紙の本
時間というつかみどころがないもの。
2016/02/07 14:17
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投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間というのは、平等なはずなのに、これほど個人差があるものはありません。
また同じ時を刻んでいるのに、長く感じたり、短く感じたり、時間というのはままならない
ものです。
この物語では3人の登場人物がいます。
人類史始まりの頃の「時」を発見するドール。時の番人となり永遠の命を授かる。
ヴィクター・デラモンテは、80代半ばの大富豪。
フランスからの移民の孤児でありながら一代で富を築き上げました。
今、身体中を腫瘍で冒され、余命いくばくもない。「時間がもっと欲しい。永遠に生きたい」
サラ・レモンは、ハイスクールの学生。
学校生活を謳歌しているとはいえず、太めで、科学と数学が大好きで、友だちがいない。
それなのにボランティア活動で一緒になった学年のアイドル、イーサンという男の子から
親しくされて舞い上がってしまう、サラ。
しかし、イーサンはただのきまぐれ。真剣になってしまったサラは傷つき、もう生きて
いたくないと思う。
作者は、キリスト教の教えをベースにしているようで、寓話的であったり、ちょっと
説教的な所があります。
老人と少女の対比もいかにも、という感じだし。
しかし、時の番人、ドールは永遠の命を授かり、手塚治虫の『火の鳥 未来篇』の
マサトみたいになってしまうところがいいです。
そして、現代になって、真逆の「時間の望み」を持つ老人と少女を出会わせる。
サラというぱっとはしないけれど頭の良い、だけれども、かっこいい男の子には
愚かしくも夢中になり、自分の事が好きなんだ、と思い込むあたりがリアリティありました。
高校生くらいの時のもてる男の子って・・・・頭の中はからっぽでもいいわけですし、
イーサンはまさにそんな男の子ですから、あ~あ、しょうがないなぁ、と思いつつも
わからないではないです、その10代のぽぅとしてしまう気持。
ただそれを黙って「神の目」で見ているドールには不思議でしょうがない。
また、生きる事にしがみつく、大富豪の望みも理解しがたい。
そんなところが面白かったですね。
人が色々あるように、時間も色々あればいいけれど、時は皆に同じように刻まれる。
それをどう受け止め、生きていくか、そんな事を考えました。
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女の子、老人、時を作った男、の3視点から
時に対する感情が続きます。
誰しも、時が止まったら、進んだらと考えます。
3人の視点は、そんな感情を土台に
くるくると進んで行きます。
裏切られたり、後悔したり、悩んでみたり。
当然とぎれとぎれで話が進んで行くので
それで一体どうなったのか、と気になっていきます。
おかげでかなり読み進めていく事ができましたが
一人だけの視点だったら、多分途中で飽きているかと。
生きている間、多分接点を持たなかったであろう2人は
間の一人によって出会い、接点を持ち…。
悲しい事があっても苦しい事があっても
誰かと出会う事で良い事が起きますよ話?
面白かったかと言われると…どうでしょう?
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サラは私だ。
ずっと孤独で、時間なんかいらなかった。
早く大人になりたくて、現実を逃避して今が終わることばかり考えて過ごしてきた。
はたして、なぜだろう?
役割人間で、いい子ちゃんだったから?自分の人生を生きていなかったから?
大人になると時間が無くなると聞いていたし、そうなると思っていたけど、いくつになっても時間は無くならない。
ある意味幸せなことなのかもしれないが、子供の頃から、時間を無駄に浪費している感がある。
自分にすべきことはなんだろう。まだ見つからないだけ・・・そう思ってもうすっかりいい大人の年齢だ。
夢見る夢子ちゃんというわけでもない。自分がいまだわからないでいる。
しかし、ひとつだけ確信したことは、夫がいて、今が幸せだということ。だからそれでいいじゃないか。
長年の役割人間はしみついていて簡単には取れないけれど、自分のこれからの人生を大事にしたい。限りある今に感謝する。
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時間という概念が無い世界で時を数え始めたことが、天界の怒りに触れ、洞窟に閉じ込められたドール。彼には地上の人々の叫びが聞こえるようになる。現代に生きる恋する女の子、病をわずらい余命いくばくも無い老人。ある日、天界の老人が、ある使命を言い渡したことで、ドールは人々の暮らす地上へおりたつ。
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時間に関するファンタジーで読みやすく、すらすら読めます。所々深く考えさせられる言葉や、切なくなったり、登場人物3人の気持ちがすんなり伝わって来て良かったです。現代にすっぽり埋もれていると、ちょっと読むのに頭の切り替えが必要かな。それにしてもイーサン。facebookに載せるなんて最っ低!
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時間を支配しようと願う事の愚かさについて
時間と言う概念はどうやって生まれ
世界は時間に支配される様になったのか
時の番人ドールが生まれるまでの話
現代を生きる時間に悩む2人
自分の人生を伸ばそうとするヴィクター
自分の人生を終わらせようとするサラ
大切だと思っていたものよりも
大切なものがあると言うことに気づく物語
もっと時間があれば、昨日に戻れたら
時間は未来から過去へ絶え間なく流れていて
止めたり戻すことは出来ないと解っていながら
どうにかならない物かと思案する
時間に支配されない世界 想像がつかない
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ミッチ・アルボム最新作
時の番人
時間という仕組みを作りだした人という設定の大昔の人が
タイムワープして未来にやってきて、困難苦しめられて道を踏み外してしまうところを、何とか説得に成功して二人の人を救っていくお話。
表現したい事はなんとなくわかるけど、砂時計のところが
イメージできなくて理解に苦しむ。イラストなり挿絵が多めに入っていたら、もっとよかったのではないかと思う。
大昔の伝染病が何だったのか?
気になる。
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時間という概念に初めて見つけた人間の罪と罰。
時間が欲しい人たちを救うことで、彼はやっと自由を手にできるのか。
時間を大切にするとは、こういうことなんだよね、と納得できます。
読後感がとても気持ちいい。
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もっと時が欲しい(生きたい)ご老人がいればもう時はいらない(死にたい)少女もいたりします。人生は複雑ですね。