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レビューというより自分の備忘録ですが…。
行き過ぎた文明の人間疎外の話、という印象。
No.6という街では人間は才能で選別される。能力に応じて特権を与えられる人がいるということは、能力や価値がないと判断された人は人並みの権利を認められないということ。その社会的な感覚の延長線上には、人狩りという大量殺戮が当たり前に発生する。
ナチスの障害者差別を扇動するポスターのことを思い出しながら読んでたら、ホロコースト関係の文章がやっぱり引用されてました。矯正施設での描写は、まさに、アウシュヴィッツの生存者の手記を思い出す内容でした。
でも、やっぱりこの作品の一番の魅力は、紫苑とネズミの関係性なんだろうなーと思います。友情というか、恋というか。主人公の二人が男女だったら、もっとありがちでつまらなかったかも知れない。あと、章の初めにマクベスとかの引用文が入ってるのも、非人間的なNo.6との対比で良かった。文学って最も人間的な営みなのかも知れない。
アニメも観たけど、原作のほうが良かったです。(でも、アニメのイヌカシは、容姿も声もすごく良くて、アニメ観た後読み返したらもっとイヌカシが魅力的に感じた)
後日譚のbeyondもそのうち読みたいです。