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『ルヴォワール』シリーズ第3作。
前2作とはやや趣を異にし、コン・ゲーム的な要素が取り入れられ、また違った緊張感が生まれているので、疑似裁判とも言える『双龍会』の存在感は今作に限ってはやや薄い。
解説は我孫子武丸だったのも嬉しかった。若い頃は好きだったなぁ……最近は読んでないことを思い出し、ちょっと近作を探してみようという気になった。
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「さて、繊維が発見されるという前提でお話ししますが…」
「発見されなかったら無駄骨になるが」
「されますよ。そうでなければ面白くありませんから」
「面白いから繊維が出てくる? ナンセンスだ」
「面白くなければ双龍会じゃありませんよ」
「実際、今日の夕食にはやや塩分が足りないですけどね。撫子さん、貴女にはあと二回塩を振る勇気が必要です」
「それにはバイカル湖より深い訳があるんですよ」
「ほう、どんなだ?」
「撫子さんに振られました。用事があるんですって」
「高瀬川より浅いな」
「達也、撫子ちゃんを怒らせたら駄目だよ?」
「ただ、お互いに譲れないものがかち合っただけだ」
「ベターハーフという言葉を知っているか?」
「『より良き半分』、伴侶だとか恋人だとかそういう意味よね」
『「テメエ、人の技を盗りやがったな!」
「生憎、俺は盗人じゃないからな」
達也は顔色一つ変えずにカードを片付けながらこう続けた。
「借りただけさ。後で返す」
それこそまさに盗人の常套句だった。』
「ぼくの正義はぼくだけが知っていればいいんだよ」
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賭博や非合法な商売で運営している大怨寺。
権々会の頂点に君臨する権々権現。
幸せにはなれない戦いに身を投じ続けていた彼。
「より良き半分」の為に自分を投げ打った彼。
御堂達也が復讐を通して成りたかったもの。
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えーっ!えーっ?え==っ!今回の引きには驚いてしまった。達也と流さんの事は納得ですよ。前巻の終わりのあの状況の時だって、やっぱ達也の方っしょ?って思ってましたからこの結果でオールオッケー。でもでも論語が?あ~、撫子ちゃんツライわぁ。だが、しかーし!まだ「アデュー」は論語の口から出てないぞ。
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心根までミステリー脳に染まり切っていない、あえて「一般人」と呼ぶが、その種の読者(私も含め)にとって本書は我孫子武丸による「あとがき」までが今出川ルヴォワールである。
前作の書評で私は「極めて現実的なミステリーを望んでいたが中身はファンタジーであった」と書いたのだが、それこそ円居挽の術中に嵌まってしまっていたと認めざるを得ないのが本作である。
本作も、「一般人」が思い描くミステリーではなく、円居挽が思い描くミステリーであり、それは前作でファンタジーとして描かれ、本作は賭博小説、バトル漫画というべき要素がプラスされて描かれている。最初から筆者と読者の間でミステリーに対する相違が存在しているのだから、前作で違和感を覚えたのとも至極当然なのである。これに関しては、あとがきで我孫子武丸がわかりやすく解説している。
読者にとって大事なのは、面白いのか面白くないのか、加えてミステリーしているのかしてないのか、といった事だろう。
本作の面白さを何に求めるかで大きく違ってくるが、私は「面白い」と断言しよう。
私はルヴォワールシリーズ3作目となる本作を読み終えた時分になってようやく気付いたのだが、私がルヴォワールシリーズに求めていたのは理路整然としたミステリー要素ではなく、魅力的な登場人物達の織りなす人間ドラマであった。
本作では前2作の伏線を回収しつつ、最終作に向け大きく物語が動き出す。登場人物達もまた、翻弄されるかのように目まぐるしく、悩み、変化し、成長していく。
特に私のお気に入りの登場人物が本作では中心となるので、その点でも「面白い」と感じたのだろう。
しかし筆者は読者の望む展開を描きつつ、予想だにしないどんでん返しで意表を突いてくる。
最終作では一体どんな意趣返しが待ち受けているのかと思うと、すっかり本作でルヴォワールシリーズの虜になってしまっている自分に気付く。
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「オ・ルヴォワール」というフランスの別れの挨拶は、〝別離〟と〝再会〟という反対の意味を一語のうちに孕んでいる。いっぽう、ふたつの通りが交差する点によってあらわされる京都の地名もまた、そこに〝別離〟と〝再会〟とを孕んでいる。「ルヴォワール」シリーズ第3弾の舞台は、大怨寺という怪しげな寺院のある「河原町今出川」。当然、そこは積年の〝別離〟と〝出会い〟の交差点となる。
メインが、私的裁判「双龍会」におけるディベート以上に「権々会」における「鳳」と呼ばれるカードゲームに変わるとはいえ、その息を呑むような壮絶な騙し合いの連続は相変らずだ。そして最後、登場人物らの人間ドラマにも大きな変転が……
文庫化されているのはここまでだが、こうなったらこの勢いで「BOX版」で最終章まで読んでしまうべきか、はたまたご馳走は最後まで残しておくべきか…… 悩ましい。
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これまでの疑似法廷におけるディベート合戦から更にもう一歩踏み込んで独自のカードゲームを編み出すところは、まさに円居氏のイマジネーションを全開にしたような作品。
現代が舞台なのに現実感がなく、繰り出す手段の1つ1つは実現可能なのにファンタジー感がある、何とも不思議な物語でした。
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京都・大怨寺(だいおんじ)の僧侶が転落死した。殺人容疑をかけられたのはその場に居合わせた御堂達也(みどうたつや)。嫌疑を晴らすため、彼の母校、越天(えてん)学園に向かった瓶賀流(みかがみつる)。そこで出会ったのは達也の死んだ母親と瓜二つの女性だった。三十年前に起きた悲劇と私的裁判・双龍会(そうりゅうえ)が繋がるとき、過去の呪縛から解放されるのは、誰だ。
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今回メインなのは逆転裁判ではなくギャンブル会は未だにしっくりこないね。でもでも、四人の恋の行方は気になる!
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双龍会ではなく権々会という、大がかりな賭博大会が主要な舞台。前2作とは趣きがずいぶん違いました。自分が麻雀にしてもカードにしても、戦略が必要なゲームが苦手なこともあって、展開があまりすっと入ってこなかったかも。でも、盛り上がりは充分だったし、徐々に動きだした主要人物たちの心の行方も、気になる第3話でした。そして最後は驚き。次作が手元にあって良かった。。。
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シリーズ3作目。達也が双龍会にかけられたと思っていたら、ギャンブル話しになっていた…(システムはよく理解出来ぬ)増えた新キャラ、達也とあの人はお似合いだと思ってました…ていうかまた気になる引きで終わったな!
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時折、読んでいて、ふと今読み進めている部分の時間と空間がわからなくなる、足元がおぼつかなくなる雰囲気を味わう時がある、このシリーズのそんなところがとても好きです。
そしてまた、もどかしく切ない複数のラブストーリーでありながら(僕にはとても稀なことですが)、なんか惹かれてしまうというのも、これまたこのシリーズの不思議な魅力です。
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シリーズものというと、1作目→2作目→3作目…と回を重ねるごとに勢いが衰えていく方が多数かとは思うが、この作品群に関してはどんどんパワーが増しているというか、端的に言って面白くなっているような気がする。
あるいは、今シリーズが持つ独特かつ独善的な訴求性に、読み手の私が完全に慣れてきたということか?
最近では珍しく、ページをめくる手が止まらない、他にやることがあってもつい手を伸ばしてしまう、そんな一冊だった。
相変わらず純粋な推理物、フーダニットとして読めるミステリーではないが、一見暴力的とすら思われる、著者が構築したルールを理解し、この世界の楽しみ方さえ身につければ、これほど面白い小説もなかなかないだろう。
巻末の解説で我孫子武丸氏が、そのあたりの読者の感覚を非常に上手に綴ってくれている。
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だんだん読みやすく面白くなっていきますね。
ミステリとしても、いろいろな騙しなどあり、いいですね。あと、カードゲームのギャンブルのサンスペンスもなかなかあり、良かった。
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中弛み感は否めない。のでカイジみたいな趣向を取り入れたのだろう。それなりに機能していた、もうそうりゅうえだけだと飽きちゃうから。
論語カップルの不穏な感じが冒頭からよかった、若者のうまくいかない恋愛の、終わりの始まりの感じをすごく丁寧に描いている。一方通行、すれ違い。ラストの別れもよかったなー。
再読。重いエレキギターの音が似合う別れだった。一方で達也と流の関係にようやく進展があるのもよかった。これは丸太町からなんとなくほのめかされていた伏線だけどね。そうりゅうえでは勝てない流が場外乱闘で力を発揮して、自分に自信を持ったから大切な存在に手を伸ばそうと思えたのだろう。俺も頑張ろう。
天親の2人が個性的で好きだった。