紙の本
桜の樹の下に埋まっている想像と幻想
2002/03/18 18:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：ＴＡＩＲＡ - この投稿者のレビュー一覧を見る
有名なのは、表題にもなっている「檸檬」だが、個人的には「桜の樹の下には」が一番気に入っている。
美しさと醜さは、表裏一体。醜いものがあるからこそ、美しいものが引き立ち、より美しく感じる。美しいものの中にも醜いものがある。こんな考えを桜の美しさと、その下に埋まっている屍体に転換してしまうあたり流石としか言いようがない。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている」。幻想的でグロテスクな想像がこの作品の原点であり、それは他の梶井作品にも言えることかもしれない。梶井の想像からすべてが生まれ、そしてそれは、作品という枠の中でのみ偽の真実となっていく。梶井の想像という真実と、作品という嘘。曖昧だからこそ美しく幻想的で、私たちは惹きつけられる。
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溢れんばかりの緊張感。画、というよりもむしろその場の匂いや温度まで感じてしまいそうになる臨場感。これほど胸が躍る作品はないでしょう。
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いまだに京都の丸善には檸檬が置かれることがあるらしい、ということを昔好きだった人に聞いて、さらに好きになった本。（不純とかいうなコラ）病弱なものだからこそ感じられる情景があるのだと、なんとなく勇気付けられた記憶があります。梶井基次郎全集持ってるぐらい彼の作品が好です。
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梶井は表題作である「檸檬」が高校の現国の教科書に載っていたのが最初。京都の丸善には未だに檸檬が置かれる日があるというのは本当だろうか。
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センター試験の問題としてでてから、大のお気に入り。･…センターだっけか？どこででたっけ(爆)
この才能をもっと読みたかった。
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彼自身が結核を患っていたからこそ書けた、皮肉なものです。前向きに考えれば、彼にしか書けないものを残していったと言えるのだけど。叙情も叙景も繊細。
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表題の「檸檬」は有名すぎるほど有名ですが、私は「桜の樹の下には」の印象が強烈です。いつも桜の下にたつとざわざわした気分になって、作品の中の一節が頭の中をぐるぐるし始めます。なんというか、引力のある作品です。
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かの有名な日本文学作品なだけあってすばらしい、です。もう読んでるだけで言葉が自分に染み込んで、記されてる感情が自分に移ります!! ちょっと暗い話なので幸せな時に読むべき。
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やはりいつまでも忘れられない作品。小さい頃、自分は難解な本を読んでいると背伸びして読んで、内容を忘れつつあるが、最後檸檬を置いていく場面が鮮烈に頭の中に（自分で架空映像化しただけだが）忘れられず、近々読み返さなければいけないと思っている。
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凄く詩的な内容が全面的に出ていました。あんまりにも詩的なんで、現代文のテストには向いてないです！(笑)
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短編なので、読むのが極端に遅い僕でもちょっとの時間で読めます。ちょっと暗めなのが、僕としては逆に、影のなかに差し込んでくる少しばかりの光がありがたく強調される気がするというか・・・うん。
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教科書にも載ってたけど、色彩がとても美しい本。梶井基次郎の文は神経質だけど、情景がありありと浮かんでくる。
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一体私はあの檸檬が好きだ。
本書に登場する京都の丸善は2006年に閉店。最後に檸檬を置いてくればよかった・・といまだに思う。
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読んでいて涙が出るほど、きれいで瑞々しい文章。それは、ただの言葉の選び方、使い方なんかのテクニックによるものではないです。作者の切実な「生への憧れ」が理由じゃないかな。 ◆そう思うから、私はこの文庫に収録の短編「交尾」が一番スキです。 ◆カジカの声に引かれた「私」は静かに沢へ下りていきます。カジカは注意深くて、人の気配を感じただけでも逃げてしまうんだとか。「私」が茂みの陰からそっと覗く中、カジカの雄が鳴いて雌に求愛しながら水の上を渡っていきます。で、交尾するわけね。 ◆生が謳歌されている場面を、隠れて見守る「私」。少年期から結核に苦しんで31歳で亡くなった基次郎を象徴しているような気がします。でも、それをひねくれて叩きつけるように表現するんじゃなくて、詩のような文章にしたところも良いです。読んでいると、健康でいられてありがたいな、て気持ちになったりします。
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脳みそに陰翳が「ぬちゃっ」とまとわりついてくるような後読感。「冬の蠅」のハエの描写が、個人的にはツボだった。あの、真冬の空気感。
