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探偵「ソラ」ちゃんシリーズ第三弾。
なんだろう、分かってはいたけど今までの有栖川のシリーズとは一線を画するものだなぁ、と。いや、全然違う作品ってわけじゃなくて、並んではいるし有栖川だなって思うんだけど何か違う。何が違うのだろう、と思ったら、リアルとは違う軸での世界の話なのに、探偵行為をしている主人公の言動、状況、環境がリアルなんだな、と気がついた。
有栖川に限ったことじゃないけど、ミステリは大体現実が舞台で、そこに非現実的な事件と非現実的な探偵が現れるわけです。特に本格なんてそれだよね。探偵とか名推理とか、ないないない、って誰もが思う。そんなパズルみたいに物事が進むわけないよっていう。そういうのをうまく取り入れて誤魔化して作ってある本格もあるし、いっそ全部捨てて、本格ばりばりの雰囲気で勝負するものもある。どっちがいいと聞かれたら、面白ければどっちでもと答えます。
で、ソラちゃんシリーズは、舞台は非現実なんだよ。ファンタジーじゃないけど、今の日本とは違う世界。だけど、ソラちゃんの言動や状況ってのがすごくリアル。かけだしの探偵見習がそう簡単に事件を解決できないし、失敗ばかり。頑張ろうとしているのは分かるし、実際頑張っているし、「探偵(見習)」として気づけている部分もあるけど今まで一度も「成功」はしていない。そこがとてもリアル。一歩ずつ進んで、失敗して二歩下がって、それでも前に進もうとしている少女を応援したくならないわけがない。(要約すると「ソラちゃんかわいい、がんばれ」で済む。)
偶然的に閉ざされた世界となった村での連続殺人事件。結局その犯人に気づきはしたけど、最後の最後でほとんど偶然的に、だったからなぁ。自分で調査して、というわけではないし、確かにこんな犯人は理詰めで考えても分からないと思う。犯人はソラちゃんにべらべら自白してたけど、死体が移動していたことを言わなかったのは何でだろう。隠したかったのか、些細なことだと思ったのか。
ところどころでご両親からの教訓が引っ張り出されている感じ、純ちゃんが愛されてきたんだな、と分かって好きです。
視点がいろいろ飛んで、忙しいと感じることなく楽しめたのはさすがベテラン作家、といったところ。丁寧だから読みやすいんだよなぁ、ほんと。
安心して次作を待てます。
抜粋、親父さんからの教訓。
――落ち着いて焦れ。
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大東亜戦争後、日本は南北に分割され、北海道は独立。国内には北のスパイが暗躍している。
そして平世22年──すべての探偵行為が禁止された日本。17歳の少女、空閑純(そらしず・じゅん)は探偵を目指していた。
彼女の両親ともに有名な探偵だが、母の朱鷺子は数年前に事件を追ううちに行方不明となり、父の誠も昨年、殺人事件に対する警察類似行為で逮捕され裁判を待つ身となっている。
失踪した母の足跡を追い、彼女が最後に立ち寄った地、九州の山奥にある深影村を訪れた純。ついに母の手掛かりを見つけたと思ったのも束の間、隣村で起こった北のテロにより、深影村に通じる唯一のトンネルは破壊され、逃げ場のない村の中で殺人事件が発生! 暗躍する特殊部隊、背後に蠢く陰謀、そして蔓延るコンピュータウイルス――論理爆弾(ロジックボム)!
少女は探偵の業をその身に刻み、真実と対峙する!!
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前作『真夜中の探偵』より格段に面白い。
日本だけパラレルワールドなのかと思ったら、コナン・ドイルとその探偵とその助手の性別も違っている。
ソラちゃん、モテモテである。はっきり書かれていないけれど美少女なのだろう。
犯人はノーマークのとある人物。これは突き止めようがなかった。探偵のソラも最後の最後まで判らないのだから。
論理爆弾というのは、ロジックで解こうとしても爆発して終り、という含意があるのか。