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2016/04/03 20:25
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投稿者:MASATERU - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨今の株高で見えにくくなっているが、フロンティアが少なくなり、その限界に来ているとの意見を提示してくれた。
成長ではなく、成熟するのであれば、足るを知り、楽しむことが必要。
だが、それだけではなく、社会保障制度など、成長することが前提となって進んで来た社会にとって、考えるべきことはもっと多いはず。
その示唆には足りない。考えさせられる作品。
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成長期をとうに過ぎてしまった壮年が身長が伸びないと嘆くのは誰が見ても滑稽。高度経済成長の夢を捨てきれず、いまだに成長志向から気持ちの切り換えができない政府の姿勢を鋭く諷諫。無駄な努力はやめ、ありのままの成熟した自分を受け入れよと説く。仮に成長が止まったとしても既に日本は十分豊か。環境、安全、健康という国民の幸福の中でも最も大きなウェイトを占めている分野で世界のトップを走っている。デフレにしても成熟段階に達した先進国特有の現象。多くの論拠から、失われた20年は寧ろ豊かになった20年であると切り返す。
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「失われた10年」「失われた20年」と、ただ年数を重ねて定義しなおすだけでは、能がないですよね。今頃振り返ってみて、「そういえば、そうだね」と腑に落ちたのは、本書にあったこの記述。
成長が鈍化したのではなく、成熟。
「前進するのが善」を疑うこと。
江戸時代が成熟時代のお手本だという指摘に、ハッと我に返った思いがしました。経済が成長をやめ、成熟期に入ったところで文化の花が開いたとのこと。
本当ですね。これからが、本当の心豊かな時代なのかもしれません。
ところでつい最近、1ドル=110円に届く水準まで円安が進み、これまで円安を歓迎していた産業界から、円安を懸念する声が上がりました。
本書にあるように、実態は、輸出企業でも利益が減少する構図なのでしょう。海外への直接投資が進み、海外で組み立てた完成品を日本企業が輸入しているからです。
なお、本書に記載されている「未熟な債権国」の「成熟した債権国」の対比が非常に分かりやすかったです。本書から引用させて頂いた秀逸な表現とことわった上で、国際収支統計の解説などをする際に、使わせて頂きます!