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資産税ブログで有名な飯塚税理士による小規模宅地特例の解説書。小規模宅地等特例に関わらず横断的に資産税全般について理解できた。所長と新人事務所職員との掛け合いでわかりやすく解説されているが、あらゆる税制が錯綜していて相当難易度は高めだ。
P15
小規模宅地特例は、選択宅地として共同相続人間での同意が必要であるため、遺産分割協議だけでなく、選択宅地の決定に際しても、相続人・受遺者の合意を成立させなければなりません。さらに、「選択特例対象宅地等の明細書」及び「特例適用の同意書」の添付が求められており、この書類が不提出であったことをもって、特例が否認された事例もあります。
P85
小規模宅地等特例は、期限後申告又は修正申告においても適用することができます(措法69の4⑥かっこ書)。したがって、小規模宅地特例を適用した後の相続税の課税価格の合計額が、相続税の基礎控除額以下となるようであれば、相続税の申告は不要です。
P90
期限内申告では最も有利なA宅地を選択特例適用宅地等として申告していたケースで、税務調査において要件不備が判明した場合には、別なB宅地を選択特例適用宅地等として選択し、修正申告書を提出することができます。
P94
建物又は構築物の敷地の用に供されている宅地等に該当しない青色駐車場に小規模宅地特例は適用不可
P185
敷地が使用貸借では、事業用宅地にならないんだから、小規模宅地の特例自体が適用できないですね(措法69の4-23)。使用貸借、特に固定資産税程度の地代で、事業性を否認された判例は多いんですよ。
P186
推定相続人が使用収益していた土地の使用貸借については、特別受益だという民事判例もあるのね。~賃貸借であれば、相当の対価が被相続人の財産に反映されているけれど、使用貸借の場合は、土地価格の15%や30%(東京高裁平成9月6年26日判決 原文ママ)を特定者の特別受益として相続財産に持ち戻すのね。
P259
「家なき子特例」の3年以内に住んでいないという要件は、「相続税法の施行地内にあるその者又はその者の配偶者の所有する家屋」→「財務省令で定める者を除く」→日本国籍を有しない者とする。日本国籍だったら、国外にいても、とにかく戻れるところを確保してあげようという趣旨かしらね。しかーし、外国籍でも全世界課税されちゃって、でも、小規模宅地特例は使わせない、というと、踏んだり蹴ったりじゃないすか。