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哲学者であり宗教学者である著者が選んだ50カ所の聖地の紹介。
「究極」という言葉も「聖地」という言葉も、なかなか強い力があるため、読んでみました。
お地蔵様の前で天地人に捧げるバック転を行うという著者。
決してふざけているわけではないというのは、本の内容からも読み取れます。
なぜその場所が聖地とみなされるようになったのかが、環境学などの立場から語られます。
もともと、人々が修行する仏教と神々の聖地はベツモノだったのを、修行道場を比叡山や高野山という神々の聖地に建立したことで、神仏の聖地となり、そのように日本の聖地が拡大していったとのこと。
京都の聖地に、宗忠神社と黒住教が挙げられています。
新興宗教かと身構えましたが、その言葉ではくくれるものではなさそうです。岡山では非常にメジャーな宗教になっているそうです。
箱根の世界救世教も上がっていました。以前、前を通ったことがあり、和風の天使の像に首をかしげたものです。ここは逸品揃いのMOA美術館の経営母体だとそうです。
青森の松緑神道大和山の神垣の里と東津軽郡平内町の山吹の水、どちらも聞いたこともありませんでした。
防腐剤となる有機ゲルマニウムが多く含まれており、それは不死の水と言われるルルドの泉よりもはるかに高い値が出ているものだとか。
この情報社会の中で、観光地化していない聖地もまだまだあるのだとわかります。
巷に多く見られる、誰にでもわかりやすい聖地紹介本とはひと味違う読みごたえになっています。