投稿元:
レビューを見る
富豪一族:知られざる相続人シリーズ一巻目。
フォーチュン家の知られざる相続人たちが織りなす愛の物語。
母親の告白から自分が億万長者フォーチュン家の人間だったと知った医師ケインとケインと同じ病院で看護師として働いているアリソンが主人公。
ケインを慰めるうちに関係を持ってしまったアリソンにケインが結婚を申し込み、という筋。億万長者フォーチュン家が絡んでこなければ普通の病院物に似た展開。
違うのはそこに絡むケインの父ロイドの脅迫と、アリソンの父との関係。卑劣なロイドによってケインの母ミランダにはケインが生まれる前に捨てた双子がいることが分かり脅迫される。それによりケインはもともと懐いていたロイドへの嫌悪をさらに募らせることに。一方アリソンは愛情を示してくれていた父に最後まで愛情を返せなかったことを重荷に思っていて、それ故にロイドとケインの間に入ろうとする。
このシリーズに一貫しているのは家族の絆らしい。ヒーローもヒロインも家族との関係に問題を抱えている人物が多い。もっとも産まれてすぐに捨てられたり、碌に家にも帰らないろくでなしが父親だったりしたら、そうなるのも致し方ないかも。それでそれを癒し修復する役どころが相方。
「ドクターを慕って」では癒し方であるヒロインも、家を出て行った父と関係を修復できなかった過去を持ち後悔している。それだからロイドへも歩み寄るようにケインに言うのだろうけど、実際、脅迫を働くような人間に情けをかけるべきかは疑問なところ。ほっといてもいいんじゃないかと。でも“許し”が愛という世界観ではそういうものなのかも。