紙の本
人の振り見て我が振り直せ
2017/05/03 17:27
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投稿者:meitetsu - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦前の日本人のマナー・モラルについて、豊富な実例・資料を基に論じています。マナー・モラルをテーマとした本の場合、論調が感情的であったり、誰かを槍玉にあげて徹底的に叩くような文章になりがちなのですが、本書ではそのようなことは無く、冷静に一歩引いた視点で分析しています。いつの時代も人間というのはひどいものだと思うと同時に、自分もその中の一人であるという厳しい認識を持ち、己を律して生きていかなければならないと痛感しました。
紙の本
道徳悪化論への警鐘の書
2022/01/26 18:14
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投稿者:Sherfit Baker - この投稿者のレビュー一覧を見る
政治家などによる,「日本人の道徳心が乱れている」という安易な考え方を徹底的に否定する,価値のある書。
海外で目にする,ゴミの散乱や,空港での荷物の抜き取りにはあきれることがあるが,この本を読んで,日本も昔はそうであり,それとて歴史的にみると価値観の相違に背景があるとわかった。
「むしろ昔のマナー・モラルの方が悪い」と断定するばかりではなく,歴史的背景まで掘り下げて書いていただけるともっと良かったと思う。
が,戦前の新聞などから,これだけの証言を集めただけでも頭が下がる。
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昨今の若者のマナー違反やモラル低下を見て、「昔は良かった」とよく言うけど、その“昔”のマナーは本当にそんなに良かったの?と言うことを、当時の新聞や書物などから検証した本。
「昔は良かった」という場合って、戦前だったのか!?ということに少しびっくり。
自分のイメージでは何となく戦後~高度成長前位の感じだった。
面白いのは、昭和十年代の文献で「最近マナーが低下している」という記述があるが、その20年前にも全く同じようにマナーの低下を嘆く文献があるということ。
要するに「昔は良かった」とか「最近の若者は」とか言う言葉は、いつの世でもある程度年を重ねたものが思う共通の思いということか。
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道徳のタイムトラベル。行先は,戦後教育で日本人のモラルが失われる前の明治・大正・昭和初期…。
…でまあ結局は昔の人々のモラルの低さに呆れるわけです。これはやばい。。
公共スペースでのマナー,職業倫理,児童虐待,姥捨てなど,テーマ毎にいくつもの新聞記事や書籍の抜粋を紹介。運送業での積荷抜き取り,詐欺医者,養育費目当てのもらい子殺しや行政による高齢者の遺棄。別にひどい例ばかり取り上げて不当に印象操作をしてる風ではなくて,こういうのがかなり横行していたのは確からしい。
普通に考えたらそらやっぱり昔の方が人間が立派だったなんてわけないよな…。「昔はよかった,今はなっとらん」という言説は今に限らずはるか昔から行なわれてきた人間社会の伝統であることも再確認。
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新聞やテレビだけでなく、論文までもがモラルの低下、マナーがなっていないという。けれども、それは何と比較しているのだろうか。
「昔は昔は」という人がいるが、はたして「昔」はモラルがよかったのか、という問題意識をもって「いやいや、昔だってモラルがないですよ!」と答えてるのが本書である。
・駅や車内のマナー(第1章)
→車内で化粧をする人、裸になる男性、肌襦袢(和服の下着)になる女性、不正乗車など
・公共の秩序(第2章)
→ゴミ捨て場のような川、本が大切にされない図書館など
・仕事でのモラル(第3章)
→お歳暮などの抜き取り、食品偽装、いい加減な診察や医療行為をする医者、教師という立場を利用した性犯罪や教師の放火、賄賂など
取り上げたものはどれも興味深いのだけれど、証明の仕方が固定していて飽きてしまうのが玉に瑕。
揚げ足取りにはたくさん使えそうな一冊。
(まっちー)
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いつの時代も、年を取ると「昔はよかったなあ」と考えはじめ。それが真理ということか。ましてや、自分が生まれる前の社会を美化しはじめたら。
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20140720読了
過ぎ去った時代はとかく美化されがち。人が昔のことを思いだすとき、その記憶は懐かしさや郷愁から何割か美しめに補正されるのが普通なのだと知っておくのは大事。そうは言っても年を重ねれば「昔はよかった」と一度は言ってみたくなるものなのかもしれない。●列車に乗るときは並べない。窓から荷物を放り込んで席を取る。ごみや食べかすが散乱。車内で化粧や着替えをする。ごみが散乱した公園。パーティでは食器等持ち帰る。郵便物の抜き取り。不正升で商売。粗製濫造の輸出品。食品偽装。インチキ医者。児童虐待。高齢者の自殺率が高い。家庭のしつけが甘く子どものいたずらがひどい。…さまざまな事例をみていくと、公衆道徳はむしろ向上してきたんだなと思ったり、なんだ、昔もひどい虐待事件ってあったんだ、いつの時代もヒトって変わらないんだなと思ったり。
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朝日新聞で見かけたので読んでみました。
タイトルから分かる様に、色んなところで「昔はこうだったのに、最近は…」とか「昔は良かった…」みたいなことがあるけれど、それって本当なの?という疑問から出発している本です。
あとがきにあったけれど、確かにその時代を生きていた人の語る話は本当だし、とても大切なものだけれど、人一人が見られる世界はそんなに広くないのだから、その人が見てきたものだけが全てではないということは理解する必要がある。
これは、こういう昔今比較のことだけでなくて、現在を生きている中でも同じではないかと思いました。
また、昔を引き合いを出す際に、冷静に事実を知った上でのべているよりも、印象で語っていることが実に多いというのも納得です。
様々な創作物がある中で、映像は記憶に残り易いですが、そこで見たものをどうしても思い出して考えてしまうことも多いと思う。だから難しいのかなぁと思います。
いつの時代も「最近は…昔は…」みたいなことを言っていたんだなぁ…というのも分かって面白かったです。
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「昔は良かった。それ比べて近頃のモラルの低下は…」などとテレビや新聞、評論家などがよく言う。ホントに昔はよかったの?
実は公衆道徳は、昔のほうがずっとひどい。ゴミのポイ捨て、所構わず立ち小便、子どもを虐待する親、老いた親を虐待する子ども……。教育勅語や修身などは何の役にもたってないみたい。今の世の中に生まれて本当に良かった! 安易なイメージで「昔はよかった」なんて言う前に、読んでおきたい一冊。
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昔はよかったと言うけれど、昔のマナーってだいぶ悪いぜ、ということに大きくページを割いている。あははひでえなあ、という感じで読めば、昔のマナーの悪さは面白くもある。さて本当に昔のマナーは悪くて、今のほうがよくなっているのか。著者は今のほうがいい、という。ただ、マナーというのがなんなのか。「お天道さま」みたいな道徳の絶対的存在がほぼなくなっている現在、マナーというのも、公共というあるのかないのかわからないものに縛られているのだと思う。政治家はマナーやモラルを法で縛ろうとする。メディアはマナーが悪いと囃し立てる。そのメディアの情報で「昔は悪かった」とするのもちょっと疑問も残る。真剣にマナーを考えるとこの辺でイライラする。娯楽だ、娯楽として読むしかない。公衆便所に入浴しているような銭湯、とか。
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イマドキの若いもんは…って歴史上繰り返されてきたんだねえ。昔の日本人がある意味大らかだったこと、凶悪犯罪も今以上にあったこと。
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最初は笑いながら読めたけど、後半は倫理観ノモンダイとして洒落にならなかった。マナーが悪いといったレベルではない。
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歳をとってくるとついつい「昔は良かった」と考えがちですが、それが本当なのか?ということを真っ正面から問いかけ調べた本。目から鱗という感じで、特に保守系の政治家は一読すべき。
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今の日本はモラルが低下している・・・
子供を虐待したり・・・
お年寄りを虐待したり・・・
親が子を殺したり・・・
子が親を殺したり・・・
子供同士殺し合ったり・・・
公共の場を汚しても何とも思わない・・・
電車で化粧をする女性がいる・・・
等々・・・
日本は段々おかしくなってきている、と・・・
そして・・・
それに比べて・・・
昔の日本(特に戦前が語られることが多い)は家庭や学校で道徳教育がよくなされていたので、モラルが高かった・・・
親を大事にし・・・
子を大事にし・・・
お年寄りを敬い・・・
公共の場でも非常にしっかりしていた・・・
昔の日本人は立派だった、と・・・
さて・・・
果たして・・・
それは本当?
ホントなの?
今の日本は・・・
確かにモラルが低下しているのかもしれないですが・・・
じゃあ、昔はモラルが高かったのか?
みんな道徳的に立派な人間だったのか?というと・・・
本書を読んでみると・・・
決してそんなことはなかったようで・・・
親も殺せば・・・
子も殺し・・・
列並ばないし・・・
列車で寝そべる人もいれば・・・
列車で化粧する女性もいたし・・・
列車で着替えをする人もいたし・・・
靴履いたまま子供を席に上らせるし・・・
荷物で座席を塞ぐし・・・
列車でも道路でもそこかしこで痰や唾をペッペするし・・・
ゴミを平気で捨てるし・・・
公園を荒らしたりするし・・・
お年寄りを大事にしてないし・・・
子供を虐待してるし・・・
しつけも甘かったりするし・・・
子供もタチの悪いイタズラするし・・・
特にショックだったのは第3章でして・・・
さながら現代の中国のような感じ・・・
先日の例の上海の食肉の企業・・・
あれとおんなじ感じです・・・
腐った肉混ぜるし・・・
産地偽装するし・・・
ウサギの肉に血清注射をして鶏肉に混ぜてこれは鶏肉だって誤魔化すし・・・
牛乳に水混ぜて売るし・・・
消毒しきってないの売るし・・・
昔(いや、今も?)、あんなことやってたみたいですよ、日本の企業も・・・
外国企業との取引契約を一方的に反故にするし・・・
運送している貨物列車の荷物をチョロまかすし・・・
町のお米屋さんとか不正するし・・・
医者も患者が分からないのをイイことにぼったくるし・・・
教師もストーカーまがいのことをするし・・・
一部の親と金銭的な癒着があったりするし・・・
・・・
一部ですが・・・
どうですかね?
今も昔も・・・
実はそれほど大差なくて・・・
昔の日本人は立派だったなんて・・・
あんまり言えないんじゃないでしょうか??
もちろん・・・
立派な日本人も多くいたと思います・・・
私自身、スゲーなと思う人多いですし・・・
モラルの高い人もいっぱいいたことでしょう・・・
でもでも・・・
みんながみんな���うではない・・・
一部には、モラルが低い人もいた・・・
でも、そういう意味では今だってそうだし・・・
だから今も昔もそんなに変わらないんじゃない?
昔の日本を『過度に!』美化することはないんじゃない・・・
むしろ現代的な価値観でのモラル、マナーの面でいうと昔よりも今の方がしっかりしている、と著者は言う・・・
過去の先輩たちが努力を積み重ねてきたおかげで、今の方がむしろ優れていると主張する・・・
この本を読んだら確かにそうかも、と思う・・・
非常に面白く、戦前の日本の一般的なイメージとはちょっと違った視点を持たせてくれる本でした・・・
良いです・・・
オススメちゃん・・・
最後に引用・・・
歴史や伝統から何かを学ぼうと努めることは大切です。
しかし、その前にまず過去の事実を正確に、より客観的に、より多角的に把握する必要があります。
歴史は、断片的な情報、史料を集め、それらをつなぎ合わせることで全体像が描かれていきます。
一個人の経験というわずかな断片から描き出された「歴史」は、多くの場合ファンタジーの域を脱しません。
昔のよかった面だけでなく、悪かった面にも冷静に目を向け、先人たちがその悪い部分とどう向き合い、何を試みてきたのかを見極めることも重要です。
そうした物事を複眼的にとらえようとする姿勢こそが、本当の意味で歴史から学ぶというに値するのではないでしょうか。
一面的な歴史認識、恣意的な歴史解釈は、社会を誤った方向へ導く危険性を秘めています。
うーん・・・
道徳を教科にしたって、安倍さん・・・
それで日本が良くなるかどうかは・・・
戦前のことを考えると、何とも言えませんね・・・
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戦前のマナー・モラルに関して、いかに美化して伝えられてきたのか、またイメージされてきたのかがよく分かる一冊でした。
資料も多く、また読みやすくしてくれているのもありがたい。今のほうが道徳心高いよと、自信を持って言える内容です。
「昔は良かった」の昔っていつのこと?そう、強く思ってしまいます。つか色々汚くて、正直ぞっとした一面も(銭湯とか痰唾とか)