投稿元:
レビューを見る
期待が高かっただけにもう一つ惜しいというのが正直な感想。
登場人物の背景や能力の説明にページが割かれすぎな感もあり、事件に本格的に足を踏み入れるのが少し遅い。
解決編は意外性こそ大きいのだが納得かと言われると微妙。たぶん、被害者は全くの勘違いで401号室に入った、つまり直接的には登場人物らとは結局なんの関係もなかったというところが引っかかってるんだと思う。偶然の連続により事件が思いもよらぬも方向へ…というのはいいんだけど何の繋がりもない偶然が割り込んでくるといまいち納得できないのかなあと思いました。
また、恋愛模様も自分好みではなかったのも不満の要因の一つ。『七回死んだ男』『人格転移の殺人』も事件を乗り越えて愛情が深まったりしてるんですよね。今作では奥さんとの仲が結局微妙なまま終わってるんじゃないのかっていうのが心残りです。
投稿元:
レビューを見る
主人公にひどく親近感がわいて仕方ない作品だった。前半だけでもう自分には忘れられない作品。これまで物語に触れてきて、親近感を覚えたキャラはいくつか存在するが、その中でもトップ3に入るレベル。
さらには、主人公の嗜好が自分と似ているだけでなく、真相まで自分の嗜好ど真ん中だった。
もう好きと言わざるをえない。
あと、チョーモンインシリーズの保科さんと、今作の主人公の姿が、まるで表裏の関係のようだった。
p332の夢の再生について語りながら、そうして行き着いた物語の最後の言葉は、ただ哀愁。
投稿元:
レビューを見る
うんうん、なかなか面白かった。
七回死んだ男も面白かったけど、この特殊能力を使ってしまうミステリ、結構好きです。
ただ、主人公には共感できないけど!
…ヴァ!が緊張感のある場面でもどうしても笑ってしまう。
危険がモーニング、危険がモーニング。
投稿元:
レビューを見る
超能力を題材とした本格ミステリ。
超能力なのに本格って言っていいのか知りませんが、そういう風に言われているし、実際読んでもそんな感じ。
コメディ的でもあり、非常に下らないけと、楽しく読める作品。
投稿元:
レビューを見る
推理かつミステリーかつドロドロ恋愛ものって感じでしたね。
あり得ない特質を「あるもの」として上手く組み込んでいたと思いますよ。開き直れてて。
変に力学的だの物理的なの説明された所で納得なんかできるもんでもないでしょうし。
そういう意味では不自然さや矛盾を感じさせず前提とできたのは場数と言うか手腕なんでしょうかね。
推理としては・・・どうなんだろう。自分はそこまで深く解いてやろうと考えなかったんだけど(それこそ主人公と同じ
「面倒臭い」という理由で(笑))、推理慣れしている人にとってはさほど難しい内容ではなさそうかな。
サッと通し読みするだけでも、玲奈ちゃんからは怪しいオーラがプンプン出まくってますし。
ただ推理・ミステリーとしての側面しかなければそれは致命的なのかもしれませんけど、
玲奈ちゃんを始め恋愛観に一癖も二癖もある人間が揃っているおかげで、人生の機微を知っていく成長物語としても
楽しめる部分があったのは娯楽小説として物凄く強みになっているような気がします。
主人公のコイケさんについてはあれですね、読み手がどこまで人生を諦めているかで評価がすごく分かれそう。
とんでもなくだらしないクズ人間にも、自分の弱さを開き直れる強さを持った人間にも、どちらにも受け取る事が可能だと思いますしね。
ただ、最後のシーンでエネルギー源の酒を調達する方法にちょっと疑問を感じたような。
自分が玲奈ちゃん程コイケさんを理解しきれていないだけなのかもしれませんが、
さすがにその段階でワープできなくなってしまったら多少暴力的な手法に頼ってでも酒を調達しそうなもんだけどなあ。
別にいいんだけど、ヘタレ主人公が謎明かしの際に急に凛々しくなる様式美って何なんだろう(笑)
投稿元:
レビューを見る
テレポーテーションを題材にしたドロドロ人間関係SFミステリ。
便利な超能力とは呼べないテレポーテーションの制約やら、怠け者になるためには誠意を見せて頑張るべきだという主人公の変な考えは面白かった。
登場人物の紹介や人間関係の描写で半分まで使ってるので盛り上がりが遅いのが気になったけど…
あと、ミステリあるあるだろうけど主人公と急に仲良くなる女性の怪しさったら…
投稿元:
レビューを見る
数ある作品の中でもかなり突飛な設定です。それなりに魅力的ですが、細かいところが制約され、話の展開も合わせてご都合主義的な印象でした。その影響もあって推理の的が絞り易くなり、予想通りの結果でした。
しかし、全体を通して手を抜かずにしっかりと描き込まれた作品なので、読む価値はあるかなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
特殊な体質を持つ夫が妻殺しの究極のアリバイトリックとして
物体Aと物体Bの位置を入れ替える"瞬間移動"を行使する。
が手違いで妻は殺せず、しかも自分と入れ替わった物体は見知らぬ男の死体。
瞬間移動した死体の謎を論理的に導き出す。
投稿元:
レビューを見る
う~ん。
「七回死んだ男」よりはだいぶ落ちるな。
SF的発想の中にミステリーが有るから、説明的文章が多くなるのはある程度止むを得ないけど、これは長すぎ!
ほぼ半分が主人公の特異体質であるテレポーテーションの説明に費やされているし、肝心の殺人事件も前設定が多すぎ。
結果、著者の持ち味であるとぼけたストーリー展開がチョットしかない。
これ以上長くしてもダレるだろうし難しいところ。
「欠陥のあるテレポーテーション」がこの話のキモなんだから、もう少し簡潔に説明出来なかったかな~。
残念!
投稿元:
レビューを見る
「瞬間移動死体」
怠け者に備わった力、テレポーテーション。
テレポーテーション能力。ミステリー、それも殺人事件物であるならば、とっておきの飛び道具だと思う。世界観がSFならオッケーだが、現代であるなら尚更のこと。しかし、そうはならないよう工夫されている。
本作の犯人は、主夫・中島和義であるはずだった和義は生粋の怠け者で人気女流作家の中島景子と結婚し、ヒモ同然に暮らしていた。そんな彼にも夢がある。それは小説家になると言うことだ。たとえ、印税目当てだとしても立派な夢だ。しかし、秘めやかな創作意欲をコケにする一言を妻が投げかけてきたとき、和義は彼女を殺す決意を固める。アリバイ工作は完璧だ。テレポーテーション能力を有する、俺ならば。
計画殺人者にテレポーテーション能力。鬼に金棒の組み合わせ。しかし、テレポーテーション能力にいくつかの欠陥(ルール)を設けることで、テレポーテーション能力は万能性に欠けるものへと成り下がる。
欠陥(ルール)は3つ。
1.テレポートにはアルコールを一定に摂取すること
2.テレポーテーションするのは自分の体だけだということ(服は脱げる)
3.テレポートする際、テレポート先にあるものが入れ替わりでテレポートされるということ
(バランスウエイトの法則)
意外と大したことの無いように見えるが、そんなことはない。特に、バランスウエイトの法則はよく練られていると思う。地味に嫌なのが、素っ裸になると言うこと。テレポートするのはあくまで一個体だけと言う制約がついている為、テレポートのどこにでも一瞬で移動出来ると言う魅力が半減している。3つの欠陥(ルール)を設けることで、テレポーテーション能力が飛び道具にならないようになっているのだ。
また、和義と景子の間にマゾとサドの関係性があるのもなんか捨てがたい点だ。サドにふりまわされながらもそれが嫌いじゃないマゾ。何、このドロドロ感w
1番の面白いのは和義がいつの間にか殺人者じゃなくなる所。テレポーテーション能力が殺人の為から犯人探しの為に使われ出す。読者もあれ?って思いながら読み続けると思う。
しかし、ちょっと長い。
投稿元:
レビューを見る
瞬間移動の条件設定が絶妙だった。条件を駆使して練られた犯罪計画と、それによって複雑な様相を見せるもうひとつの事件。愛憎入り乱れた人間関係も相まって混迷を極めるが、解決は至ってシンプルかつ鮮やか。
投稿元:
レビューを見る
主人公がだいぶ楽天的。
ミステリなのだが、テレポートというSFが絡む。読みやすい。最後は、大団円っちゃ大団円なのだが、ええのかしら、これで。
投稿元:
レビューを見る
西澤保彦さんのSFミステリー、テレポートとゆう特殊能力を持つ主人公が妻の殺害を試みる。
しかしテレポートとゆう最強の能力だが、このテレポートには欠点が沢山ある。
その欠点を絶妙にカバーしながら行われる殺人、しかし死んだのは妻ではなく全く知らない男、これはなんだ!?テレポートを使った事件解明に挑む。
投稿元:
レビューを見る
こんな本格ミステリなのに、ある能力をアリバイトリックに使うとは大胆不敵な西澤保彦氏。そしてそのある能力の欠陥が故に見事に着地点に。もうこれは一気読み必至の本格長編パズラーの傑作。
気弱でヒモで無気力なマゾヒストでありながら、不純な動機で密かに作家を目指す、長男なのに婿養子が主人公。この夫の視点で物語は進むのだが、どこで何が起こったのか最後まで分からない。殺人現場はロサンゼルスで自分は東京に。完璧すぎるアリバイ。そんな緻密で論理的なはずの計画にイレギュラーが。何故か見知らぬ白人男性の死体が現れる。
とても満足な作品でした。
投稿元:
レビューを見る
旧版では読んでいるはずなのですが余りにも昔でほとんど覚えていなかったので初読のように楽しめました。テレポーテーションできる主人公が完全犯罪を目論むのですが、このテレポーテーション、身一つ(服は脱げる)で飛ぶとかアルコールが要るとか…とにかく設定がものすごくしっかりとできていて笑えます。最後まで読めば事実はそうでしかありえないんですが途中はそんなことを考える余裕もなくアクシデントが起こるんじゃないかとハラハラ読み進めていました。こういう特殊設定や特徴あるキャラの変な愛憎劇の絡む著者の初期作品、結構好きです。