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[ 内容 ]
小津安二郎は今なお注目を集めている映画監督である。
その小津作品の中でも頂点と評されるのが紀子三部作、『晩春』『麦秋』『東京物語』だ。
各作品のフィナーレに近い場面で、ヒロインを演じた女優原節子は全身を震わせて泣き崩れる。
小津が、不滅の名を残し得たのは、この三本の映画のフィナーレで原に号泣させたからだといっても過言ではない。
「泣く」という行為を切り口に、幸福の限界、幸福の共同体の喪失、という小津映画の主題と思想的本質に迫る画期的評論。
[ 目次 ]
第1章 ほとんどの小津映画で女優たちは泣いた
第2章 小津映画固有の構造と主題
第3章 思想としての小津映画
第4章 原節子は映画のなかでいかに泣いたか
第5章 原節子をめぐる小津と黒澤明の壮絶な闘い
第6章 『晩春』(1)―原節子、初めての号泣
第7章 『晩春』(2)―娘は父親との性的結合を望んでいたか
第8章 『麦秋』―失われた幸福なる家族共同体
第9章 『東京物語』―失われた自然的時間共同体
第10章 喪服を着て涙も見せずスクリーンから消えていった原節子
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
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