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商品説明
四月の雪の日。あの日、あたしは生き返らなかった。その夜、シェアハウスで開かれたパーティで、いったい何があったのか?悪意と嫉妬、自由と不自由―小さな染みがじわじわ広がり、住人たちは少しずつ侵されていく。ミステリー&恋愛小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
樅木照(もみのきひかる)はシェアハウスの裏庭で、ある朝全裸で死んでいた。前夜に開かれたパーティで、いったい何があったのか? ミステリー&恋愛小説。『きらら』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
あの日、あたしは生き返らなかった――。
シェアハウス〈Bハウス〉には五人の住人がいる。樅木照(ヌードモデルをしながら体を売っている)、桜井竜二(イタリアン・レストランのオーナー・シェフ)、妹尾真人(売れない俳優)、碇みゆき(フリーライター)、鹿島葉子(銀行員)、それにハウスを管理する不動産屋の青年・曳田揚一郎。
照の謎の死が、それぞれの人物に新しい光と影を投げかける。照はその死後も彼らの頭上を浮遊している。
《Bハウスのひとたちは自分以外みんな、不自由だと照は感じていた。あたしの死によって、気の毒なことにあのひとたちはさらに不自由になってしまったらしい》
彼らは、「あの日」のことをそれぞれに回想する。あのパーティは一体何だったのか、そして照はなぜ死んだのか、それは事故だったのか、自殺だったのか、それとも殺人?
《どこからどこまでが本当なの? 私たち、それぞれまったく違うことを、本当のことだと思っているのかもしれないでしょう?》
《みんなが照を嫉んでいたにちがいない。みんな不自由だったが、照は自由だった。俺も彼女が嫉ましかった。でも、俺は殺していない。じゃあ、誰だ?》
《あの日、あのことをはじめたのは自分だった。ただ、はじめたときに悪意があった。悪意の正体は嫉妬だった》
悪意と嫉妬、自由と不自由――小さな染みがじわじわ広がり、みんなが少しずつその染みに侵されていく。そして「あの日」がやってきた。
【商品解説】
著者紹介
井上 荒野
- 略歴
- 〈井上荒野〉1961年東京生まれ。「潤一」で第11回島清恋愛文学賞、「切羽へ」で第139回直木賞、「そこへ行くな」で第6回中央公論文芸賞を受賞。
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ミステリの風味のようなものを小説の中に感じる
2015/08/20 10:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
樅木照という娘が死んで、魂の状態になって自分の住んでいたシェアハウスの面々の様子を見ている。この設定が、陳腐ではなく魅力的に生かされている。彼女の死因や、その夜何があったか、またシェアハウスの住人の関係や抱える背景などがストーリーを追うごとに徐々に明らかになっていく展開がおもしろい。決してミステリではない。ただ、小説の中にミステリの風味が備わっている、といった感じ。”風味”であって、それが主目的ではない。例えばある人物とある人物が妙にぎすぎすしている理由や、同じハウス内である人物がある人物を避けている理由などがわかったところで、ミステリの謎の解決とはちがい、何がどうなるわけでもない。でも、それらのことがストーリーの中に緻密に盛り込まれていて、少しずつ明かされていく感覚がおもしろかった。終わり方は少し唐突だったが、納得のいくまとめ方ではあった。