがって、諸大名にとって奥右筆は敵にも味方にもなる厄介な官僚機構であると言えよう。上田の小説の面白さの一つは、この江戸城内の官僚機構の中で重要な役割を演じているが、あまり目立たない組織に焦点を当てている点で、それがユニークな小説として人気を呼んでいるものと思う。
闕所物奉行、目付、勘定吟味役などこれまであまり登場しなかった役柄が出てくる。これら身分はそれほど高くない旗本たちの活躍が物珍しさもあって、新たな江戸時代の歴史小説を創造していく。今後も楽しみである。