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日本の戦略は自己の能力を強化するとともに、アメリカとの協力によって、脅威に対抗すること。日本は中国の軍事的な拡大、特に海洋への進出に直接に大きな影響を受けている。
日本は二十のパワーシフトに直面している。米中のパワー取らんじションであり、自身の中国に対するパワーシフトである。
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中国の台頭に伴う米中間のパワーシフトと急速に進む日本の相対的な国力低下。
本書はこれらを背景に、防衛戦略研究会議(1999年、防衛省防衛研究所内に設置)が2013年末に発表したレポート「2010年代の国際環境と日本の安全保障」を一般向けに再編集したものです。
全11章からなり、1章でパワーシフト、パワートランジット(覇権国交代)その物を解説した以降、
世界における日本のポジション(2章)、日米同盟(3章)、日中関係(4章)、日露関係(5章)、朝鮮半島(6章)、東南アジア(7章)、シーレーン防衛(8章)、宇宙開発(9章)、サイバー空間(10章)と続き、最終章で総括を行っています。
上記の通り内容は多岐にわたりますが、中でも印象的だったのが、ニコラス・スパイクマン教授の3つの”地中海”(地中海、カリブ海、南シナ海)と言う概念と、中国の「対米関係さえ押さえておけば、対日関係はどうとでもなる」とのスタンスを利用し、米中関係が比較的安定している間に日本の国力を回復させるべきであるとの提案です。
特に前者の3つの”地中海”については、
アメリカはこれらを自国の世界戦略上、極めて重視しており、もし中国が南シナ海における航行の自由を侵そうとするのであれば、アメリカの国益の根幹を侵害する事となる。
そして、アメリカはその歴史において、航行の自由が侵された事を切っ掛けに戦争に参入した事がある。
との事で、南シナ海を自国の排他的なテリトリーにする為、様々な活動を見せる中国とアメリカの関係の今後が気になる所です。
正直、本書の総ページ数が約280ページである為、各章に割り当てられたページ数は2,30ページと、取り扱っている内容に比して少な目な印象を受けました。
しかし、世界的な激変期における日本の国家戦略が一冊にまとめられた点は大きな長所と言え、これ一冊読めば日本の現状把握に大いに役立つのではないかと思います。
お時間のある時にでもどうぞ。
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第1章パワーシフトのなかの日本の安全保障、第2章2010年代世界と日本の位置、第3章米国新戦略と日本、第4章『グレーゾーン』のなかの日中関係。あと、第7章パワーシフトと東南アジア
ここまでは◎
第5章のロシアと第9小宇宙空間の安全保障利用、第10章サイバーセキュリティは○
他は△かな。
特に、第8章海洋の安全保障と日本は平時からグレーゾーン。そして、他国との協調や他国の会場法執行機関の能力改善に寄与できる海上保安庁の果たす役割を軽視しすぎ。というか、言及がほとんど無いのはあまりにも片手落ち。
第6章朝鮮半島は担当が小此木氏と言うこともあるが、あまりにも荒唐無稽(特に韓国について)そして、小此木氏が言うところの「現在の険悪な日韓関係が改善されないまま」2015年も半ばを過ぎたが、状況は世界遺産登録の際の韓国の因縁付けによってますます悪化したこともあり、「(4)日本人の対韓意識が修復しがたいレベルにまで悪化」したと言って間違いないだろうが、それが「未来への負債』だとはとうてい思えない。過去の韓国への妥協こそが『未来への負債』を生み出したのでは無いか?
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2010〜2020年代を射程に日本を巡る安全保障の課題として、中国の台頭によるパワーシフトと、安全保障の新領域としてのサイバー、宇宙について論じる。