紙の本
考えさせられました
2021/10/27 20:05
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投稿者:ゆうママ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戸籍のない日本人がいることは、以前ニュースにもなり、びっくりしました。この本は、戸籍のない人のために活動している方が書いたもので、素晴らしいノンフィクションです。
紙の本
先進国と言えない日本
2016/03/10 15:12
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投稿者:黒猫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
DNA判定できるこの時代に、明治に作られた民法がそのまま脈々と使われ続けていて、女性は離婚したら、日本という国家権力より女性のみ六か月再婚禁止されている。そして「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」と民法772条の規定がある。こんな重要なことを教育に織り込んだり、周知しないからほぼ一般人は誰も知らないのは当たり前で、当事者になって初めて解る事実っておかしい。国民に周知できないのは、本書の中で書かれているように「離婚は悪」「あえてするなら甘んじて罰を受けるべし」という男尊女卑に満ちた悪意を思わずにおれないし、堂々と周知できないことは、暗く疚しく、公になれば非難されると何処かあるから、コソコソした悪意を現代までも脈継いでいくなら、もはや先進国とは言えないだろう。DVやその他の問題が何らかあって離婚または離婚できないままに女性は逃げるのだから、強姦されない限り前夫の子供などあり得ないのに、離婚後300日内に他の男性との子供を持った時、前夫の戸籍に入れられ、それを拒否すれば無戸籍の子供として一生存在しない子供として、法律で裁かれる。また前夫が離婚を拒否続ければ10年も20年も女性の人生は前夫に支配され、離婚できないまま他の男性と新たな人生を生きようとしても、自動的に戸籍は前夫の子となる。裁かれると、そうとしか言いようがない。判っているだけで一万人以上この日本にひっそりと生きていることは衝撃である。丁度3月8日に女性の再婚禁止が100日短縮に閣議決定なされたニュースを見たが、国連が指摘非難したように、そもそも男性は再婚OK・女性だけは再婚禁止令が外せないなんて法律があること自体がおかしく、小手先の解決策で巧妙に誤魔化されないことを願う。
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大変な人がいるのだ。
この同じ空のもとで起きている現実のこととは、とうてい思えない・・・。
この本で指摘されている保守派の人の思考はヒドいものだ。
こういう人たちが、なぜ主流派になりつつあるのだ?いまの日本の社会で。
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読書日数 15日
「無戸籍の子供」を自ら持つことになってしまった筆者が、その人たちとの関わりや相談を受けることによって、法律との壁との戦いを書き綴ったノンフィクション。「クローズアップ現代」にも取り上げられた「民法772条」の問題がテーマとなっている。
事例がいくつか取り上げられているのだが、とにかく内容が壮絶である。
「当たり前にあるもの」が無いという事実を突きつけられて、それを救う手立てになるはずである法律が、彼らを全く救うことのできていない現状が、自分の周りで起こっている。
筆者自身が「無戸籍の子供」を持つことになったことで、その辛さを知るからこそ、その人たちに寄り添い、一緒に戦うことができるんだとも思う。
自分には全く実感が湧かない。想像ができるんだといっても、どこまで理解してあげられるのかは自身が無い。
でも、自分も法律に身を置くものとして、こういった問題とも向き合っていけるような素養を身につけておきたいと思った。
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無戸籍で生きるということ—— 義務教育が受けられず、社会福祉を受けられず病院にも行けない、就職もできず結婚もできない、そして負の連鎖は彼らの子どもにも続いて行く。
かつて政治家として活動していた著者の井戸まさえさんも、民法772条(離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子と認定)により、自身の子どもが無戸籍になってしまうという経験をし、NPOを立ち上げ無戸籍者への支援を行っている。
著者が支援をした様々なケースが紹介されるが、前夫との子が現夫にレイプされていたり、実の母と旦那が浮気をしていたり、たった中学生の男児が実の姉を売り小遣いを得ていたり、無戸籍者の背景は正直どれも壮絶すぎて、フィクションのように思えてしまうほど。
無戸籍児として生まれてくる子には何も責任はなく、「離婚のペナルティ」で片付けられる問題では毛頭ない。しかし、これほど荒廃した世界があるにも関わらず、ついに民法772条は改正に至らなかったし、彼らの存在は社会問題として大きく扱われているとは言い難い。今話題になっている「保育園増やせ問題」と比べると、当事者の数が圧倒的に違うことと、無戸籍者は負い目を感じながら隠れるように暮らしており声をあげる人が少ないことが、法令改正に至っていない一つの要因。(もちろん無戸籍問題は772条だけに拠るものではないが。)
教育を受けていない彼らは風俗業やラブホテルの清掃などアンダーグラウンドで生きることを余儀なくされ、残念ながら犯罪率や自殺率も高いそうだ。
目を背けてはいけない問題として、多くの人に手を取ってほしい本。
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図書館にて新刊案内のコーナーから。
昨晩10時をまわった時間から、読み始めた。
途中で止めることができず、一気に読み終えてしまった。夜中の2時前だった。
無戸籍、夫婦別姓、特別養子縁組、LGBTに関わる《人権》の法改正を求めて動いていた著者、母として、議員として、支援者として・・・周囲にめぐっている「人間」の心をまざまざと身近に感じ、ヒシヒシと痛みを伴う本でした。
ドキュメンタリールポとはまた異なった視点で展開していく。
戦後の法改正に多大なる貢献を遺した【我妻榮】【家制度】【氏】【姓】のキーワードは大変興味深く、法曹の常識や価値観にも触れた思いだ。政治の仕組みが実はよくわからなくても、からまる人間の仕業に他人ごとではないと認識できることだろう。
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テーマは重い。
戸籍がないということは当たり前にやっていることすらできないし、スタート地点にも立てない。
それは親が払うべきペナルティと言われても、生まれてくる子どもに罪はない。
救うためには、まず多くの人に無戸籍の人の存在を知ってもらうこと。
そして彼らが生きていけるように支援をすることなんだと思う。
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日本の社会は、ずっと見て見ぬふりをしてきたんじゃないか?
無戸籍と一口に言ってもそこに至るまでには様々なケースがある。
「自分だけは落ちないと思っている穴に、誰もが落ちる可能性がある。」
それは、戸籍制度そのものが「不完全」であり、「起こるべくして起きている」問題ではないのか?自身の子どもが無戸籍になったことをきっかけに、無戸籍の問題、サポートに関わることになった著者の井戸まさえさん。
強烈な当事者意識と政治家ならではの行動力が具体的でパワフル。
つながりはじめた無戸籍者たち。社会問題に無関心ではいられないと思った。
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無戸籍って、いったいどうして発生するのか?どんな問題があるのか? 正直、私には無知・無関心でした。
実例の方の人生を鑑みて、戸籍のない人間というのは、存在しないに近い状態で、学校に通えない、まともな仕事につけない、など問題が山積みであることを知りました。もちろん、民法第772条(摘出の推定)により、戸籍を得られないまま、生きている方が多いという現実。日本人として生きているはずなのに、何も恩恵も受けられない存在。一日も早く、根本問題を解消して欲しいと思いました。弱者の中の弱者になってしまう姿を想像するに、本当に大変な問題が闇に隠されていたことを腹立たしく感じ、もし、無戸籍の方が知り合いにいれば、個人的に支援の道をサポートしてあげたいという気持ちになりました。
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無国籍者が生まれる5つの理由。①離婚後300日問題、②貧困などの理由による意図的な登録の忌避、③戸籍制度に反対し出生届を拒むケース、④家出・失踪・記憶喪失、⑤皇族。問題なのは①、②のケース。著者自身が①に該当し辛酸を嘗めている。とりわけ②のケースは極めて過酷な人生を歩むことになる。いつまでたっても最低の賃金、最低の条件。他人と関わる機会がなく社会性を養うことができないため対人技能拙劣に陥る。文字が書けない、少し難しい話になると理解ができない。裁判手続きはお手上げとなる。命を守るため嘘をつかなければならない。そうしなければ子供を育てられない環境。何とか生き延びても、その先にあるのは国や社会からの拒絶。拒絶され続けてきたのが無国籍者。小説のようにハッピーエンドにならないのが現実の壁。春遠し。
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子どもに因果がめぐるのは確かにおかしい。けれども、「出産費用が払えず、出生証明がもらえなかったため無国籍児を作ったのに次の子どもを産む」ような親はどうにかならないかとは素直に思う。親がいい加減なことをしている被害に遭っている子どもとの例と、300日規定などに引っかかっているが親はそれなりにきちんとやっている子どもの例は峻別すべきかも知れない。
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冒頭で、映画「誰も知らない」について触れられていた。戸籍も無く、育児放棄された4人の子供たちを実話ベースで映画化したものだ。それと同じような子供や、すでに成人した人が日本には存在し続けている。その人たちが戸籍を持とうとしても無理解な法の壁にぶつかる。予防接種も受けられない。学習する機会も奪われる。親が子供を無戸籍にしてしまったばかりに子供たちは働く場所すら選べずに成長するのだ。子供が自ら「無戸籍」を望んだのではない。だが、安易に戸籍を与えるようにしても今度はそれを悪用する人が出てしまうのが心配だ。 映画「誰も知らない」の子供たちは、いずれ、施設に保護され戸籍を与えられるのだろうと勝手に思っていたがそんなに気楽なものではないのを初めて知った。
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若干センチメンタル過ぎる筆致が気にはなるけど、
実際に起きていて、もっとなんとか出来そうなのに
なかなか改善できない壁。
最後の申し立て却下の理由なんて
バカなんかな〜って思う。
地道な活動もさることながら、
やっぱりこういうことはメディアで
まめに取り上げたりするのが大事なんだな。
本来ならそれもどうかなんだけど。
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新聞の書評欄で見かけておもしろそうだなと思って図書館で借りてみた。
率直に、おもしろかった。無戸籍の状態にならざるを得なかった人々の境遇がいろいろな困難を背景にしていて、その内容には必ずしも好意的に思えないことは予想とそれほど違わなかったけれど、結果的に不利益を受けている当の子供には何の落ち度もない私と同じ普通の人で、そこから戸籍を取得するまでは本当に複雑で難解で時に腹立たしい困難を乗り越えなくてなならないことに読んでいてうんざりし、同情もした。
一方で、元政治家である著者がなんとも精力的に活動していることに驚いた。政治家なんて一日ずっと座って書類にハンコついたり人と歓談したりゆるいもんなんだろうと思ってたけど、こんなにも熱心に人に会ったり国会図書館で勉強したり頻繁に移動したりしてるなんて、こりゃ大変だ…と見方が変わった。
登場する無国籍者が何人もいて、それぞれの背景が複雑なのに話が入れ替わったり前後したりして読みにくかったの点は残念。
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第5章「政治の場で起きたこと」が良かった.賛成の議員が多い中で,ふと逆風が吹いて法案がダメになる過程が,面白く記載されている.結婚という制度のあるべき姿を明治時代のセンスで考えている人たちは,ある程度恵まれた環境に育っていることから,無戸籍の背景を理解できないのだろう.これは「夫婦別氏制度」と行政が称していることにも根底は繋がっているのだろう.