紙の本
「私」とは何なのか
2016/10/28 21:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベテランSF作家さんなのにファンキーな表紙で一目ぼれして買いました(笑)
各家庭に対空ミサイルが配備され、ほとんどの人々がネット上に自分の人工人格(ネットアバター)を持っている近未来の日本が舞台です。物語は、主人公の前に死んだ父のアバター(ネットファントム)が現れるところから始まり、ネットアバターの欠陥やネットファントムの正体に迫っていきます。
アバターとしての自己とオリジナルとしての自己の混濁した世界の中で、主人公は悩み、やけになり、それでも前に進んで一つの答えを見出します。
近未来に本当に起こりそうな脅威を描いたリアルなSFでありながら、エンターテイメント性抜群の作品でした。
紙の本
ついていけないSF
2016/11/07 13:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かめきん - この投稿者のレビュー一覧を見る
自身のSF読解力不足が一因かもしれないが、内容を理解して読み進めていくのに非常に手間取った作品だった。
仮想世界に居るアバターの自我と人間の意識が入れ替わって・・・という話はまだ理解できたのだが、表紙で主人公がぶっぱなしている携行対空ミサイルの方はイマイチ話に絡まず消化不足であった。
投稿元:
レビューを見る
携帯型対空ミサイル「桜電改」が各家庭に配備され、個人を複製したかのようなアバターが存在する世界。
「The SF」て感じの話だった。前半は新しい世界の設定が頭に入り込んでくる感覚。最後は数ページで一気に着地。
投稿元:
レビューを見る
今よりネットの環境がやや進化し、今と少し違う“現実社会”の長野県安曇平でおこる、ネットとリアルの小さな衝突。
この亡父のアバターは幽霊か、現実か。
そして〈ぼく〉はどうして〈ぼく〉たりえるのか。
意識とは。知能とは。〈リアル〉とは。
そんな神林SFの重要要素てんこもりの一冊です。
……しかしなんでこんな変則飛行から物語が着地できるのですか。やはりすごい書き手だ。
投稿元:
レビューを見る
なんだこれ!すごい!!「いま集合的無意識を、」のアンサー的なものなんだろうと考えてはいたけど、いきなりまず「イルカの森」(短篇集「言葉使い師」の中の一編。初出は1983年1月)のエピグラフ(人生とは記憶である/だれの言葉だったか/もう忘れてしまった)に触れる形で始まってひっくり返った。「そんなデビュー直後の作品まで巻き戻して何を書くつもりなんだ!!」って盛り上がって。そうなると読者なんて勝手なもので、これまで読んできた神林作品(記録?)の片鱗を見出そうとしちゃったりするのね。(未読のものもまだまだあるけど)でもそんなことは関係なく、すごくおもしろかった!!すごく好き。
基本的には「帝王の殻」最新版、という感触。もちろん「いま集合的~」を受けている部分はすごく大きいのはわかるんだけど…。ネットアバターはPABと秋沙ネット。親子間の自立と他者認識のための闘い。「帝王の殻」大好きで、現在進行形で親子三世代で他者の認識が曖昧で&過干渉と妄想で恨みループしている私には、本当に心強い自立の物語のうちのひとつになるだろう。何度も読もう。どこがおかしいのか、どこまでが自分なのか、考えるために。闘いだなぁ。そういう意図で書かれたものではないとしても、救いなのだ。
どうでもいいけど、オーデン改(制式名・桜電32型、携帯型対空ミサイル)を「絶対痩せるぞ」(発射安全装置解除の合言葉)の掛け声でぶっ放す係長(信州は安曇平市役所の電算課電子文書係の女子。主人公の後輩上司)、可愛すぎてキュン死した。どういうことなの!絶対痩せるぞ!そして酒の肴とカレーには信州名物ビタミンちくわ。覚えた。
【読後翌日追記】「あなたの息子じゃない」で鬱展開系かと思ったけど、「だれの、息子でもない」が結構アホでやられたな!と思った。(褒め言葉)意識パートとのギャップがすごいのがまた笑いを誘う!アンブロにアプロ突っ込んだみたいで。うーん、大好きだな!
投稿元:
レビューを見る
各家庭に携帯型対空ミサイルがあり、ネット空間に各人の人工人格=アバターがいるという未来世界。主人公の仕事は本人の死後もネット内を徘徊するアバターを消去することだが、ある時彼の前に、死んだ父親のアバターが現れた…
利用者がネット内で育てた本人の分身のようなアバターというのが面白い。どこまでがリアルなのかバーチャルなのか、読み進むうちに判然としなくなる酩酊感。むかしディックがアンドロイドでやろうとしていたようなことをアバターでやっている感じで、ネットが身近な今だからこそ説得力を持って迫ってくるストーリーである。
神林SFは久しぶりに読んだけどやっぱりいいわ。
投稿元:
レビューを見る
いつもの神林節
現代のようで、何かが違う不思議な世界で、内省的でコミ症害な主人公が、現実と妄想の区別がつかなくなっていく中で、くどくど独り言を続けていく物語
今回のユービックは野鼠?
投稿元:
レビューを見る
またもやYA的な表紙で驚き。
2話の、色々見えてくるところが、作者ぽくてわくわくします。そしてなんでかありえないはずの家族集合の場面に胸が締め付けられてしまう。
僕とKと親父のやりとりと、とあとやはり「フムン」が好き。
そのうち、また初期から読んでいきたいです。
投稿元:
レビューを見る
すげえ世界だな。といっても、よく分かったわけでないです。分かんないけどネットと現実、意識が混沌としている近未来で、読んでいる自分がなにを見させられているのかも疑わしい状況にぽんと放り込まれた、ということ。軽妙な語りでそのような荒波を、さざなみくらいに感じさせられながら読んだ。ものすごくせわしないときに、細切れに読んだのが惜しかったかも。一気に読んでどっぷり浸るべき本かも。しかし、面白いな。よくこういうことをおもいつくわー。
投稿元:
レビューを見る
話の展開が早く、頭をこんがらがせながら読んだ。頭の中を整理しながら、所々立ち止まりながらの読書だったのに、終始こんがらがっていた気がする。読み終えてぐったりでした。
ネット、アバター、人の意識、面白い組み合わせでしたが、私の頭では追いつけませんでした。。
投稿元:
レビューを見る
弟に借りた本。
難しかった。SFになるのかな?
未来の日本。長野県。
自分の人生を記録してきたアバターを持ってる。
このアバターが、具現化して独り歩きして??
具現化?
いや、脳内の出来事ってことなのか…
とにかくこの辺が想像しづらかった。
文章も回りくどい感じ。
特に前半は気になった。
アバターと本物の区分けがつきにくい。
後半はだんだん盛り上がってきたけど…うーん…
投稿元:
レビューを見る
本著について端的に書くと神林節のきいたエンタメです。
神林節とはなんぞなという話ですが、私にとっての神林節は『世界というものを自分という主観で語る実体二元論的な話』という認識です。本著もそんな話でしたが、かなり独特な異彩を放っています。
話の舞台はすべてのご家庭にオーデン改と呼ばれる携帯型対空ミサイルが配備されている近未来的な世界です。
その世界で、ネット上の故人のアバター(人工人格)を消して回る主人公の元に、故人である父のネットアバターが出現する事で物語は展開していくのですが、そこから先は予想不可能なエピソードが次々と続いていきます。
話が進むにつれて現実と仮想は混然一体となっていき、次第に自分が読んでいるのが現実の話なのか仮装の話なのか、理解出来ずに夢を見ているような錯覚すら覚えます。そして最終的には、そんな垣根に意味はないのだと言わんばかりの展開と結末が待ち受けているわけです。
オーデン改を文字通り吹っ飛ばしたような衝撃的な結末は、主人公の、ひいては読者の度肝を抜くことでしょう。
奇作・怪作という表現が一番ピッタリな話でした。
余談。
不思議な感覚ですが、話の流れや展開は理解出来ないことも多々ありましたが、その時々での状況の情景はとても簡単に脳裏に思い浮かべられました。そのことが余計に、夢を見ているような混乱を助長していたのかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
ネットの中のアバター自体がオリジナルな人格を持つ世界。人のアイデンティティーはどこにあるのか。
視点は面白かったものの、リアル世界とアバター世界の融合状態の描写が次第に観念的でわかりづらくなっていく。無駄にドタバタな活劇が多いのも混乱の一因。終盤には読者置いてけぼりで、会話形式で自論を展開するだけの文章に成り下がってしまった。
視点は面白い。ただ、小説としては面白くない。
投稿元:
レビューを見る
兄がすきな(すきだよね?)神林さんの近未来SF
ネットでアバターが乗っ取り死者のアバターが甦り
って話だった
難しかったけどまぁ面白かったかな
なんかマトリックス的なかんじだった(そうかな?笑)
表紙カッコイイ
投稿元:
レビューを見る
各家庭にミサイルが配備されているというトンデモ設定とか、したたかな親父に振り回される息子の構図とか、ネット上の人工人格「アバター」とオリジナルとが錯綜しまくってワチャワチャと思弁を繰り広げるところとか、好きな要素が多かった。
ミサイル発射でドカンと決着、のお約束感とかも好き。
ただ、コミカルな描写のわりに読んでいる最中はそれほど面白くは感じられなかった。
人生の記録をプログラムに起こしたとして、本当にそこに人格「らしき」ものは生まれるのか…?という疑問が気にかかって、素直に楽しめなかったところがあるかもしれない。
最終的にネット世界に様々な可能性を託し過ぎて収集つかなくなりそうなのに、動的な「記憶」で繋がり合う、生きた人間のネットワークの強さで締めるラストは、けっこう格好いい。