紙の本
ディック+星新一「ブランコのむこうで」
2002/04/09 06:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かけだし読書レビュアー - この投稿者のレビュー一覧を見る
作品に漂う雰囲気はディック、文章は星新一の「ブランコのむこうで」を思わせる。特にブランコの出だし「その日は朝おきた時から、なにかが起こりそうな感じがしていた。どんなふうな感じかと聴かれても、ぼく困ってしまうんだな。でも、こんな時にはっきり説明できないのは、だれだって同じじゃないかしらん」といった部分を比べても違和感がない。繰り広げられるのはディック的な濃厚な世界だが、星新一を思わせるような文体ということもあってか比較的この手の作品にしてはとっつきやすい。
物語の舞台は火星。地上にはアンドロイドが都市を築き、人は地下で生活をしている。幻想の教師、性を売る女、予知能力を持つ男など、何処かうさんくさい世界観が秀逸。面白いのはアンドロイドの世界で囁かれる神「エンズビル」の光臨の噂とアンドロイドの秘密。最後はかなり意外だった。質の高いSFだと思う。お勧め。
電子書籍
SFのエッセンス
2018/10/15 18:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本で数少ない名作SFである。人間が地下でとアンドロイドが地上に住んでいるという衝撃的な設定から始まる。その後の展開も、驚く事実が連続するばかりであり、読者を飽きさせない。しかし、最大の伏線が予想できるという失敗はかなり大きい。その点を抜いて評価すれば読んでいて次が気になる小説である。
紙の本
人工知能
2022/07/17 21:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みかけて、最初は、なんか進みかたは遅いし、イライラしてくるなぁ……でしたけど、半ばから後半は、さくさく進みます。アンドロイドと人間の戦い。 日常は少し非日常的で、人とアンドロイドが……というお話です。
投稿元:
レビューを見る
私と神林作品との出会い。まだ大学生だった私に「現実と思い込みと事実」という事象をはっきりと認識させてくれた一冊。汚染された地球を捨て、火星の地下空洞で暮らす人間。実際には無機質な暮らしを、幻覚装置を使って豊だと思い込もうとする人間。地上には、アンチと呼ばれる人間そっくりのアンドロイドが暮らし、人間の世界では体験できない真の遊興を堪能している。夜な夜な人間はこっそりと禁断の地表へ行き、アンチのフリをして遊ぶのだが。
投稿元:
レビューを見る
アンドロイドと人間の戦い。
幻影に囲まれた日常で、人とアンドロイドが、自分の存在意義を模索する物語。
投稿元:
レビューを見る
二十年近く前に書かれたことを感じさせない斬新さで、厚さをもろともせず読ませる。火星時代の人類、地球とアンドロイド、そして地下に潜った人たちの生活。表題の「あなたの魂に安らぎあれ」という言葉が作中何度もつぶやかれる。三部作の最初の作品であり、最後の時代に設定。『夏への扉』と同じ読後感をもたらすSF。
投稿元:
レビューを見る
火星に住む主人公がなぜ地球の夢を見るのか…?
神林長平の言語感覚が好きです。
リアリティ・バランスもろもろすべてひっくるめて。
投稿元:
レビューを見る
火星三部作第一部。遠未来、人間は火星地下の空洞都市に住み、地上ではアンドロイド達が自由を謳歌していた。繰り返される退屈極まりない毎日に鬱々とする人間。そんな彼らを蔑むアンドロイド。2者の対立は徐々にエスカレートし、やがて抗争をもたらす。一方、アンドロイド達の間ではある噂が流れていた。「神エンズビルが天から下り、すべてを破壊し、すべてが生まれる…」 奇妙な夢、幻に満ちた日常、アンドロイドの神。随所にちりばめられた謎が、絶妙な語り口で解き明かされていく。まさに日本SF界の傑作!
投稿元:
レビューを見る
夢枕獏氏が嫉妬した!!
神林長平氏の長編デビュー作にして三部作の第一段!!
火星の地下に広がる砂沙空洞市で男が見る夢は何を意味するのか?
放射線が吹き荒れる地上の門倉京に住むアンドロイドの神とは一体…。
人とアンドロイドが縦横無尽に動き、物語は驚愕の真実に彩られる。
そこにあなたは神の姿を見るだろう。
神林長平という物語の神を……。
投稿元:
レビューを見る
神林ファンの間では「あなたま」とも呼ばれる人気作品。ダーティで憂鬱な世界観がたまらない。夜明けを思わせるラストシーンも素晴らしい。
終わりを見る事のできる人間は、その前に何をすることができるのか?魂の安らぎを祈る以上のことをできるかもしれない物語。
投稿元:
レビューを見る
借本。
3部作の最初の作品。
読後の充実感は凄かった。
アンチが変化していく様が、とても印象的でした。
次が早く読みたい〜
投稿元:
レビューを見る
長門さんが“ミステリックサイン”のラストで読んでる、“膚の下”(火星シリーズ3作目)の1作目に当たる本。
淡々と(その世界の)日常が綴られてて、どう話が展開していくのかなと思ってたら、中盤以降が速かった!
ラストまでわーっと集中して読んで、そうきたか!と思って終わりました。
人間には未来が見える人がいて、アンドロイドには過去が見えるひとがいるという設定がこの人らしい。
人間に明示的に未来を割り振る人だなぁと思います。神林さんて。
楽しかった!…というのは、ちょっと違うのかもしれないんですが。うーん、なんと言えばいいのか。
でも、お話としてはすごい、楽しかった!です。
一番印象に残ってるのは、本当になんでもないところなんですが、床に零れた牛乳をモップで拭いては絞っていたそのバケツに、底がなかった所の描写だったりします。
あと、主人公(でいいのか?)の、最後。空へ飛んでくまでの一連の流れ。
この人の、徒労感の書き方が凄い。素敵に酷い。笑。
投稿元:
レビューを見る
火星三部作の第一作。
破沙空洞都市に住む人間と、地上に住むアンチ(アンドロイド)のおはなし。
三部作読み終えたので時間があったらまた読み返したい。
投稿元:
レビューを見る
核戦争後の放射能汚染は、火星の人間たちを地下の空洞都市へ閉じ込め、アンドロイドに地上で自由を謳歌する権利を与えた。
半はおもに地下空洞都市、後半は火星地表での物語となっており、なぜ人類はアンドロイドをつくったのか、ほんとうにアンドロイドをつくったのは人類なのか、人類は何処からきたのか、失われた過去の歴史に眠る秘密とは何か、などの謎を解き明かしながら物語は一気に「エンズビル」と呼ばれるアンドロイドたちの神が降臨する佳境へとなだれ込んでいきます。火星3部作の一作目。地下都市の独特な文化や雰囲気がとても興味深かったクライマックスの怒涛の展開は興奮した。
投稿元:
レビューを見る
「帝王の殻」「膚の下」へ続く三部作の第1弾
SFは苦手なんだけどね
雪風のようなストイックな感じなのかしらん