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2015/01読了。 昆虫、鳥、哺乳類、貝類やサンゴなどが作る巣についての写真集。驚くほどの機能美の数々。写真も鮮明で美しい。
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<ホーム スイート ホーム>
住み心地のよい家に住みたい。その願いはもちろん、人間だけのものではない。
動物たちもまた、安全で快適な家を求め、長い年月の間に、種ごとに特徴的な住処を築きあげてきた。
進化の途上で、体のつくりが変化してきたように、巣作りの能力もまた、ある意味、自然淘汰や性淘汰を経て研ぎ澄まされてきたとも言える。よき巣を作るものは環境の中で生きのび、あるいは性的パートナーに選ばれ、その能力を子孫へと伝えていったのである。
「巣」とは体の外側であるが、また、外界との境にあるものでもある。外から見れば鎧として、中から見れば安全な囲いとして、自と他をわけるもの、それが巣だ。
本書は自然写真家による、さまざまな動物の写真集。
スタジオで巣のみを撮影した写真と、自然の中の巣の様子の両方が収録されている。ときには作製途中の写真もあり、構成を多角的に見ることができる。
章立ては5つ。「鳥」、「節足動物」、「哺乳類」、「サンゴ、二枚貝、巻き貝」、そして最後が著者自身の撮影にまつわる裏話。
いずれも究極の「用の美」と言おうか、美しさ・合理性に驚嘆させられる。
ハタオリドリは、木からぶら下がる形の巣を作る。つがいは個々に巣を作るが、その巣をつなぎ合わせることもある。こうして強固な砦となった「共同住宅」は、敵を寄せ付けない難攻不落の城となる。
ニワシドリは、交尾のための巣、あずまやを作る。あずまやの前には、雌を惹きつけるため、果物や花、キノコ、カタツムリの殻、人が残していったゴミなど、とにかく目立つものをずらりと並べる。個々にこだわりのあるディスプレイは呆れるばかりの迫力である。
トビケラの幼虫は身を守るための筒巣を被って移動する。身の回りにある植物の茎や実、貝殻、小石などを、自分が分泌する強力接着剤で固めて筒にするのだ。さまざまな素材で作られたそれらは、「がらくた」を集めた子供の頃の宝箱を思い出させる。
圧巻なのは、オーストラリアの磁石シロアリの巣。平たい塚の形をした彼らの巣は、かまぼこ板を立てて並べたように、ぴたりと正確に南北を向く。朝と夜は、広い面で日の光を集めて巣を温め、暑くなる日中には、細い面が太陽の方を向いて巣の温度が上がりすぎないようにしているのだ。
小さな齧歯類、カヤネズミは高い草むらの上方に巣を作る。小さいから捕食者も多いが、小さく軽量であるゆえに、草の上に巣を作っても支えることができるという利点もあるわけだ。
貝の殻は体の一部でもあるが、また住処でもある。オウムガイの殻の断面は、リズミカルに規則に従って渦巻きを描き、見入ってしまう美しさがある。
最終章で紹介される、さてこうした美しい写真を撮るにはどういう苦労があるか、というの解説・写真も楽しい。自然写真家というのは、創意工夫と努力と忍耐を要する仕事であるわけだ。
巣を作った動物たちと、そして著者に敬意を表したい。
*原題が"Architektier"。著者がドイツ人なので、ドイツ語から来ているのだと思うのですが、Architekt(建築家)+Tier(動物)の造語、なのですかねぇ・・・?
*『日経サイエンス 2015年 03月号』「巣作りの進化学」にも著者の写真が何点か収録されています。
*本書には出てきませんでしたが、極楽鳥の羽根を集めるニワシドリもいるそうです(『極楽鳥 全種 世界でいちばん美しい鳥』)
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最近、ビジュアル系の図鑑タイプのものがあまり見つからなくなったのですが、面白いのがありました(といっても二年も前の本だけど)。
鳥の巣からサンゴ礁にいたるまで(そういわれれば、サンゴ礁は小さい動物の死骸で、できていますが、それを建築物といっていいのか?)動物(人間以外の)が作った建物の写真集です。
実に造形美、です。
シンメトリーなものだけじゃなく、アシンメトリーなものでも、美しい……。
動物が作った建築物の美しさに、人間は永久に勝てないんじゃないかと思います。
聞いたことのない出版社でした。
これから注目しようと思います。
「建築する動物たち」という本もあるので、お間違えなきよう……。
2017/05/01 更新
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生物が作り出す美しい建築物にスポットを当てた写真集。ハチの巣やビーバーのダムなど合理的な住処としての美しさ、アリ塚などの小さな生き物が作り出す壮大な風景がとても良かったです。
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【工学部図書館リクエスト購入図書】
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB16403459
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片手で読みやすいのが電子書籍のメリットだ、という舌の根も乾かぬうちに大判の本を。
しかし、こういう大きくて正方形に近い本は片手でも読みやすい。
さて、「建築する動物」。
どれも目を見張る、動物に敬意を払いたくなるようなものばかりである。
動物にとっての建築物は、雨風を凌ぐとか、生命財産を守る、という我々の建築とは似ているようで、もっと重みがある。
彼らにとってのそれは、ドーキンスの言う「延長された表現型」であり、素敵な家をもっている動物は淘汰にも勝ち残る。夢のマイホーム、ではなくて、マイホームあっての自分であるわけだ。
それぞれの章に付されている文章も素晴らしいが、写真はどうやって撮ったのだろうと思わせるような細密で美しいもの。
鳥の巣がバラエティーに富んでいるのは、鳥の大きさが多様で、建築材料が異なるから。動物たちの家はみな自然に還る材料で作られている(たまに、人工物が組み込まれているが)。なんの道具も使わずに素晴らしい建築物が組み上がる。
淘汰の対象は、性淘汰だったり自然淘汰だったりする。素敵な家を持っている奴はモテるし、死ににくいのだ。
人間の家が、延長された表現型に近づくときがくるのか? 遠ざかっていくのか?
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驚くべき動物たちの巣。
鳥の巣(ニワシドリ、シャカイハタオリ、キムネコウヨウジャク、チャイロニワシドリ)オスのチャイロニワシドリの巣がすごい。自分が地味なので枝で作った巣の周りに、木の実や美しい色の葉、ペットボトルまで集めて豪華にする。
節足動物(シロアリ、ツムギアリ、トビケラ、スズメバチ、ミツバチ、キクイムシ、クモ、幼虫)、
表紙はスズメバチ
オーストラリア北部の磁石シロアリの巣がすごい。高さ3メートルの巣が広大な平原に林立している。
哺乳類(カヤネズミ、ビーバー)、
壊れそうに繊細なカヤネズミの巣。
サンゴ、二枚貝、巻貝、
序文がジム・ブランデンバーグ。
2014.7.30発行 図書館