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「やさしい」の語源。「やさし」は「やす(痩す)」。スレンダーならいい、という意味ではない。あれこれ気遣いして身が細る、という「やす」。そして、「艶」。艶は、現代の言葉から想像されるより上品なエロチックさを示していたようだ。
「艶でやさしい」という、何か男に都合がいいけれど、女としてもそりゃあ誇らしいのでは(と思う時点で都合がいいか?)、そういう女たちが、どうやって、艶とやさしさを失っていくか、という話。
結構いろいろな文献の原文引用から論が展開していく。タイトルで感じたライトさに比べると、テーマも含めて思ったよりも苦い。
女たちは、和語の使い手から、やがて漢字を習得し、その結果は儒教に踏み入ることになる。ここで悪名高き(?)貝原益軒の登場。
さて、艶でやさしい女は、先細りしながらも求められてきて、細々と残ってきたものの、「地女」の登場と台頭によって駆逐されていく。
ここまで、男の身として、申し訳ないような、残念なような、複雑かつ想像を巡らせながら読み進めてきたのだが、「地女」によって、脳味噌は一気に現実に引き戻される。
ジェンダー問題は、断片で語ると誤解の元。気になった人は、このレビューは話半分で読んでみてください。