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紙の本
エジプト革命 軍とムスリム同胞団、そして若者たち (中公新書)
著者 鈴木 恵美 (著)
革命により独裁政権を倒したエジプト。その後の民主化プロセスの中で軍とムスリム同胞団は権力闘争を展開し、革命の立役者である若者たちは疎外されていく。2年半に及ぶ歴史上の劃期...
エジプト革命 軍とムスリム同胞団、そして若者たち (中公新書)
エジプト革命 軍とムスリム同胞団、そして若者たち
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商品説明
革命により独裁政権を倒したエジプト。その後の民主化プロセスの中で軍とムスリム同胞団は権力闘争を展開し、革命の立役者である若者たちは疎外されていく。2年半に及ぶ歴史上の劃期を、軍・宗教勢力・若者たちの視点で追う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
鈴木 恵美
- 略歴
- 〈鈴木恵美〉1971年静岡県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。中東調査会客員研究員。編著に「現代エジプトを知るための60章」など。
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書店員レビュー
アラブ革命の行方を知り、日本自身を問う
ジュンク堂書店難波店さん
2011年初頭のエジプト民衆革命は、日本でも連日報道された。チュニジアのベン・アリーに続くムバーラク大統領の失権は、タハリール広場に集まったエジプト民衆の勝利として「アラブの春」と称揚され、それを実現した新しい環境としてフェイスブックなどのソーシャルネットワークサービスが注目された。だがその後に続く「革命」の進展のニュースは、日本のテレビ・新聞から消えてしまった。3月11日、東日本大震災、それに続いて福島第一原発事故が発生したからであり、報道が国内の大災害・大惨事に集中したのはやむを得ず、また当然のことだったと思う。
だが、それから3年足らずが経った今でも、あれだけ熱狂的に報道された「アラブの春」のその後をきちんと追った報道がほとんどないのは何故か?ムバーラク退陣後のエジプトの事態は収束するどころか、更に複雑でダイナミックに変転していったのだ。2013年夏のムルシー退陣に至る経過は、ムバーラクのそれに劣らずドラマチックだと言っていい。本書にそのプロセスと背景を教えられながら、日本では、2011年の「民衆革命」についても実はほとんど理解されていなかったのではないか、と思うようになった。
2011年春、青年勢力、リベラル、左派などの勢力が1月25日革命で中心的な役割を果たしたのは事実であるが、プレーヤーは彼らだけではなく、体制の維持を目論む軍部、政権の獲得を目指すムスリム同胞団を含めた三者の思惑が、「民主化」の名のもとに真正面から衝突していたのだ。軍は、イスラエルの脅威やスエズ運河という戦略拠点故に文民統制をまぬがれ、アメリカ政府から援助も受けて、政治的にも経済的にも大きな影響力を持つ。そしてイスラーム勢力のムスリム同胞団は圧倒的な票田を持ち、結果そこから出たムルシーが、民主的な手続きに則った選挙によって大統領になる。それらの状況を、多くの日本人は想像できないのではないだろうか。それが、「アラブの春」報道が尻すぼみになった理由の一つだと考えられる。
だが、本書が描く3年間を、「アラブの春」=民衆革命の、エジプトの特殊事情ゆえの挫折と総括して済ませてはいけない。政治力を持つ強大な軍隊や国民の過半数が信仰する宗教の存在は、現代世界の多くの国家において一般的な状況であり、そうでない日本の方が特殊だからだ。
同時にぼくたちは自問せねばならないだろう。わが日本は、本当に、真に民主的な制度のもと、ふさわしい指導者を選ぶことが出来ているだろうか、と。
アラブ革命の行方を知り、日本自身を問う
ジュンク堂書店新潟店さん
2011年初頭のエジプト民衆革命は、日本でも連日報道された。チュニジアのベン・アリーに続くムバーラク大統領の失権は、タハリール広場に集まったエジプト民衆の勝利として「アラブの春」と称揚され、それを実現した新しい環境としてフェイスブックなどのソーシャルネットワークサービスが注目された。だがその後に続く「革命」の進展のニュースは、日本のテレビ・新聞から消えてしまった。3月11日、東日本大震災、それに続いて福島第一原発事故が発生したからであり、報道が国内の大災害・大惨事に集中したのはやむを得ず、また当然のことだったと思う。
だが、それから3年足らずが経った今でも、あれだけ熱狂的に報道された「アラブの春」のその後をきちんと追った報道がほとんどないのは何故か?ムバーラク退陣後のエジプトの事態は収束するどころか、更に複雑でダイナミックに変転していったのだ。2013年夏のムルシー退陣に至る経過は、ムバーラクのそれに劣らずドラマチックだと言っていい。本書にそのプロセスと背景を教えられながら、日本では、2011年の「民衆革命」についても実はほとんど理解されていなかったのではないか、と思うようになった。
2011年春、青年勢力、リベラル、左派などの勢力が1月25日革命で中心的な役割を果たしたのは事実であるが、プレーヤーは彼らだけではなく、体制の維持を目論む軍部、政権の獲得を目指すムスリム同胞団を含めた三者の思惑が、「民主化」の名のもとに真正面から衝突していたのだ。軍は、イスラエルの脅威やスエズ運河という戦略拠点故に文民統制をまぬがれ、アメリカ政府から援助も受けて、政治的にも経済的にも大きな影響力を持つ。そしてイスラーム勢力のムスリム同胞団は圧倒的な票田を持ち、結果そこから出たムルシーが、民主的な手続きに則った選挙によって大統領になる。それらの状況を、多くの日本人は想像できないのではないだろうか。それが、「アラブの春」報道が尻すぼみになった理由の一つだと考えられる。
だが、本書が描く3年間を、「アラブの春」=民衆革命の、エジプトの特殊事情ゆえの挫折と総括して済ませてはいけない。政治力を持つ強大な軍隊や国民の過半数が信仰する宗教の存在は、現代世界の多くの国家において一般的な状況であり、そうでない日本の方が特殊だからだ。
同時にぼくたちは自問せねばならないだろう。わが日本は、本当に、真に民主的な制度のもと、ふさわしい指導者を選ぶことが出来ているだろうか、と。