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O介と呼ばれる赤ちゃんに優しく呼びかける声。その声に見守られ、O介は育っていくが、次第に明らかになるその声の主とは……!? 著者14年ぶり、待望の連作集!
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とても久しぶりに★1つ。
同業の作家や玄人読者みたいな連中に高く評価されるから、ついてこれないヤツはいいよみないな匂いが苦手。帯のせいかもしれないけど。
まあ好き嫌いの問題だから、評価がぱっかり分かれる本なのかも。
大人の言葉遊び小説。
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8月末につくった「ブックマーク」82号でこの本を紹介した人があって、(著者名が読みにくいなー)と思った私がルビを振ったのはいいが、調べが甘くてそのルビを間違えてしまった! 著者のお名前は「おおが・かずまさ」さんでした。伏してお詫び。
その後手にした本の実物では、タイトルについては表紙にも背表紙にも扉にも奥付にも「オーすけ」と入っているのだが、著者名にはルビがなく、巻末のプロフィールページにあるローマ字の「OGA KAZUMASA」が読みの手がかりだが、私の間違ったルビのように「おが」と誤読される可能性なきにしもあらず。できれば、どこかに分かりやすくお名前のルビ希望。
まず表題作から始まって、7篇収録。この表題作「O介」は、私のスキな平田俊子の「おおまいごっど」云々の詩を思い出させた。「O介。」と挟みながら続くところが、似た印象を受けるのか。そして、続く章を読んでいて、パパとママがなぐりあってお互いこわれていくような様を描いた場面の出てくる「ブルーベリー狩り」なんかが、やはり平田俊子の夫を捨てにいく詩を思い出させたからか。いや、たんに「オー」という音のせいか。
出版社サイトの短い紹介文にある「O介と呼ばれる赤ちゃんに優しく呼びかける声。その声に見守られ、O介は育っていくが、次第に明らかになるその声の主とは…!?」というストーリー(?)は、私にはいまひとつ分からなかったけど、読んでいて、私のアタマでは、平田俊子の詩がひらひらと浮かんでいた。
そして、『O介』を読み終わって、平田俊子の詩集を本棚から出してくる。
『(お)もろい夫婦』である。
私のアタマのなかで断片が舞っていた詩「嗚呼神代毎夜賑(おおまいごっどよごとのにぎわい)」をまず読みなおす。そのてっぺんは、こんな感じだ。
オー、マイ、仏陀。おれはタクシードライバーにならずにほんとによかった。
オー、マイ、ゴンドラ。それはどうして。
タクシードライバーになってみろ。おまえはきっと仕事についてくるね。助手席に乗り込み、一緒に街を流すのだ。
オー、マイ、権帥[ごんのそち]。それはすてきね。ずっと一緒にいられるなんて。
すてきなものか。楽しい気分はせいぜい初めの十分だ。…
(『(お)もろい夫婦』、p.14)
詩はこのあとも、「オー、マイ、ガッデム。」とか、「オー、マイ、「ガット」は関税貿易一般協定。」とか、「オー、マイ、がんも。」などと、字と響きをややずらした呼びかけを挟みながら、続いていく。
さて、夫を捨てにいく詩はどれだったかな…と、「ネンブツさん大忙し」を読みなおす。
たぶん全然違うのだろうけれど、私のなかでは『O介』と平田俊子の詩がつながってしまった。もしかしたら、うっすらと怖いようなおもしろさが、似ているのだろうか。
(9/14了)
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どの短編も面白かった。特に表題作は、この本の感触を一番分かりやすく示している気がしました。個人的には「ドーナツ」が好きでした。