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言わずとしれた前期クラークSFの集大成の新訳。登場人物のカタカナ表記に若干の差異があるのと、1章の頭の部分がハヤカワ版とは少し異なる展開になっている(冷戦構造下での宇宙開発競争が背景にあった部分が全面改稿されてる)。序文で「この本を書いていたころは、超能力などのオカルト(この話で重要なキーとなってる)に希望を感じていた」と告白。クラークの後期作品が徹底的に科学的であることにこだわってるだけにオドロキですよ。とても50年も前の作品とは思えないほど、今読みかえしても面白い作品ではあるものの、ハヤカワ版の福島訳がよい出来だけに、ハヤカワ版に慣れ親しんだ人があえてこちらを読みかえす必要はあんまり無いかも。この作品を読み返すよいきっかけになったことは感謝しています。
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1989年に著者自身が改稿した第一部の日本語訳が載っているのは、この光文社古典慎訳文庫だけであるらしい。
とはいえ、話の流れは大きくは変わらない。
話自体は相変わらず面白いのですが、いかんせん訳が好みじゃない……。
どちらかと言えば直訳的。日本語として上手くはない。
なので、★4つ。
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あまりにも有名な古典SFのひとつ。
1957年の作品ですが、とにかくすごいです。
なぜ、20歳頃に読まなかったのか悔やまれます。
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普段SFを読まない身なので、初っ端から「うわーSFだ」と感動してしまったくらい、SFらしいSF。
だと思ったら、大間違いでした。笑
というか、私は何をもってSFというものを定義していたのかわからなくなってしまった。こんなに壮大なのか、SF。これは一つの大河ドラマであるし、帯にもあるように、哲学小説でもある。続きが気になるという点では、ミステリー色もある。未来の描き方が、非現実的だという一言で片付けることのできない、不気味なリアルさをもっていて、なんとも深い小説だ。
人類の最後の一人になるジャンの視点が一番わくわくした。それは、私が人間として至極当たり前の好奇心を持ち合わせていることを顕しているのかな。
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最終章の展開には、正直、違和感を覚えてしまった。たしかに哲学的な世界観もあり、それなりに読者をひきつけるストーリー展開なのだが、終わり近くにおぼえる、この違和感は何だろうか。生命の変化とはどういうことか、ということの描かれ方が、なんだか中途半端に感じられたのが正直なところ。本書が古典SF最高峰と言われるゆえんは、ちょっとわからない。SFの定義が「科学的想像」に重きを置かれているとするなら、SFの草分け的、古典作品として納得するべきなのだろうか。
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こんなに面白い話だったのか……!と驚愕。SF侮れないよSF
(夏休み突入・図書館計画インターバル)
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オーバーロードと呼ばれる異星人に支配され平和に暮らすようになった人類が、彼らの思惑を超えて新たな道へと進み出すまでを描いた物語。最後の展開は、そりゃ無いだろう!なんて思わされましたが、訳も読みやすくて楽しく読めました。でもクラークは後期の地味な作品の方が好みです。
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地球に生まれてよかったー!的なポジティブな感想を私は持ちましたよ。
高度な技術とか未知の能力とかに人間は憧れるものだけど、それを持ってるオーヴァーロードたちは逆にまだ進化の余地のある人類を羨ましく思っている。
オーヴァーロードたちは人類の産婆に過ぎないのであって、自ら子を産むことは出来ない・・・。そこら辺はちょっと切なくなりさえした。
いろいろ問題のある地球だけど、いやなことも悲しいことも経験できるってことそれ自体が貴重な体験だって思える。
いずれオーヴァーマインドに吸収されるようなことがあっても、それが進化なのかどうかもわからないけど、やはり今を生きるしかないですね。
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久しぶりに読んだSF小説。
とっても面白かったです。自分、SF好きなんだなーと今更気づきました。
突然、世界の主要都市の上空に現れた巨大な宇宙船。
顔を見せない、絶対的な力を持つ支配者「オーヴァーロード」。
その支配により、地上には飢餓も戦争もない平和が訪れる。
しかし、彼らは人間の宇宙進出を決して許さない。
彼らの正体は一体?
彼らの本当の目的とは?
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これだけ昔の作品が!
みたいな常套句はどうでもいい。
しかし面白い。新訳シリーズは初めて読んだが、他のも気になるところ。
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三島由紀夫が不気味な本と評した物語
背筋がぞーっと凍りました。
絶望的な気分になります
それにしても作者の科学知識と想像力に驚かされます
訳すのもすごく大変だっただろうなぁ。
これが古典とは信じられない。
というか未だにこれを凌駕するSFが生まれてないってことかしら。
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▼なかなか面白かった。本気のSFってこういうのなんだーと思った。古典なのに古臭くなかったし、初心者にも読みやすい。寧ろ、初心者の時点でこれを読める幸福を感謝すべきかもしれない。翻訳は、あのリンカーン・ライムシリーズを訳した方なんだね。納得の仕事ぶり。文章が端正なんだよね。
▼最初の作家本人の演説に「ちょっとちょっとww」ってなった。まだ読んでないから言いたいことがわからない!ってなった。クラークおじさんおちゃめすぎ、と理解した。
▼さっき読み終わった『ハーモニー』の印象が強すぎてなんにも思い出せないんだけど(笑)、うーん、孤独を感じさせる、物悲しい話だな。第一章が強く印象に残っています。カレランと地球代表の友情の話。「そして、初めて彼の友人になった地球人の墓の前で足を休めてもらいたいと」。切ないね。
▼大学生に読ませたい本ナンバーワンに輝いたん……だっけ?(うろおぼえ)しかし、どうしてこれだったのだろう。正直、想像以上に堪能したけれども、「人類の存在価値に対する根源的な問い」というものまで、ちょっと考えが至らなかった。チャンネル合わなかったかな?
▼はたと思って星座調べたら、やっぱりクラーク先生、射手座かよ……! そりゃ、クジラに入って宇宙行こうとか、帰ってきたらすごい時間経ってるけど何とかなるだろうとか、急に演説をぶつ癖にぜんぜん嫌味がないとか……そういうところが射手座だろうけど……!(08/4/9 読了)
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むちゃくちゃ良く纏まってる!
今や使い古された異星人もののストーリーだけども、この作品が生き残っているのは、ひとえにまとまりと筆致の素晴らしさなんだと思う。
特に風景描写(時にそれが風景ではなかったりするけど)が秀逸すぎるので皆さんこぞりて読みましょう。
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最初に旧訳版に触れたときは、その日本語の古さから非常に読みづらく、途中で投げ出していましたが、この新訳版で改めて本書に触れてみて、その物語の奥深さに非常に驚きを受けました。
物語は21世紀の初頭、まさに今現在の地球の主要都市の上空に巨大な宇宙船が出現することから始まる。
オーバーロードと呼ばれる宇宙人達はその驚異的なテクノロジーを武器に、これまでの地球人の生活・政治・文化を一変させ、戦争や貧困・飢餓などで滅亡の淵にあった世界を理想郷のように変えていく。
大多数の人々はこの行為を歓迎し、楽園での生活を謳歌し、これまで力を注げなかった労働以外の分野(教育や趣味など)に情熱を注いでいく。しかしその一方で、その真の目的を全く明かそうとしないオーバーロードに対して疑問や不安を持つ人々も確実に存在し、少数派のそれらの人々は自分なりの方法で、彼らの「子供」と化した人類社会へのささやかな「抵抗」を始める。
そして彼らの支配が1世紀にも及ぼうとする頃、ある家族のもとに子供が生まれる。その子供は、オーバーロードが地球に来た真の目的をはらんだ子供だった。同時にそれは人類の大転換期の兆しでもあった。
この小説は、SFというよりは新しい「聖書」を作ろうとしたかのような内容だと感じます。
この広大な宇宙には想像を絶する存在があり、それはこの物語に出現する宇宙人オーバーロードも敬意を抱く存在であり、我々が言うところの「神」のような存在なのだと思います。
そしてその「神」が人類に介入することにより、これまで地球上で何度も何度も当たり前のように続いてきた進化という変貌が人間の上に現れたとき、世界はどのようになってしまうのか・・・。
非常に大胆で荒唐無稽で奇想天外な描き方ではありますが、この作者の見せる未来は決して非現実的ではなく、遥か未来の、仮に人類が存続したとしての、これからの世界のひとつの方向性を指し示している傑作だと思います。
オーバーロードが人類に対して行った最後の演説がその「方向性」や秘められた「子供の未来への可能性」の全てを語りつくしています。このようなSF小説が60年も前に書かれたとは正直信じられない内容です。今読んでも十分に新しいし、非常に刺激的で衝撃的です。
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なんていうか、そう、これはあれだ、
脱力感 だ。
作中、最終的に地球人類がたどりつくだろうところがわかったところでも、そこにあるのはまだ期待と高揚感だった。
しかし終わってみてこれはどうだ!
まさしく世界が終ったかのような脱力感しか、もはやここには残っていない。
この作品が発表されてからかなりの年月が経っている。
この作品以上の高揚感を与えてくれる作品も、この作品以上に絶望的な結末を迎える作品も、世界には山ほど生み出されている。
けれどもこれ以上に静かでごく自然な喪失感を残す作品を、今の私は知らない。
しばらくこの本を読み返すことはないだろう。
けれどもしばらく、数ヶ月か数年か、充分な年月を経たのちには、ふと(しかし無性に気になって)読み返してしまうことがあるかもしれない。