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病身の孤独な読者さんのレビュー一覧

投稿者:病身の孤独な読者

338 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

仏教の「ゲンテン」

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最初に述べるべきことは、一時流行った「○○のことば」シリーズの書籍ではないととである。タイトルは「ブッダのことば」であるが、本来は「スッタニパータ」の翻訳書である。解説にもある通りに、「スッタニパータ」は仏教の書物の中で最古のものであり、ブッダの発言と真理と真意が不足なく頭に直接入ってくるような感じを受ける。最低でも大学一般教養くらいの知識があれば、本書の内容を理解するのに不足することはあまりない。しかし、全く仏教の知識のない方にも本書は読めるように、とてもわかりやすく訳されている。役者がいかに優れているのかを本書から伺うことができる。
 仏教であるが、本書は最古の仏教の書籍であり、ブッダの発言・言葉ができるだけ歪曲されずに伝えている。現在様々な宗派はあるが、本書の内容は仏教の中心でありエッセンスでもある。仏教に興味を抱く方には本書は最良の書籍となると思われる。

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紙の本

反知性主義を正確に知る最適な書籍

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「反知性主義」と聞くと、勉強や学問することに反対する思想という誤解を抱く人が多いが、反知性主義とは本来はキリスト教に端を発している。中世のキリスト教のような厳格で格式張って難しい聖書を難しく語る聖職者に対する姿勢として、反知性主義は生まれた。従来の中世キリスト教の典型的な方法だと、一部のインテリのみがキリスト教を理解することができない。そのために、民衆にもわかりやすくエンターテイメント性を取り入れようとしたのが反知性主義者の方法である。ある意味的を得た考え方であり、共感できる部分はある。しかし、果たして反知性主義者によって広まったキリスト教の解釈は本当に正しいのか?その辺も考えながら読むとより面白くなる。本書は、反知性主義を正確に知るための最適な書籍である。わかりやすくかつあっという間に読めてしまう。

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電子書籍

意識研究の最前線であり、現在の科学で最も有力な仮説

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人間の意識の謎に科学的に取り組む世界的に有名な神経科学者のトノーニらの研究をわかりやすく解説した書籍。トノーニらの研究は、Science誌などをはじめとした一級の学術ジャーナルにも掲載されているくらい現在の意識研究を引っ張っていると言っても過言ではない。人間の心(意識)の有無を情報学の知見を取り入れて客観的指標を作成しようとするトノーニらの研究を一冊で知ることができる名著だと思われる。科学に興味を持つ読者と心や意識について語る人にとっては、必須の書籍である。

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紙の本

科学哲学の革命的基礎

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

科学界では知らぬ者がいない本書。しかし、意外と読んでいる方は少ない。本書の重要な点は、「観察→仮説→実験」という一般的に流布するパラダイムを崩したことである。ポパーの言葉を借りれば「観察は理論ありき」なのである。そこから、有名な反証可能性の議論に入る。一度は読んでおきたい名著である。ただし、冗長な文章が多いので、飛ばし読みしても良いかもしれない。

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紙の本

紙の本群衆心理

2018/07/31 22:18

幅広い現代の群衆への戒告

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は決して現代の心理学の領域ではない。昔の書籍であるから仕方がないが、そのような印象を持って読むと差異が生じる。あくまでも「群衆心理の分析」程度で読んだ方がよい。
本書は群衆について優れた分析を行っている。最後の方はネタ切れ感があり、少し興味が薄れてしまうが、それを差し引いても群衆だけではなく、現代の人間論に通じる作品である。読む価値は十分にある。

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紙の本

現代カウンセリングの源流

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

心理学と言えば、フロイトやユングの印象が強いが、現在のカウンセリングの主流はロジャーズである。彼の手法の背景と具体的方法、そして重要な点が不足なく伝わってくる。評者は学生の頃に読んだ記憶があるが、本書の印象は今も残っている。

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紙の本

紙の本租税国家の危機

2018/06/28 19:36

租税起源の古典

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は戦争に直面した状況下で、租税国家が危機的状況であるが、それは危機と呼べるのかという問いから始まる。そして、租税がどのようにして発生したのかを歴史的に考察し、最後は一定の結論を出す。シュンペーターの租税概念は、税金関係を扱う書籍では必出である。イノベーションのイメージが強いシュンペーターによるっ租税論である。

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紙の本

紙の本種の起源 上

2018/05/29 17:13

ダーウィン理論の骨子と限界、そして批判に対する回答

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

進化論ほど誤解された科学理論はあるだろうか?世間では、進化論の誤謬に満ちている。そんな世間であるからこそ、正しくダーウィンの理論を知る必要がある。本書では、ヴィーグル号の話はなく、過去の生物学の知見を引用しながら、種の変異と自然淘汰というダーウィン理論の主軸となる基礎概念を考察している。ダーウィンの論理の展開の仕方は、科学論文を読んだことのある者なら気づくことであるが、非常に論理的であり、余計な考察や解釈が入っていない。世間で知られている観察事例からの演繹ではなく、純粋に過去文献からの引用と考察、そして独自の調査を踏まえて論理的に進められている。本書は世間では「あやしい」という印象がついているものの、本来本書は科学的な仮説の提示であり、本書の価値と貢献は計り知れないほどのものであると断定できる。
自然選択と変異という進化論の骨子に対して想定される反論をダーウィンが考察している。変異する中間形質の存在が確認できないことや交雑の問題、本能などの心的な行動の獲得についてなど現代でも批判されている点について科学的に誠実に回答と考察及び仮説の提示を行っている。もちろん、過去の動植物の研究と自身で行った研究を交えてての回答である。そして、地質学的な限界点にも言及し、進化理論の基盤上の不完全性を本人は認めている。そうではありながらも、説得力のある論証と批判に対する回答の仕方は、やはり進化論を完全に否定することの困難さを指摘している。ほとんどの批判事項に対して解消される考察と仮説を与えているが、もちろんいくつかの根拠不足による難点は残るとダーウィン自身が述べている。彼の科学に対する造詣の深さと誠実さが伺える箇所である。

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紙の本

ネーゲルの珠玉の論文集

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「What is it like to be a bat ?」の論文で有名なネーゲルの論文集である。決して、コウモリを扱った生物学の書籍ではない。本書にはこの有名論文はもちろんのこと、その他ネーゲル独自の哲学が展開されている。ネーゲルは、多方面にわたり考察を行っている。論文集には「死」から始まり、「正義」や「脳」の話まで実に多様である。それでいて、明確で読みやすく理解しやすい。まさに珠玉の論文集である。

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紙の本

紙の本哲学入門

2018/05/22 22:23

入門ではなく主著である

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は、ラッセルが書いた哲学の入門書では決してない。ラッセルの哲学の主軸をなす書籍である。前半の入りはいたって日常的である。しかし、後半まで行くと、「面識」を軸にした記述命題の話など、ラッセルの論理実証主義的な哲学の神髄が楽しめる。あえて、入門という言葉を使うのなら、「現代哲学への入門」というところだろう。

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紙の本

紙の本文学とは何か

2018/05/20 08:52

小さな書籍の中で大きな文学への貢献

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「文学とは何か」この課題は、文学では永遠の問いとして掲げられてきた。過去の偉人と呼ばれる人たちも常にこのことを考え、オリジナルの理論を提唱している。中には、この問いからテリー・イーグルトンのように文学批評論に至る書籍もある。様々なアプローチが行われる中、本書は真正面にこの問いの答えを仮説として提唱している。つまり、文学の定義を加藤氏が行っている。その定義は、暫定的でありながらも学問としての文学の大きな貢献であると評者は評価している。

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紙の本

紙の本歴史とは何か 改版

2018/05/19 16:04

歴史哲学の手軽な名著

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

歴史研究で有名なカーの歴史がどのように作られていくのかという講演を書籍化したものである。歴史は個人の勝手な解釈や絶対的に決まった資料の発見によってできたものではない。歴史も、一つの学問であり、それゆえ特定の資料から特定の個人が解釈した歴史が、学問的に認められるかどうかで歴というものが作り上げられていく。本書には記載されていないが、例えるなら、邪馬台国の○○説の話と似たようなことで、学術的に整合的な解釈が資料から得られ、それから九州説の方が正しいと議論されて批判をされて決められていく。しかし、その決まった歴史も暫定的なものあるいは仮説である。「歴史とは何か」という哲学的な問いを歴史の成立過程から切り込んだ名作である。

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紙の本

仕事論の新たな地平

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ブルシット・ジョブ」という言葉は、今や人口に膾炙した言葉となったが、その大元の書籍が本書である。エッセイ調の語り口でありながら、本質を突いていくグレーバーの姿勢は面白くもある。「ブルシット・ジョブ」は、「クソどうでもいい仕事」と訳されるが、これは仕事に従事する人が主観的に「この仕事は無意味」だと感じる仕事のことを指す。このブルシット・ジョブを皮切りに、現在の仕事や労働をめぐる問題点や仕事と精神状態などを考察する。人類学的方法論というよりも、事例から解き明かす論稿のような書籍である。面白く読むことができる。

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紙の本

バイアスと数字を扱うのが苦手な人間

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

行動経済学の言わずと知れた名作であるが、上巻では行動経済学で研究されている認知バイアスについての紹介が行われている。認知バイアスは様々なあるが、総じて言えるのが、人間は合理的に数字をそのまま処理するのが苦手だということである。著者らのそもそもの問いが、「人間は統計的・数学的に物事を考えられるか?」というものだった。この問いの答えとして、「否」と答えられるかもしれない。その実例がまじまじと研究を交えて説得力あるかたちで記述されている、認知バイアスという癖があり、数字を基に客観的に判断するのがあまり得意でない。これまでの合理的人間を想定する経済学へのアンチテーゼにもなる。

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紙の本

紙の本歴史入門

2021/01/05 07:39

中心・周辺理論と資本主義の位置

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ブローデル歴史学の重要図書の一つ。歴史の流れを、繁栄している都市である「中心」とその周辺であまり繁栄していない「周辺」とに分け、周辺地域から中心地域へと変化するダイナミックな過程として捉えている。また、資本主義の位置も、社会主義や封建時代より上に位置づけながら、批判的に資本主義を検討する論理も明快で読みやすい。ブローデル自身の歴史記述や捉え方の方法論まで記された本書から学ぶところは多い。

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