僕はビートルズ １ （講談社文庫）

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投稿者：キック　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

いわゆるタイムスリップものが大好きで、裏表紙を読んで衝動買いしました。
　六本木の「アビーロード」ならぬ「リボルバー」専属のビートルズコピーバンドが、昭和36年にタイムスリップ。まだ、ビートルズの曲が世に出ていないことを良いことに、先に歌ってしまおうという話です。本巻は1作目のシングル発売までを描いています。
　少し音楽をかじった人なら、妄想したことがあるのではという設定です。設定は悪くはないと思いながら、読後の違和感は相当なものがありました。特に、デビューシングルの選曲には納得できません。何故「抱きしめたい/アンド・アイ・ラヴ・ハー」なのでしょうか？「抱きしめたい」はシングル６曲目、「アンド・アイ・ラヴ・ハー」はLP盤３枚目の収録曲です。「ラブ・ミー・ドゥー」はどこへ行ったのでしょうか？
　作品の連続性が、いきなり絶たれました。この連続性に無頓着ということは、ビートルズを扱う漫画として致命的です。つまり、ビートルズのことを何も分かっていないということが、いきなりばれてしまったということです。逆に、ビートルズへの思い入れや知識がないからこそ、こういう漫画が描けるのかもしれません。

　タイムスリップものには、いくつかのパターンがあります。亜次元において、歴史上の重要人物が存在しないがゆえに、時空を超えて「時」に呼ばれてしまうパターンやひょんなことからタイムスリップし、歴史に挑戦するが、歴史の修正力に敗れるパターンや歴史が変わってしまい収拾がつかなくなるパターン等々。果たして本作はどのパターンを辿るのでしょうか。