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夕凪の街 桜の国 みんなのレビュー
- こうの 史代 (著)
- 税込価格:880円(8pt)
- 出版社:双葉社
- 発売日:2004/10/01
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紙の本
この国で生きるということ
2006/06/08 10:32
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はな - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和20年、原爆が落とされたときから、広島は「ヒロシマ」となり、世界でただひとつの街になりました。その街には、それでも普通に生きる人々がいて、彼らは悲劇を日常とともに背負って、生きて、苦しみ、死んでいきます。
「夕凪の街」は原爆投下から十年後の広島が舞台。被爆した女性がひっそりと命を終えるまでが描かれています。わずか35ページの物語。読み終わった時、しばらくの間、ページを閉じることができませんでした。
「桜の国」はその数十年後。もう誰もが原爆のことなど忘れたかのような世界で、それでも残る傷をこれも静かに描いています。
ヒロシマには二度行ったことがあります。二度とも、平和祈念式典に参加しました。
小学生のときと、高校生のとき。やけつくような暑さをただ覚えています。
その後、私は長いこと、そういったものから眼を背けて生きてきました。この物語は、そういった「ごく平均的な日本人」を責めるではなく、むしろ優しい視線を向け、向き合うための勇気をくれるような気がします。
当たり前なのかもしれません。作者のこうの氏自身、広島出身でありながら、被爆者が身近にいることもなく、深く知ろうともせず、逃げるように生きてきた。その不自然さと後ろめたさを両手に抱えながら、精一杯の思いで筆をとったそうですから。
献辞につぎのようにあります。
広島のある日本のあるこの世界を愛するすべての人へ
広島のある日本のあるこの世界を愛するものの一人として、向かい合わねばならないものがあります。それは義務や責任ですらなく、宿命のようなものですらあるかもしれないと思うのです。
紙の本
みんな「分かってる」とは思うのだけど、違う見方として
2004/10/31 23:38
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:方向音痴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は生まれてから20年、ずっと広島に住んでいる。
学生時代は毎年のように「平和学習」を受けてきた。
その中で被爆者の方々の生々しい話を聞いたり、
ドキュメンタリー番組、映画を見る機会は他県の人より多いのではないかと思う。
しかし、原爆の悲惨さは分かっても、自分のことのように消化することはいまだにできていない。
この本は、そんな「人間が人間らしく生きることが当たり前」になった、
今の日本で生きている人に、
「現実だと思えないような悲惨なこと」を
一人の登場人物を通して「幸せを失う辛さ」として消化させているように感じた。
いい本だと思う。
ただ、ひっかかりもある。
この本だけを読んで「コレが原爆の悲惨さなんだ」という風に思うべきではない。
それを確認するため、検索エンジンで「被爆者の絵」を探して、見てもらいたい。
原爆はその絵でも、とても語りつくせない酷いもののはずだ。
また、原爆に限らず、世界中で理不尽に惨殺されている人はたくさんいる。
それを知る意味で【チェチェン やめられない戦争】は、現実を知るための良書の一つだ。
受け入れやすいものが『真実』とは限らない。
人が死ぬのことがニュースになる私たちの感性では受け入れられない、
目を背けたくなるような酷いものこそが、
『本当』を意味しているように私は思う。
なにかを読んくらいで満足して終われる問題ではないはずだ。
それを忘れないようにしたい。
紙の本
広島だからこそ
2008/05/07 01:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る
薄い本なのですぐ読めてしまうかと思いきや、なかなか時間が掛かりました。
内容が「知らない」戦争についてだったり被爆の跡だったりするせいです。
自分1人が生き残ったことへの物凄い罪悪感。悪い訳ではない筈なのに、周囲に責められ、自分自身で責め…
爽やかなタッチながら重くて苦しい。
そして意義深い。