古い本だが、始まったキャリアパスポートの在り方についても参考になる。
2022/03/27 09:46
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投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャリア教育の危うさについて、貫徹して書かれています。
「キャリア」という言葉について理解し、学校、地域として自分たちの言葉で再定義することの必要性を感じました。もちろん、大本の定義を完全に理解できればそれにこしたことはありませんが、様々な○○教育が毎年のように降ってくる現場では、自分たちなりに再定義することが、取り組みへの理解と実践の深まりを生んでくれるだろうと思います。
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≪目次≫
プロローグ それぞれの卒業後
第1章 キャリア教育って、なに?
第2章 ウソで固められたキャリア教育?
エピローグ 転換期を生きるということ
≪内容≫
これがプリマーブックでいいのでしょか?という内容。一応、プリマーブックは高校生や大学生向きでしょ?これは中学、高校の進路指導担当や中学2、3年、高校1、2年の担任向きかもしれない。うちではぜひ校長に読ませようと思います。
ああ、内容は今高校の「キャリア教育」と銘打ってやっている授業は、どうなの?という話。「職場体験」や「キャリアプランニング」って、今のやり方じゃ生徒の身につかないよね、って言ってます。
また、そう言うのは高度成長期(この頃は”キャリア教育”すらなかったけど)にやるべきもので、時代の転換期には、もっと”生きる知恵”っていうか、端的に言っちゃうと「転職」等することを前提に考えないと、と…。
じゃあ、何すれば?って話ですが、結局は「キャリア教育」(たとえばウチでは〝産業社会と人間”ですが)の単独では身につかない、教科横断的な、5教科でもそれ以外(たとえば家庭科など)でも「キャリア教育」を意識した取り組みを入れようね、って言ってます。
わかってるけどね…ってしか、今は答えられません(汗)
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仕事の現場では、当たり前に気がついているキャリア開発への話。
キャリアデザイン=どんな会社、職業につくか
で、学生の思考が狭くなっている、と。
実社会でいかにその時点の状況に合わせながら積み上げて行く必要性の示唆。
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よく分かるけど、キャリア教育に関わりがない人に、実感を持って、理解できるんだろか。
以下要約
キャリア教育
=自己理解と職業理解で見えてくる軸をつかむこと。
=学校教育の『機能』学校における教育活動が子どもと若者の将来担うことになる、『役割』の遂行能力の育成に資するもの。
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的を得てる本かと思われる。教育書に対して、偏った批判を展開してるんじゃないかと、世の中にある教育論者の本を懐疑的に見てしまう。。
こう見ると、自己理解を促す機会、職業を理解する機会、体験する機会をつくり、ジョブマッチングにつなげる、今の発達、精神障がい者の就労支援の仕事はキャリア教育。
個人への支援と自己理解に医療、福祉的な視点が必要になるのが、違うところ。
(つづく)
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今はやり?のキャリア教育について書かれた一冊。著者は中高大学で行われているキャリア教育が正社員になる事に傾倒しすぎていて、実際のキャリア教育の在り方、人生という長いスパンで見た時の仕事と人との在り方とずれているのではないかと警鐘を鳴らしている。
結論としては、正規雇用、正社員ばかりが取り上げられるが、実際には非正規雇用となる人が現れることは確実だとした上で、
①非正規を含め働き方の多様な形態とそれぞれの利点欠点を探ること。
②次のステップへの見通しを立てること。
③職業訓練や求人支援などについての情報提供。
④労働法など労働者にとって武器となるような情報
などの教育、支援が必要なのではないかとしている。
最後にこれからも社会の中で生きていくために必要な事として、生涯学習してゆくこと、そして就活の終わりがキャリアの終わりではないと考えておく事をあげている。
読みやすかったが、あまりハッとするところが少なかったのが残念。末尾に参考文献が纏められているのは良かったです。
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「将来の目標が立てられない、目標実現のための実行力が不足する若年者」を鍛え直し、テコ入れすること、そのことによって若年雇用問題の深刻化に対処することが、キャリア教育のねらいである(p.38)。
社会的な存在である人は、人生の履歴において、様々な「役割」を引き受けながら生きていく。それは、役割を引き受けるという仕方で社会に参加し、貢献していくことでもある。そして、そうした「役割」を担うことができるように成長すること、そのことを、自分の「生き方」として、自分の中に統合していけることが「キャリア発達」である。その「キャリア発達」のための力量形成に資するのが、「キャリア教育」なのである(p.53)。
キャリア教育には、①「自己理解」系、②「職業理解」系、③「キャリアプラン」系という3つのジャンルがあるそうだ(p.57)。
キャリア教育には,生徒に「夢」や「やりたいこと」を見つめさせ,目標に向けた努力を促すという役割と,生徒の希望と「現実」との“折り合い”をつけさせる役割という,二重の役割がある。いわば,生徒の希望や向上心を“炊きつける(加熱する)”と,それを適切に“冷却して”「現実」に着地させる役割である(pp.83-84)。
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銀行型から料理教室型への学びの転換を軸に、キャリアデザインの必要性を説く好著。
さまざまなキャリアのるつぼであるPTAが果たすべき役割があるのを、全国大会に参加する前に教えられました。
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著者を知っているので必ずしもフェアなレビューになっていないかもしれませんが、まあそういう前提でお読みください。
そういう前提付きですが、私は、本書は総体的には、子どもたち・若者たちの将来への備えになるキャリア教育とは何か、を考える上で多くの示唆をもたらしてくれる本だと思いました。もちろん書かれているすべての指摘に賛成ではありませんが。
キャリア教育の「ウソ」だなんてセンセーショナルなタイトルで、キャリア教育に熱心に取り組んでおられる関係者からすれば面白くないかもしれませんが、まあそれは編集サイドの思惑もあるでしょうし、著者自身も「からくり」や「(キャリア教育又は子ども・若者が陥りやすい)わな」といった意味で使っておられるようですし。ただしそこには、「現在行われているキャリア教育には、現実(社会の状況、若者の状況、労働の状況)を十分見つめ切れていない(ものもある)」という、たぶん正しい指摘が含まれているのだと思いました。
本書を読んで(僭越ながら)自分と問題意識が共通している点が大きく分けて2つありました。
一つは、著者が指摘している「やりたいこと探し」の重視についてです。私は「夢や希望を持てば皆頑張るようになる」的な教育観にあまり共感できないで来ました。成功した方はそういうことをおっしゃるのですが。自分はそうだった、それで頑張れた、子どもたちはみなそうに違いない、と。。。もちろん、子どもたちのためを思ってその学習意欲を高めるための考えの一つでしょうから、そういう風に考える方の気持ちは尊重したいですが。しかし夢や希望なんてそんなに簡単に持てるのだろうか?という気がします。またそんな簡単に持つべきものだろうか、とも思います。
夢や希望を持ってストレートに仕事に結びつく人はほとんどいないわけで、別に「夢みたいなこと言ってないで現実を見ろ」というドラマでありがちな大人のセリフとして言っているわけではなく、夢が直接職業になるというのは特定の専門家の場合(スポーツ選手、芸術家、法曹関係、医療関係、教師・保育士、パン屋・花屋など分かりやすい小売業)であって、ほとんどの人は組織に属して給料をもらいジェネラリストとして生きていく。そこに大きな齟齬があるのに、それが隠れているのはリアリティがないというか、ちょっと嘘くさいというか。。。
大学生の就職について「就職」と「就社」という言葉で指摘されている問題もありますが、その当否はともかく(どっちがいい悪いという問題でないように思いますが)、我が国ではまだまだ「就社」が圧倒的に多いわけですし、独立したプロになる人はまだまだ少ないです。
著者も述べておられますが、職業選択に限らず人生というのは、自分の思いと社会の中での自分の位置(社会から求められる役割や自分の能力・特性が役に立つ場所など)とのせめぎ合いなのだと思います。それは単に希望と現実(能力)の折り合いというさみしいだけのものではなく、自己と他者との関係性を理解するという意味もあります。また、私は自分の職業選択の時から、仕事というのは「やりたいこと」「やれること(又���得意なこと)」「やるべき(だと思った)こと」の狭間での迷いもあり、そういう意味での選択もあると思います。十年ほど前に中学生にそういう授業をさせてもらったこともあります。全部が重なれば最高に幸せかもしれませんが、なかなかそうはならないでしょう。
もう一つは、キャリア(≒人生)教育と言っていながら、職業や就労だけに焦点が当たっている(「ライフキャリア上のさまざまなイベントや転機に対応できるための準備も必要」)という問題意識です。この点についてはこれまでもたびたび書いたことがありますので、簡単にしておきますが、特に人生上で、就職の後に続く、結婚、妊娠・出産(女性だけでなくパートナーである男性にとっても大事)、子育て(乳幼児期の様々なイベントや、就学、進学など)、地域等仕事以外の役割(PTAなど学校支援、自治会、地域によっては消防団)、親の介護などなどについても、結論は出せなくても若い頃から考える機会を持つべきだと思っています。また、近年「働き方」そのものも社会的な話題に上ることが多いですが、「どのような働き方を選ぶのか(場所、形態、忙しさ、などなど)」、ライフスタイルについても考えていいはずです。目先の就職・進学に比重がある程度偏るのはしょうがないとは思いますが。
他にも著者は以下のような非常に有益な(と私は思う)指摘をしておられます。
・「標準(=新卒就職→そこに長く勤める)が崩れてしまった時代」なのに、標準な就職だけを念頭に置いた指導が行われている。
・キャリア教育と教科教育とを別物だととらえている
・自己理解、職業理解、プラン作成など、深く考えないでもやってしまえるワーク的学習の問題点
・正社員モデルや生涯賃金比較による指導の限界、、、などなど。
最後に。本書のプロローグは、児美川先生の教え子の卒業後について書かれているわけですが、先生の愛が詰まっている気がしました、ちょっと泣いてしまいました。キャリア教育の本で泣くのは私ぐらいでしょうか(笑)。
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キャリア教育についての異議を、著者が書き連ねた本。著者の魂がのってる感じがします。
キャリア教育で唱えている理論と実際の中身が伴っていないという指摘は多くの本でされているように思うのですが、本書はわかりやすくて、概要を大まかになぞれるように思いました。
自分も就職活動というものに興味があって、どのようなかたちであるべきなのか考えていきたいと思っているので、児美川さんの著書を含めて、もっとキャリア教育に関する本を読んでみたいと思う。
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日頃から大学生のキャリア教育の最前線で活躍されている著者の視点が随所に散りばめながら、現在のキャリア教育の問題点が鋭く指摘されている。企業人にもとても参考になる書籍である。
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私はキャリアコンサルタントの資格を持っていますが、キャリア教育に関するもやもや感を本書は見事に暴いてくれています。
手取り足取り人生について教えることが必ずしもキャリアを育む力にならないのは当然でしょう。
その意味で、職業を含めたこの人生を乗り切っていく上で、本書はあらゆる世代にある種の心構えを持たせることに成功していると思います。ソクラテスの産婆術的な方法で。
・やりたい仕事を見つけさせたとしても、その選択の根拠は底の浅いものになる可能性が強い
・「やりたいこと」「やれること」「やるべきこと」
・価値観や自分の軸を明確にする
・①学校卒業後も、生涯学び続けていく姿勢を身につける
②就職出来たら終わりではなく、自分の人生を引き受けていく「キャリアデザイン」のマインドをもって行動する
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若者たちに、自己分析をさせて適職を探す。
なりたい職業をもとに進路を決定する。
悪いことではないけれど、この方法が無二の正解であるような風潮を感じる。
そのことに違和感を感じていた。
この本を読み、その違和感の原因が見えてきた。
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終身雇用、正社員になれば安心という壁が壊れて久しい中、まだその幻想を半ば前提としている今のキャリア教育に対する批判、そして筆者からの提言が示されている。
人生は就職したら上がりではなく、その先が大変である。非正規雇用、ブラック企業など理不尽な現実に対する防備、不確定な未来を進む羅針盤と武器。それをどのようにして自分のものにするかこそがキャリア教育に必要なのだという筆者の主張には強く共感する。
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本書は,法政大学キャリアデザイン学部教授の児美川氏の著書であり,若者を対象とした進路・職業選択のためのガイドブックである。「正社員モデル」信仰は捨てるべきとし,「非正規雇用」を生き抜くための学習内容・方法に関して記しており,参考になる。児美川氏の指導生の事例も大変示唆に富む。一読をお勧めしたい。
*推薦者 (教教)T.M.
*所蔵情報
http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00329564&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB
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キャリア教育を実践する者として必読の本。
今般のキャリア教育が抱える課題と、今後の方策をわかりやすく示唆している。
勤務している学校に照らし合わせると、その改善点が見えてくる。
特に、リアルな社会を見せ、その対応策を考えさせるという点は、
決定的に欠けている。
なりたくなくても非正規雇用になるという現実は、
学校現場では扱いにくい。
学校現場ってのは、前年踏襲が基本であるからして、
なかなかドラスティックな改革は難しいのであるが、
着実にその歩みを進めていく必要があるだろう。