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ルター、ツヴィングリ、カルヴァンらの宗教改革者の100年前にチェコにヤン・フスが登場し、火あぶりの処刑に遭う。そしてさらにその100年ほど前にはイギリスにウィクリフが登場。著者はそこから宗教改革が始まっていると主張する。少なくともチェコにおいては、1次革命がフス、2次革命がルターたちだと言い、更にチェコ人が民族性を失わずに現在に続いているのは、フスを生み出したという誇りから来ていると言う!ルター以降のことはほとんど触れられておらず、ウィクリフの聖餐論、そしてフスの教会論。また当時のカトリック教会のローマ・アビニョン分裂と3教皇の鼎立があり、その堕落からフスは教皇を悪魔の手先だと考え、公同の目に見えない教会の存在を主張したという。確かにルターの思想を先取りしているわけであり、ウィクリフ派が精神運動にとどまった故に、社会に与えた影響が限定的であったのに比較してフスは政治革命を伴ううねりを起こしたという説明は、著者がチェコ好き!ということを別にしても理解できる。フスの挫折は時代が早すぎたのかと思わざるを得なかった。