紙の本
世の中、そう簡単に「ズバッ」とは斬り込めない
2008/11/09 21:32
10人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
「はじめに」には「日本社会の様々な局面で屋台骨が次第に、加速度的に崩れている兆候が見られる」と書かれている。「失われた10年」の間に日本企業は財務構造を改善し、世界同時好況もあって景気拡大を続けてきた。しかしそれを「更に加速し維持していくエネルギーと技術や知識の新たな展開能力は次第に低下してきている」、というようにこのままでは日本社会の崩壊の危機が近いことを著者は訴えている。
その根本原因が日本人の思考の変化にあると著者は考えているようだ。そうした退行現象が起きている日本をタイトルにあるように「幼児化」と表現している。対策が手遅れにならないように、と警鐘を鳴らし、本当の意味での大改革に取り組むべき時期に来ていると説いている。
幼児化する日本の現状を示す例が家族の変質や教育の混乱、企業倫理の崩壊、マスメディアの堕落など各章の見出しに現われている。果たしてそれら全てが幼児化していることを示すのかは分からない。
今の日本では「子供じみたイジメや嫉妬」が蔓延している。例えばマスコミが官僚や企業など「反論できない人たちを感情論で徹底的に叩く」のもイジメの構造だと指摘している。大人が子供と同じ事をやっている。これは幼児化している証拠だろう。子供は大人の真似をしているだけなのかも知れない。マスコミが世論を操作し、政治をも動かす「大衆民主主義社会」になってしまった。日本人が幼児化すればマスコミに容易に操られるようになる。
本書のキーワードは「二分割思考法」。物事を白か黒か、良いか悪いかのどちらかで見るような短絡的な考え方で、それを象徴するのが最近のテレビであり、分かりやすさを重視するあまり、結論を単純化しがちだと分析する。本来、複眼で見ていろいろな角度からの見方を提供するのがメディアの役割だったはずなのにである。著者の専門ではないが付章では「深く考えず白か黒かを決めていると思考が停止する、脳の機能も衰えてしまう」と二分割思考法の弊害を脳科学の面から解説している。世の中はそんな簡単には白黒判断できないんだよ、グレーなことばかりなんだよ、と言っている。
第2章の「国や公共機関、大企業など色々なものに依存する精神構造を持った大人が増えている」という指摘や、いわゆるモンスター・ペアレントと言われる「勘違いした親」が増えてきたことも日本社会が狂ってきていることを示している。大改革に取り組むべき時期だというが、国民がそれはお上がやること、といった依存心の強い甘えた考え方をもっていては改革もままならないだろう。社会を変える前にまず国民一人一人が自分の頭で考え、自分を変えていく必要がありそうだ。
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「味方以外は全部敵!」「善悪二言論」などの思考に現われているような「二分割思考法」と、わかりやすいもののみを求める「反知性主義」の蔓延が日本社会の幼児化を招き、ひいては国力の減退をもたらすというのが著者の主張。具体的に家族制度の変質や教育の混乱、企業倫理の崩壊、マスメディアの堕落などなどを挙げて日本社会の「今」を悲観的に描いている。
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教育・家庭・マスコミ・企業倫理・地方など、現代の日本社会の問題点を列挙。経済論評の時の榊原さんらしく鋭く切り込んでいく論調を期待したが、表面的でそうでもなかった。
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満点主義、二分思考をともったときが最も心の健康に悪い。こういう人はちょっとしたミスをしたときに大きな挫折感を味わうことになる。「日本の次世代リーダー養成塾」イギリス人はよく、「教育の非常に大きなポイントは、孤独ということをちゃんと教えることだ」といいます。松岡正剛 情報の歴史を読む
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現在の日本が抱えている様々な問題を具体的に取り上げて、そも打開策をこうしたらどうだろう?と提案している本
特に若者に蔓延する問題と、その原因となる特にメディアの腐敗というか低レベルかを憂いでいる。この辺りについては凄く同意できた。
特にメディアが何でも単純な善悪で物事を紹介し「ズバッと」バカでもわかる勧善懲悪スタイルを取ることが、大きな問題であると指摘している。
確かに最近のテレビを中心としたメディアの質の悪さというかレベルの低さはげんなりする一方であるが、まぁそれを望むスポンサーと視聴者がいるんだからメディアだけを責めるのもどうかなぁとかは思った。
あと「儲けりゃなんでもOK!」の拝金主義を激しく批判しているがこれも同意。ただ、若年層を中心に昔と比べれば給与は下がり、今後も上がらず、それどころか就職もロクに出来ない現状で「金儲けだけが全てじゃない」という意見は激しく説得力を失っている気もした。
ただ全体を通してフラットな目で世の中を見て、考えていこうという姿勢はかなり共感を持てたし、各在りたいとも思えた。
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二分割思想を懸念する一冊。
子供の世界は大人の鏡である。
まったく、そのとおり。
なんて偉そうに言っている自分もどうだか?
と考える。
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かなり前に既読だったか、レビューを書いてみる。
2007年出版時は、小泉政権で分かりやすさと熱狂が混在した時代だったと思う。その中で、子ども、家族、教育、企業、マスメディア等々いろいろなものが壊れつつあり、二分思考の問題点を説いている。
発行から5年も経ったが、基本的な考えは変わらないと思う。拝金、反知性主義が横行する中で、正しいモノの考え方、見極める力が必要だと思う。
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日本社会の様々な局面で屋台骨が崩れている兆候が見られる。改革という名の破壊や、こどもじみたいじめはもうやめて、改革に取り組むべき。
様々な問題点の指摘。変わるべきはわかるけど、根は深そう。
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http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/25cf8b953e1a7990037b877f1e108442/
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序文では同意できる部分が多かったが いざ蓋を開けてみると、自慢と偏見で構成された内容の薄いものだった。
本書では二分割思考を否定している。 それ自体に異論はないが、著者の断言的な著し方はその二分割思考なのではないのかを言いたくなる。
著者はマスコミと小泉元総理が嫌いで欧米・中国・インドがお好きらしい。そこからくる偏見的表現が多い。
もちろん本書全体では同調できる内容が少ない。
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購読理由は出版された2007年では「反知性主義」をどのようにとらえていたのかを知るため。一般書では比較的早くこの言葉を使ったのだろうが使い方が・・・
中身はいわゆる“知識人“による啓蒙書だが、専門の経済以外は他人の良意見の受け売りで、各意見はそれぞれ良いのだがそれらを都合よく組み合わせた結果が出版後10数年経った現在の社会であり、そういう点で表面をなぞっただけの“提言“などまさしく幼児化した日本社会を代表するオヤジ人種による“理想論“であるといえる。
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学び
❶解答は必ずしもない
❷日本を愛するために日本史を学ぶ
❸幼少期の暗記
①すべての事柄を“白・黒”つけることはできない
白・黒つけるとわかりやすいが、自分の頭で考えなくなる
一面の情報だけでなく、左右・前後の情報を得て
自分なりの解答をつくり出すことが必要
②外国人に日本のいいところ、歴史を話すことができるだろうか
自分の住んでいる国を誇らしく思うためにも、日本史を学ぶことは必須
『隣の芝生は青い』と同じように、他国が魅力的に感じる原因は、日本の歴史について理解していないからかな。と感じます
③暗記は脳の活性化に役立つ
ユダヤ人やインド人は、小さい頃から旧約聖書やリグ・ヴェーダなど宗教の経典を暗記させられる
私も気に入った本か、言葉を今のうちに見つけて子どもと暗記したいと思います