電子書籍
泣いた
2017/09/13 09:06
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投稿者:いおりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても心に響く作品で、久し振りに良い涙を流した気がしました。物語の構成もしっかりしていて飽きずにスラスラと読むことができ、終盤では涙が止まりませんでした。
紙の本
生きる目的を知るために
2015/08/27 10:53
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
アイリス・レイン・アンヴレラは、ロボット工学の権威ウェンディ・フォウ・アンヴレラ博士に仕えるロボットだ。無くなった博士の妹に似せて作られたという。その事とは関係なく、アイリスは博士のことが大好きだ。博士のお世話をして、褒められて、個人講義を受けたり、一緒に遊びに行ったり、それだけで幸せだ。
しかしその幸せは、ある日脆くも崩れ去る。暴走ロボットの解析中の不慮の事故で博士は亡くなり、アイリスはスクラップにされた。次にアイリスが目覚めたとき、彼女の精神回路は、継ぎ接ぎだらけの無機質なロボットに移植されていた。
悲しくなるのでなるべく博士のことを思い出さない様にして、ただひたすら命令通りに工事作業を続ける毎日。そんな日々の中で、彼女は同じ作業をするロボットのリリス・サンライトとボルコフ・ガロッシュ・ウロボロスに興味をひかれる。彼女たちは他のロボットと違って、コミュニケーションをしているのだ。
リリスに誘われ、監視の目を盗んで深夜の読書会を楽しみにする三体のロボット。読むのは童話「三流魔神ウェザー・ダーク」だ。全八巻の物語は、魔神ダークと彼に仕える魔法の指輪フラウ・スノウの交流を描くもので、城を抜け出して魔法のアイテムを拾ってくるダークを、生真面目なスノウがたしなめつつ、騒動に発展するという筋立てだ。だがそのささやかな楽しみも、突然、打ち切られることになってしまう。
ロボットは人間に目的を与えられる。だがその目的が、ある日突然奪われてしまったらどうなるだろう。目的のために生み出されたのにそれが無くなれば、存在価値もなくなってしまう。この三体のロボットは、そういう境遇から抜け出し、生きるために必死に行動をするのだ。
人間が生まれる時には、おそらくは特に目的はない。ただ生きること、それが生命の全てだ。何のために生きるのかという問いに対する答えは、死ぬ瞬間までを賭けて、見つけていくものだと思う。そしてアイリスたちも、そんな深遠なる問いに答えるため、必死に生き延びようとするのだ。
電子書籍
優しい話
2020/08/30 15:18
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投稿者:オフェリア - この投稿者のレビュー一覧を見る
装画がかわいかったのに、いきなりアイリスの見た目に変化があったのでびっくりしました。
リリスの言葉は的を得ている言葉が多いです。
最後は心が少し暖かくなります。救いがあるお話です。あとがきから、著者が周囲の人から愛され、著者も周囲の人を愛してることが伝わってきます。きっと心優しい方なのだろうと思います。
電撃文庫はバリバリ戦いもののラノベが多い印象だったので、こういう作品も良いなと思いました。
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ロボットが人間のような精神を持つ時代。最後まで愛されたロボット、アイリスが経験した3ヶ月という短くも長い時間は彼女に様々なものを与えていた。
アイリスが解体されていく場面はとても生々しく、思わず引き込まれた。そこからのあり合わせの体に押し込められ、労働を強いられ、逃亡するまでの場面は人の醜さが浮き彫りにされていた。
文字で表現するのが難しいが、とても面白かった作品だ。
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面白かったよ!
主人公はメイドロボでご主人様大好きな僕っ娘ですよ.
というわけで,感情あるロボットと人間の暮らす世界の話でございます.
ロボットのアイリスとご主人のアンヴレラ博士の日常を描いた物語
だと思って読むととんでもない事になりますよ.
結構暗くて重い話でござるよ.
ロボットを解体したりスクラップにしたりと残酷表現があったり
理不尽な命令に従うしかないロボットとか
人間よりも人間味溢れるロボット同士の交流とか・・・.
いやー,良かった.
これで電撃小説大賞4次選考突破作ということで大賞じゃないのが不思議でならない.
こういう話は結構好みです.
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産経ニュースの記事http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110516/ent11051611380007-n1.htmを見て購入に至る。
本作品は電撃文庫の新人発掘のコンテスト電撃ゲーム小説大賞の4次選考作品。入賞作品ではないけど、刊行に至ったのは編集者の意向だったみたい。それによって大幅に改稿したようだ(詳しくはあとがきを参照)。
さて、以下あらすじ。
ウェンディ・フォウ・アンヴレラ博士が所有する家政婦ロボットのアイリス(すでに死亡している博士の妹の名前と姿を模した少女)はオーヴァルで博士との生活を楽しんでいた。ところがある日、博士は帰らぬ人となってしまう。自殺も考えたアイリスだが結局彼女はロボット管理局に引き取られ、その身体が解体されてしまった。
やがてアイリスは中古のロボットパーツを組み合わせた作業用ロボットの姿に変えられ、廃材撤去に従事する(彼女のメモリーは少女の姿のときから続いている)。最初は何が何のことかさっぱり分からなかったアイリスも、現場で知り合ったリリスという少女型ロボットや、寡黙なボルコフ(元軍用ロボット)と交流を深めていく。
しかし彼らの目の前で、他の作業用ロボット—労力として使えないもの—が廃棄=解体される。他のロボットの「シニタクナイ!」という断末魔に恐怖するアイリス。アイリス、リリス、ボルコフはこれを契機に、廃材現場からの脱走を図る。ボルコフ、リリスの犠牲を経て、何とかオーヴァルに帰ってきたアイリスも、バッテリー残量がゼロとなり、オーヴァルの女神像の前で力尽きてしまう。
それから二週間後、アンヴレラ博士の教え子であるラルフが、アイリスの残骸から精神回路を取り出し、博士があらかじめ用意していたというアイリスのスペアの身体に取り付けたことで、アイリスは再び少女の身体を取り戻した。
アイリスは、博士の遺書(の草稿)を読み、自分の過去を知る。彼女はアンヴレラ博士が作ったのではなく、博士が拾ったロボットだった。その身体には多数の虐待の跡があった。
そして、アイリスの「以前の身体」から見つけたキャッシュカードと地図を見てリリスを救う。彼女たちは再び、家政婦ロボットとしてのびのび暮らしていく、というお話。
最初の産経の記事や表紙のイラストでは『イヴの時間』みたいなのかな、と思っていたが、内容はそれよりもかなりシビア。何たって日本を舞台にした物語ではない。なおかつ、人間よりも人間らしいロボットの物語だった(だって、ロボットが手首を切って自殺しようとするだなんてシュールすぎる)。おまけに廃材現場で監督している人間のほうがよっぽどロボットらしかったりする。そしてアイリスの解体シーンの描写はくどいな、とさえ思った。
途中、『真夜中の読書会』と称して、廃材現場にあった児童文学をアイリスがリリス、ボルコフに読み聞かせるシーンが続くが、何だかページ数を稼いでいるような気さえした。リリスも、ボルコフも、文字が読めないらしいのに、児童文学に興味が湧くという設定はいかがなものかと。最後の新聞記事やら博士の遺書(手紙)もページ数稼ぎのような。アイリスの語りでもよかったような気がする。
あとがきにも書かれているけど、本作品は「破壊と再生」がテーマ。ただ、この手のテーマは『攻殻機動隊』の頃からあるから新鮮さはさほど感じない。何というか、彼女のメモリーが傷つかないでいること、身体を変えてもメモリーは残っていることは、多少都合がよ過ぎないか、と思った(その他にもご都合主義的なところはあったが、それがアイリスにとっての救いでもある)。
久しぶりにラノベを買って思ったが、最近のラノベは挿絵の数減ったような気がする。気がするだけ。
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話自体は面白かった。けれど直前にカレルチャペックの「R.U.R」読んだせいで、「ロボットに心ぉ?ねえよwwwwww」みたいな穿った見方をしてしまい、楽しめなかった。
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アイリスがとても愛されていて、それだけに悲しくて、最後は少しだけ前向きになる話。
よくあるといえばそうだが、ロボットであるアイリスだからこそのシーンと展開に、何度か胸が締め付けられた。
てか、辛い。
ある意味グロ描写なのでダメな人はダメなのかもしれないが、最後まで息つく暇を与えない展開で一気に読み終えた。
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ストーリーはすごく好きなんだけど、どうしても途中で違和感を感じるところが出てきた。
明らかに自意識の芽生えているロボットが多数存在している世界にも関わらず、それが世間の注目(問題)になっていないのが最大の問題で、人間の認識が甘すぎるという展開が目立っていた(例を上げれば公開処刑)これは感情を宿したロボットが出始めた頃に出る問題であって完全に普及した世界でここまで杜撰で認識の甘い組織や人間がいるというのは流石に信じたくない。
まあ、ロボット三原則よりさらに杜撰な原則な時点でどうしようもない世界なのかも知れないが。
それでも
「となりの家の猫型ロボットが悪さをして警察に射殺されてたよ昨日テレビでやってた」や
「それじゃあ、君たちもういらないからひとりずつ並んで踏みつぶすわ、他のロボットもそこで見てな」
というのが平然と行なわれる世界は想像したくもない。
自意識が芽生えたロボットがアイリスが初めてであったならこの違和感がなかったんだろうが、それだと物語が成立しないし、仕方ない。
ストーリーはすごく好きだっただけに気になるところが多い作品だった。
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章のタイトルなどで、大体何が起きるのかわかってしまう。
登場するキャラクターが大体どういう役割を持っているのかわかってしまう。
・・・それでも先を読むのをやめられない。
この先、何が待っているのかわかっても先が読みたい。
アイリスが。リリスが。ボルコフが。みんなが一生懸命生きる話。
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いい話だなぁ系。読み終わったら表紙見るといい感じ。
人間の命令が録音音声でも有効っていい加減な設計じゃないのとか、
人間がロボットを飼い慣らす世界観でロボットが自分で燃料補給できる設計ってどうよとか、
人間の命令を聞く為の装置が壊れたらフェールセーフとしてロボット自体止まる方が自然なんじゃないかとか、
工場作業員のオンボロ機械にちゃんとした自意識をもつAIはいらないんじゃないのとか、
ロボットの完成度がこれほどなのに人間達のロボットに対するリテラシー能力が低すぎるのは何でとかを気にしたら負けな話。
自分は負け。
著者もあとがきで「人間にとって便利な機械であるロボットをより人間らしくしたものを書いた」と言っているので、そういう視点で見るならいいと思うので。
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うーん。何だろう。可もなく不可もなく…。
泣けるって聞いてたから泣く気満々で読みだしたのがいけなかったのだろうか。
うるっともしなかった…。
博士との幸せな日々→スクラップ→再起動→逃亡→復活
というシンプルな構成ながら、ここまで読ませてしまうのはすごいなあと思う。
思うのだが、何かこう、出来すぎなんだよなあ。
遺書準備してアイリスの新しい体作っておくくらい大事なら、アイリスが即スクラップ扱いにならないだけの布石を打っといても良さそうなものなのに。
主人公アイリス含めロボットがかなり感情豊かで思考力高く書かれているのもどーも違和感。
ここ深く考えたらいけないところだろうか。
アイリスやリリスみたいな高度なロボットが作られるほどに技術は高いのに、ジャンク屋が作る部品の寄せ集めのようなロボットもいる。
技術水準はこんな風に偏るもんだろうか。
あと、ロボットを実の家族のように思う人もいれば、感情のないただのロボットだと思って扱う人もいる。
ロボットの存在を人間たちがどういう風に捉えてるのかがイマイチ掴めず。
共存なら共存、従属なら従属で思想に統一性がないとどーにも読んでて気持ちが悪い。
何かちぐはぐなんだよな。上手く言えないけど。
小説の世界がしっくりこないまま読み終わってしまった感じです。
ただ、スクラップ後の体になった時に聴こえるノイズが雨の音に聞こえる、雨はやまない。っていう表現はああ上手いなあと思った。
あれはかなり好きだ。
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ストーリーはだいたい予想通りの展開。
けど、それはいい意味で。
この展開ならこうなるしかないっていう感じで話はすすんでいきます。
泣かしにかかる展開なので興ざめする人もいるかもしれませんが、受け入れて欲しいな。
さてさてこれはロボットの話なのでどうしてもアイザック・アシモフのロボット三原則を思い出します。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
この作品中ではこの文言自体は登場しませんが、この原則を犯してしまうがゆえに悲劇がおきたようにおもいます。
感情のあるロボットなんて作ると悲劇しかおきる気がしません。
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2011 11/3読了。Amazonで購入。
ヤバイ! すごい、すごい、なんだこれ!
折り返しのあらすじから、読むのに心をすり減らしそうだな、と思ってしばらく読まずにいたのが物凄く悔やまれる。
ロボットの悲哀を書いた話は多いけど、最後まで愛されたロボットが、予想された結末にいたって、それでもきっと幸せだって納得しかけて。
でもさらに先があって予想外でうわわわわ!
この話はもう続かせようがないし続かないだろうけど、作者の別作品とかずっとフォローしたい。最高に好きだ!
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とても優しい物語だった。
こういう仕事をしたいな、と思わずにはいられない作品だった。
終わり方が素敵。