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既視感。初めに裏表紙のあらすじを読んだだけでも「この設定はどこかで見たことがあるな」と思ってしまう。所謂「クローズドサークルで起こる事件と世界の真実(+美少女)」、みたいな感じ。
「セカイ系」な舞台設定で余りにも「テンプレ」な12人の少女と「どこかで見た」展開。
「意識・無意識がどうたら、イデアが云々…」等、哲学的なようで意味不明なワードと論考に、ポジティブなのかネガティブなのか分からないメッセージと、よく分かったような全く分からなかったような読後感。
全部ひっくるめて「どっかで見たような…」と思うようなパーツで構成されている、メタすぎる小説で、サブカルチャー、特にアニメ・ギャルゲ・エロゲをごった煮にしたような内容。
この手の作品のお約束で、最後は自己言及的になるんだけど、モヤモヤしたままで「なんとなくそれっぽい」ポエムで終わる。結局「オタクを続けて二次元的な世界に逃げ込み続けるか、オタクを辞めて現実を見て生きるか」的な議論なんだと思うけど、最終的にどっちだったのかは理解できないままだった。その感じもすらも「それっぽいなあ」と感じた。
面白いか面白く無いかで言えば、面白かった。
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冒頭から何も知らずに読み始めると暴力的なポルノ小説だった。読み進めていくうちにどこかしらの既視感が漂ってくる。それはだいぶ前にあっただろう諸々の要素を孕んでいて、最後の東浩紀氏の解説を読めばその感覚をある種言語化されているので納得はする。
そういう運動というか文化的なもの、ゼロ年代の初頭にあったそれらにまったくノータッチであった、熱中していなかったような僕はそこにいた彼らの中でも生き残った作家として続いていった人たちが何年も経った後に読み始めたからそのリアルタイムを知らない。だけどその既視感みたいなものは僕も受容していたものの変容であったとも言えるんだろう。
西島大介さんの『アトモスフィア』に近しいものをどこかで感じながらもラストの辺りを読んだ。墓標か、そうなのかもしれない。そこに刻まれたものに懐かしさを感じるのか意味も感じずにキモいで終わるのかは年齢や影響や趣向があるだろう。
これが星海社から出された事は何の違和感もないのは当然の事なのだろう、良くも悪くも。
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昔読みたくて、でも手に入れられなかった「左巻キ式ラストリゾート」がまさか星海社文庫から…!ありがとうございます。
自分にもっとゲームの知識あったらもっと面白かっただろうなー。
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海猫沢めろんが2004年に発表したデビュー作。ぴぃちぐみの"ぷに☆ふご~"という美少女ソフトからのスピンオフの小説。星海社文庫は、よくこれを再販する気になったなというのが正直な感想、しかも一般向け小説として。いわゆる「ゼロ年代」「セカイ系」という括りに、がっつりハマる作品です。今だと、ここで使われている内容や文体や構成など一般的になってしまった向きもあり、当時のようなセンセーショナルな衝撃は薄れていますが、それでも10年前にこれだけのものを完成させていたというのは驚きです。ラストが爽やかに終わるのが救い。
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目覚めた僕は記憶を無くし、12人の少女たちが暮らす見知らぬ学園にいた。僕の覚醒と時を同じくし、外部を喪失した学園では、トーチイーターと名乗る犯人による暴力的な事件が連鎖的に起こる。次々と餌食になる少女たち。犯人は誰なのか、この閉鎖された学園は何なのか──そして、僕はいったい誰なのか……。
伝説的奇書、ここに再誕!!! ゼロ年代の衝動の総てを詰め込んだ、異能・海猫沢めろんの伝説的デビュー作! 鬼ノ仁の新規描き下ろしフルカラーイラスト群を収録し、東浩紀による解説を附した、これが最終版にして完全版!?
これは、ゼロ年代の墓標だ。
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僕はゼロ年代が好きなんで読んでみたわけだが、これがゼロ年代の墓標とかいうのは、なんか違うような気がした。奇書でもない。これはただただ、死にいくゼロ年代サブカルチャーへのラブレターだった。ゼロ年代が好きな人間が書く小説だから、どうしてもその物語を語る手段としてゼロ年代っぽさは使われてしまうけれど、本質はそこではない。いろんな感情を沸き起こすほどのカルチャーだったからこそ、作者の愛の発現も様々だった。犯し、殺し、壊すのと同時に好きだと叫ぶ。
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※読まないほうがいいレビュー※
少なくとも、ある種の人にとっては。
直接的なネタバレではないけども、そのレビューを見たことによって、ストーリー/仕掛けの推測がついてしまう、ということは結果として生じうる。ぼくにとっては本の帯の中の東浩紀の推薦文がまさにそれで、『動ポス』の後に「メタ・ゼロ年代」なんて書かれたらそう捉えるしかないよね、という話にはなるんだけれど、とにかく、その仕掛けそのものは(そこまでやるか、という感想は別として)そこまで難解なものではなかった。
悲しいかな純粋に自身の問題として、「文化的」な素養が足りなかったがために、もう一歩先に/確信を得ることができなかったのは素直に悔しい(悔しくない)。東の言うゼロ年代と僕らが過ごしたゼロ年代は、同じだけれど同じではない。そりゃ仕方ねぇよ成人してなかったんだもの。
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生まれ的にはゼロ年代に触れる僕だが、残念なことにゼロ年代全盛期にサブカルチャー(オタク文化)とは無縁であったため、本作のメタ的な面白さはあまり伝わらなかった。
昨今のライトノベルがハチャメチャだという人がいるが、その人たちがこの作品を読むと卒倒するんじゃないだろうか。そう思えるほど無茶苦茶な作品。
内容はチープな学園ミステリーかとおもいきや、哲学やら聖書やらが入り交じったメタフィクションである。最近のライトノベルを期待して購入されるのはあまりオススメしない。
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ある意味でゼロ年代を総括するラノベ・・・らしい。
メタフィクションで自己言及的で無駄にエログロでパロディ満載、最後は自己啓発みたいなノリでなぜか感動的にエンディングを迎えるというくどさ満天のラノベ。
個人的にエロゲを通ってこなかったので、文脈を半分程抑えられず読んでしまい、この小説の面白さを少々取りこぼしてしまった感がある。
最後の東 浩紀の解説も含めてこの本の面白さだと思うので、復刻された版を読めてよかった。
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メタエロゲ的で、内容もゼロ年代のなんでもありなラノベ的怪作なのだけど、誰がなんと言おうと最後の数ページは素晴らしい。祈りだ。