こんなところにいたの？ じっくり探すと見えてくる動物たちのカモフラージュ

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投稿者：銀の皿　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

実際に風景の中で生きものが擬態しているところの写真集。葉っぱにそっくりとか花にそっくりとか、擬態する生きものは「それだけ」を見てもすごいなと思うところがたくさんあるが、風景の中に置いてみるとさらに驚く。

提示の仕方の工夫も良い。まず一行のキャプションだけがついた写真があり、ページをめくると説明とともに「ここですよ」と場所が示される。「わからない」ままに正解をみてもう一度見直すと確かにそこにいる、という驚きは新鮮だ。ただし一度わかってしまうとそのあと見返してもこの驚きは戻ってこない、というのは一寸かなしい。記憶力があるということも時々ものごとをつまらなくしてしまうものだ、と妙なところに感心してしまう。一時期流行した「アハ体験」という言葉を思い出した。気が付くことの新鮮な感覚を味わえる。

写真についている一行のキャプションにも何度も楽しませてもらった。「いつか誰かに踏まれる気がする」なんて言うのにはわからないからこそ「確かに」と笑ってしまう。

何度見てもわからなくなってしまったのはやぶの中のトラ。
一番好きだったのはキリン。
キリンやトラは良く知っているつもりだけれど、動物園では隠れる背景がないので「こういうのが実際なんだ」と改めて「自然の中での意味」を勉強した気持ちである。

何度見ても楽しい。何度見ても生き物の凄さに驚く。ただ、何度と言っても少し記憶が薄れたころに見直す必要があるところだけが難点だ。