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「ぼけまん」
現実は、物語によって補強されるものだ
物語を失った現実は、曖昧になりはてる
つまり「ぼけ」てしまう
「ぼけまん」には、神聖なるものの守護者や
此岸から彼岸へと渡る者たちや
土地に根付く死者といった、神話・伝承的モチーフが
次々に登場する
しかしそれらすべて、物語などではありえない
曖昧な「出来事」なんだ
「ぼけまん」連載中、311を経て作者は
「原発幻魔大戦」の物語にはまり込んでゆくのだが…
「第二の人生」
グローバル企業の開発した「性転換薬」を
通販で買ったお爺さんの、いわゆるTSものであるが
性のアイデンティティーすら曖昧になって
政治的な賛否しか残らないという
とてつもないニヒリズムがここにある
「LAST OF INDEPENDENTS おめーに似た奴」
イカサマを考慮に入れないとして
基本、ギャンブルとは
圧倒的に偶然、行き当たりばったりの世界である
ゆえに、物語に対置されるべきはギャンブルである
ということが言えるのであり
ギャンブラーに対置されるものは詐欺師である、ということも
またひとつの考え方として言えるだろう
物語でもって、虚無あるいは別の物語に抗おうとした…たとえば
村上春樹へのアンチテーゼとして
他にこれほど説得力を有するものがあるだろうか
「自主ボツネーム・孤島の二人」
いったいいつからそうしているのか
無人島に取り残された男ふたりが
2014年5月30日
それまで必死に生き延びて
原発や、TPPや、特定秘密保護法案の心配をしているというお話