紙の本
いつまでも心に残る優しさと美しさ
2004/10/22 23:58
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投稿者:チョビ - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬戸内海が舞台の先生と生徒たちの物語といったら、まず思い出すのは壷井栄「二十四の瞳」だ。もともと伊集院静という作家を敬遠していて(もてる男は苦手なのだ)、それゆえ「パクリなのでは」と意地の悪い気持ちで読み始めたのだが、自分の浅薄さを反省させられた一冊だった。瀬戸内海を訪れたのは一度きりだが、そのとき目に焼き付いた風景の美しさを鮮やかによみがえらせるような描写力には感じ入った。そしてそれ以上に終始温かい視線で描かれる教師と子どもたちの人間模様が胸を打つ。無防備なまでの優しさにあふれた作品だったと思う。物語の運びは淡々としていて、結末などもかなりあっけない。いくらでも“お涙ちょうだい”的な展開にもっていけたであろう話を、あえて抑えた筆致で描いたところに逆に作者の思い入れの深さを感じた。
大沢在昌氏も解説で描いておられるが、機関車先生と呼ばれる吉岡誠吾の設定はある意味反則である。ありえないほど純粋な人物造形だ。でも、と思う。私たちが小説に真に求めているのはそういうものではないのだろうか。現実にはなかなか見つけられないような優しさや美しさが、せめて小説の中には存在していてほしい。
余談だが、講談社文庫のあとがきは大沢ファンにとっても必読。あの大沢在昌が児童文学者になりたいと思っていたなんて! かわいいじゃないか。大沢さんも伊集院さん同様、いかにももてるタイプという感じであまり好みではなかったのだが、ちょっと見直しました。
紙の本
自然と人
2002/07/21 17:17
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投稿者:みっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬戸内の小島、葉名島を舞台に、口を聞けない大きな先生「機関車先生」こと吉岡誠吾とその生徒たちが生き生きと成長していく物語。
その7人の生徒と機関車先生は離島ならではの事件がありながらもしだいにこころ通わせていく。とにかくあったかい物語であり、自然と人を大きなテーマにした感動的な作品だと思う。
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2006/4/6 tue
映画にもなりましたが、私は見ていません。
本を勧めてくれた知人が、貸してくださいました。
これも泣ける1冊です。
メチャメチャ素敵で、
読んでるこっちまでほんわか温かい気分になりました。
機関車先生、カッコよすぎですっ!!!
機関車先生に初恋をするヨウは可愛かった♡
いい味なのがるい婆。すごく素敵なお婆ちゃんです。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島の子どもたちにだって、
いろんなドラマがあるんだなぁ…
涙アリ、笑いアリで、私も水見色小学校の児童の気分でした。
(この小学校名も素敵すぎですっ)
読み始めて間もなく、
舞台となっている葉名島にすごく惹かれました。
で、ググったら…架空の島だそうです。残念。
本当にある島なら、ぜひ行ってみたかった。
というか、移住しても全然OK!!な感じだったのに…
やっぱり、こういうスローライフに憧れます☆
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急ぎ足でどんどん話しが進んでいくので、「えっ、このシーンもう終わり?」って感じで、置いて行かれてしまう。私としてはもうちょっとゆっくりと、噛みしめて読みたいなぁと思った。定評のある自然の描画はさすが。
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シチュエーション勝ちと,解説にあったが,確かにそうだろう.瀬戸内の風景が目にしみる文章でした.上質のファンタジー.
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瀬戸内海の離島の小学校に大きな身体の先生がやってきた。そして先生は病気のせいで口をきくことが出来ない先生だった。大きな体で力持ち+口きかん=機関車先生と呼ばれるようになったいきさつがほほえましい。
島の中にとても暖かい空気が流れていて全編ほのぼの。その中にも先生と子供たちとの暖かい交流や、先生がこの島に来ることになった切っ掛けとか色々なエピソードが詰まっていて、最後にはもうハンカチ無しでは…(T.T)。人のいる所では読まない方が…、でも人には絶対薦めて欲しい心あたたまる1冊です。
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非常にピュアな小説。
映画化もされているようだが、まだ見ていない。
しかし、小説の文章から瀬戸内海の美しい風景が目に浮かぶようだった・・。
人口があまり多くない島の生活っていうものを想像すると多少あこがれる。
しかし、やはりそれなりに閉鎖的であり、よそ者を受け付けないということもあるだろう。
瀬戸内海の離島の小学校に赴任した先生:吉岡誠吾は病気が原因で口をきけなかった。
彼は、体が大きくて機関車のようだと子供たちに言われ「機関車先生」というアダ名をつけられる。
この学校の子供たちは7人。
誠吾は口がきけなくても、その優しさ・強さで子供たちを引き付け、心の交流を深めていく。
島の人々は誠吾のことを最初は理解できないが、だんだんと子供たちと誠吾のふれあいに感銘し、やがて受け入れていく。
しかし季節が変わり、機関車先生と子供たちは別れを迎えることになる・・。
なんとまあ、子供たちが純粋に描かれているものか!
都会の子供だったらこうはいかないだろうなあ・・。
我が家の子供たちがもう少し大きくなったら、読ませてみたい小説だ。
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瀬戸内の小島・葉名島の、児童わずか七人の小さな小学校にやって来た、大きな先生。病気が原因で口をきけなくなったこの先生では…、という声もあがる。数々の事件が起こるなかで、子供たちは逆に心の交流を深め、自然の大切さや人間の優しさについて学んでいく。柴田錬三郎賞に輝いた、涙と感動の名作。
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泣く・・・これはほんとに泣く・・・本でここまで泣いたのは初めてだったかもしれない・・・ハンカチ必須です。映画化されたらしいのですがまだみれてないです
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例え声がなくとも、人と人はきっと心で繋がっている。機関車先生は、勉強よりももっと大切なことを教えてくれた、素敵な先生。
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-誠吾がいるだけで、周囲のものが光かがやき出す-
小島に住む7人に児童のもとに、口のきけない「機関車先生(誠吾)」がやってきた。「自然」の美しさと猛威、「人間」の醜さや優しさなど、主に子供たちの目線で語られる。眠るまえに読んだら、心静かに、優しい気持ちで眠れそう。子供たちにもおススメ。
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舞台となっているひとつひとつの光景が、これほどまでに頭の中に投影されてくるとは。物語に自分の身体が溶け込むような感覚です。
全ての情景が美しく、どこか懐かしく、流れる時間が現代よりももう少しゆっくりだったあの頃…
映画化、アニメ化もされています。
大人から子どもまで素直に感動できる、とても良い本でした。
サクッと読めるので、仕事のストレスが残って眠れない夜などにはオススメです。優しい気持ちになれますよ。
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教育小説の代表的なもの。
瀬戸内の葉名島が舞台となっている。
口をきけない先生が臨時教師としてやってきて、島の人たちが不安に思った。
しかし、島の人への公開の授業で、イブンと木の話をしたり、子供とのかかわったりする中で島民は機関車先生を認めるようになる。
しかし、まだ網元は認めてはいなかった。
部下を使って機関車先生を懲らしめようとしたが・・・。
とにかくいい話です!
最後の解説にも書いてありますが、教育小説にはマイナスの要素も必要だと思います。その困難をどう克服していくか、その方法を教えることも教員の重要な仕事であると考えます。
こんな先生になれたら、と思います。
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口をきくことができない先生と、島の子供たちとのお話。
先生には、「教える技術」だけでなく「生徒から愛される人柄」が必要なんだと、改めて思いました。
昔からの伝統や、閉じられた空間ゆえの人間関係など、島で暮らすことの大変な部分も描かれていて、考えさせられました。
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温かい気分になるお話。
人に対する優しさが溢れている。
でもこの本の中で一番驚いたのは、大沢在昌さんの解説。
大沢さん児童文学書きたかったの!?
妄想が広がります(笑)