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紙の本
偶像化したエラスムス
2022/02/26 00:17
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エラスムスが中世と近世をつなぐ重要人物なのは言うまでもないが、著者がエラスムスを持ち上げ過ぎているような感じがしてくる。ヘブライ語、アラム語、ギリシャ語本文をラテン語ウルガタとを対照した聖書、コンプルトゥム・ポリグリットを編纂したスペインのヒメーネス枢機卿が同時に仕事をしているのだから、エラスムス「だけ」がギリシャ語本文の重要さを気がついたとは言えないはずだ。かといってエラスムスの母語にあたる「俗語」はオランダ語だから、彼がオランダ語で著述をしていても読者層は限られそうだ。1世紀半ほど後のスピノザはオランダ語やポルトガル語ではなく、ラテン語で著述しているから読者を獲得しているし。
彼がほとんど独学でギリシャ語を学んで、当時のギリシャ語の発音を批判して、例の「エラスムス式発言」を考案したが、それが本当に古典期のギリシャ語の発音を再現出来たのだろうか?当時のギリシャ語の発音で古代ギリシャの古典や聖書を読むのが「正しくない」のならば、古事記や万葉集を上代特殊仮名遣いに従わずに現代日本語で読むのも「正しくない」事になる。
エラスムスは中庸さを特徴とした平和主義者だから、カトリックからすれば「異端」に導いたとして、プロテスタントからすれば物足りない。スペインだったら異端審問にかけられて公開で火刑にされただろうし、カルヴァンのジュネーヴにいたら同じ目に遭ったかもしれない。
著者は現状に不満があるのか、やたらに「たわけた自己陶酔」だの「わけのわからぬことば」だのといった言葉を連呼しているが、目障りだ。それなら韓国の「軍事独裁政権」に対してはあれほど「批判」しまくっていたのに、北朝鮮のあり方や歴史を批判する事が「植民地支配と侵略戦争の責任を克服出来ない過ち」?だから、未だにたまにしか北朝鮮を批判する本を出さないし、韓国の「主思派」など批判すらしない岩波書店で本を出すのが間違っている。何しろ「春香伝」が北朝鮮で禁書だったので岩波文庫でも絶版だった時期があった事を触れた田中明の本を「韓国の民族意識と伝統」として岩波現代文庫で出した時に削除しているのだから。ここで触れている北朝鮮の映画は主演女優が公開銃殺された事で知られているという面もあるにしろ。こういう事をするから宮脇淳子のような「ハングル文学は存在していたが普及していなかった」などという「朝鮮史の真実」を書く者が出て来るのだ。
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